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第十話  魔法学園の生徒について調べてもらいます

「チッ、また邪魔されたわ」

「どうしたんだ?そんなに殺気立って」

「訊かなくても分かるでしょ?あの女があたしの張った結界をぶち壊しやがったのよ」

「ああ、張るのが大変だったとか言ってたやつか。あの王女は気づくとは思ってたが、ずいぶん早かったな」

「ええ、予想外よ。あーあ、また魔力を集め直さないと。結界に溜めていた吸い取った魔力は、精霊に戻されてしまったから」

「そろそろ結果を出さないと、あの方に怒られるぞ」

「分かってるわよ!うるさいわね!!だから焦ってるの!!あの女、どうにかできないの?」

「無理だな。主も下手に手出しするなって言ってるし、あいつにバレないようになんとかやれ」

「もう!最悪よ!また別の魔力の集め方を調べないと……。ていうか、なんであたしばっかこんな面倒な仕事をしないといけないのよ」

「はっ、分かってるくせに」

「…………」

「お前が唯一王立魔法学園内で悪さをできる人間だからだろ?なあ、現役学生さん?」


◇◆◇


「おっと寒気が……。誰かが噂してる!?」

「んなベタな反応してんじゃねぇよ」


律が呆れたように私のボケにツッコんできた。

今、私達は午前の授業を終えて、王宮に帰っている最中だ。


「で、話ってなんだよ」

「調べて欲しいことがあってね」

「またかよ。僕は探偵じゃないんだけど」

「またまた〜、それに似た職業についてたくせに〜」


私がそう言うと、律は眉間にシワを寄せた。


「前世の話を持ち出すな。あれは……複雑なんだよ」

「ごめんごめん。でも、律の洞察力は本当に助かるんだよね」


私は律の肩をぽんぽんと叩いた。


「それで、何を調べればいいんだ?」

「朝、私が爆破した噴水について調べてほしいの」

「まずなんで爆破したのか教えてもらったいい?」


律の呆れたようなツッコミに、私は苦笑いを浮かべた。


「えーっとね、爆破したわけじゃなくて、結界を解除したんだよ。しかも、かなりヤバいやつを」


私は朝の出来事を律に説明した。

馬車が学園に近づいた時のリュミエールの異変、結界が精霊の魔力を吸い取る古の禁呪だったこと、そしてそれを逆流させて破壊したこと。

律の顔色はどんどん変わっていった。


「は?古の禁呪?ちょっと待て、冗談だろ?」

「冗談で噴水を爆発させるほど私も暇じゃないよ。ほら、リュミエールも証言してくれるよ」

『ええ、リディールの言う通りよ。あの結界は放置しておけば、学園内の精霊契約者全員が衰弱していたわ。精霊の魔力は生命力そのものだからね』


リュミエールが精霊体で律の肩のあたりに現れ、神妙な顔で頷いた。


「マジかよ……。入学初日からそんな物騒な事件に巻き込まれるなんて、さすがりりあだわ」


律はため息をつきながら頭を抱えた。


「で、その結界を張った犯人は?」

「それが分からないんだよね。リュミエール曰く、術式は稚拙だけど、知識と魔力量だけは並外れた生徒の仕業だろうって」

「稚拙な術式で禁呪を再現……。つまり、頭でっかちの天才肌ってことか。しかも、精霊契約者を狙っている。王族や公爵家の子息を弱体化させたいってことだろうな」


律の洞察力は相変わらず鋭い。

それもキモいくらいに。


「だから律に調べてほしいんだ。あのとんでも結界を張って、維持できるような猛者を」

「僕に?なんでまた」

「だって、律は探偵みたいなことしてたんでしょ?それに、いざとなったら魅了魔法でなんとかしてくれない?」

「魅了魔法は人探しに使うもんじゃねぇよ!それに、もう魅了魔法は使わないって決めたんだ!」


律は私の言葉を遮った。

元血縁じゃなかったら不敬罪で処刑してたよ?

しないけど。


「ごめんごめん。まあ、律に頼む理由は納得できるようなのがあるよ?」

「ほう?」


律の目が鋭く光る。


「まず、私には公務があるし、学園内でコソコソ動くのは難しい。それに、王族がコソコソしてたら不審に思われるでしょ?」

「あー、確かにな」

「だから男爵家のリリアーナに頼むんだよ。男爵家は正式な貴族の中だと、一番爵位が低い。つまり動きやすいってことだよ。理解?納得?」


私の言葉に、律はしばらく黙り込んだ。

その表情は不満もあるし、どこか納得しているような複雑なものだった。


「……はぁ。まあ、言いたいことは分かったよ。王太女殿下が学園内でコソコソ動くのは、確かに絵にならない。そして僕が男爵家の嫡女で、身分が低いからこそ、王族の護衛や公爵家の嫡男嫡女よりも裏の調査には向いていると」


律は私の言葉をわざと強調して繰り返した。

最後の「身分が低い」という言葉には、少し棘があったけど。


「さすが律、話が早くて助かるよ!洞察力と情報収集能力は、前世から折り紙付きだしね!」


私が褒めると、律は顔を少し赤くしてそっぽを向いた。


「べ、別に褒められても嬉しくないんだからな……」


律はツンデレみたいな反応をした。

典型的なツンデレすぎる。


「で、具体的に何を調べればいいんだ?」

「まず、精霊契約をしてる人の数を調べてほしいの」

「精霊契約か……。それなら図書館で調べられるかもな」

「それと、魔力量が多い生徒も調べてほしい。Sクラスの生徒をよく調べてほしい」

「分かった。でも、りりあもSクラスだろ?」

「私は犯人じゃないよ?」

「分かってるよ。でも、Sクラスの生徒の魔力量くらいならお前が調べられるんじゃ……」

「決まってるでしょ?面倒くさいんだよ」

「コイツ……」


私は公務とかで忙しいんだよ。

そんなことしてる暇ないでーす。

そんなこんなで王宮に着いたから、私は律と別れてお父様の執務室に向かった。

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