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第二話  魔法学園にはとんでもないやつがいるようです

七年ずっと一年生!?

何やってんの本当に!!

初めて聞いた事例すぎる!!

嘘でしょ!?


「恥ずかしながら最年長です」

「でしょうね!!」


王立魔法学園に入学できる年齢は十五歳。

七年前に入学したセティルド様は、現在二十二歳。

今まで留年した人達の中で、最も多い留年回数は三回。

その二倍以上の回数を留年してると?


◇◆◇


ここで、リディールとりりあの魔法学園講座ー!


「リディール、セティルド様は今Sクラスって言ってたよね?私、Sクラスは優秀者が行くクラスだって認識なんだけど……」

「その認識は間違いではないわ。でも、王立魔法学園のクラス分けは成績ではなく魔力量に比例するの。Sクラスはたくさん魔力がある人達のクラス。Aクラスはそこそこある人、Bクラスは普通の人、Cクラスは少し少ない人、Dくらすはかなり少ない人が集まるの」

「へぇ、じゃあセティルド様は魔力量は多いけど、成績が悪くて留年したんだ」

「そう言うことよ。ちなみに私達の魔力量だとおそらくSクラスに入るわね」

「なんか楽しみ!」


以上、リディールとりりあの魔法学園講座でした!

解・散!!


◇◆◇


「おっと、そろそろ私はお暇させていただきますね」

「あ、はい。今日はパーティーを楽しんでいってくださいね」


私達はセティルド様を見送った。

やっべぇやつがいたもんだ。

あれ?

あそこにいるのって……。


「フォーカス!」

「げっ」


後ろからすごい声が聞こえた気がするけど、気のせいだよな。

私達はフォーカスの元へ歩いていった。


「誕生日おめでとう、リディール」

「ありがとう、フォーカス」

「今日は一段と綺麗だな」

「似合わない社交辞令はやめてよ〜」

「あ、うん。そうだな」


なんでそんな遠い目をしているんだ?

フォーカスは。

なにか変なこと言ったかな。


「ぶふっ」


アルデーヌは何を笑っているんだろう。


「こ、こんばんは……ぶふっ……。フォーカス殿……いい夜で……ブフォ……」

「アルデーヌ殿、何をそんなに笑っているのかな?ええ?」

「いや……哀れだなって……」

「そのセリフ、この世で一番君に言われたくないんだけど」

「ほう?」


またなんかバチバチしてるよ。


「ところでフォーカス。あなた魔法学園には入学してるんだっけ?」

「ああ、してるぞ。七年前、どっかの誰かさんが平民も王立魔法学園に入学できる制度を取り入れたからな」


七年前……?

ああ、王位継承順発表の日か。

あのあと色々ありすぎてそんな事あったなぁ。

程度にしか思ってなかったから。


「じゃあ、今年は二年生なんだ?」

「まあな。今年ももちろんSクラス」


あー、じゃあどっかの留年野郎と同じ一年を過ごしたと。


「じゃあ、去年はセティルド様と同じクラスだったのね」

「セティルド?いたっけなぁ……ていうか、あいつはもう卒業してるだろ?第一学年にいるはずないだろ」

「七年留学してるんだって」


フォーカスは「ん?」という顔をしたあと、首を傾げた。

そしてしばらく黙り込んだ。


「………………冗談?」

「本当なんだなこれが」

「いやいやいやいや」


流石に信じないかぁ。


「我が国の王太女殿下は嘘つきなんだな。うん、きっとそうだ」


失礼極まりないことにコイツは気づいているのだろうか。

ん?

背後から冷気が……。

振り返ると、アルデーヌが剣の柄を握っていた。


「リディール様になんて態度を……殺すか?殺してやるか?」


怖っ。

何?

性格ってファミリーネームに影響されるの?

アルデーヌが剣を鞘から出そうとする。


「ストーップ!!アルデーヌ乱暴なことしちゃダメだよ!」

「……リディール様がそう言うなら……」


不服そうな顔をしながらも、アルデーヌは剣から手を離した。

なんだかんだ素直で忠実だよね。

私が「王女殿下」ではなく「リディール」って呼んでほしいって言っても、頑なに呼び捨てにしようとしなかったもんね。


「リディール、お前の護衛騎士怖すぎないか?」

「フォーカスが失礼なこと言うからでしょ?それに、コロスーゾ公爵家は忠誠心が強い一族なんだから私に変な態度取らないでね」

「忠犬のおもりも大変だな」


フォーカスがそう言うと、アルデーヌがすごい形相でフォーカスを睨みつける。

この二人は一緒に居させちゃダメかもな。


「あ、アルデーヌ!あんなところにリリアーナが!エスコートしてあげてよ!!」

「はぁ!?なんで俺なんですか!?」

「私はフォーカスと話したいから!あと、一緒に居てもあなたフォーカスに喧嘩売るでしょ?」

「売らないとは言えませんけどぉ!」

「とっとと行ってこい!王女命令!」


アルデーヌは渋々リリアーナの元へ行った。

すごい、王女命令って言うと誰でも動かせるんだ。

困った時に使おう。


「で、セティルドの話だっけ?留年の話は本当だとして、俺とは別のクラスだったかもしれないからなんとも言えないな」

「あれ?一人称……」

「平民の間で僕なんて言ってるやついないからな。変えた」

「ああ、そういうことか。話を戻すけど、セティルド様、Sクラスだって言ってたよ?」


フォーカスが微妙な顔をする。

おかしいな。

セティルド様のことだから、フォーカスにチェス勝負でもふっかけてると思ったのに。


「Sクラスにセティルドはいなかった。これは確実な」

「じゃあ、セティルド様の話は全部ウソだったってこと?」

「いや、セティルド・エル・シシュナという人物がいなかっただけで、もしかしたらあいつはいるたしれない」


回りくどい言い方をしなさる。

頭の悪い私が理解できるはずないではないか。

私が首を傾げていると、回りくどい言い方をしたことに気がついたのか、フォーカスが説明してくれた。


「セティルドは花嫁探しもかねてこの国に来たんだろ?人によっては身分を隠して、王子王女の伴侶の座を狙うハイエナからではなく、ありのままの自分を愛してくれる人を探す場合もある」

「あー、そういうことね」

「政略結婚を狙う場合はハイエナから探すみたいだけど、シシュナ王国は恋愛結婚が許されてるからな」

「へぇ」


あのポンコツ王子がそんな事考えてるようには見えないけど。


「まあ、どうせ同じクラスになるんだから、自分で探してみろよ」

「そうだね」


そんなこんなでパーティーは無事に終わり、魔法学園入学の時が着々と近づいていった。

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