第一話 魔法学園に入学できる年齢になりました
九章開幕です!この物語の番外編、「メッチャツオイ王国の国民ですが、自分達目線の話も知ってもらいたいです」も投稿していますので、そちらもぜひ!
――七年後
「計画の方はどうだ?」
「順調です。ただ、やはり邪魔がありまして」
「……リディール・セア・メッチャツオイか」
「はい、彼女がいなければ計画が円滑に進みますが……」
「リディールを暗殺するのは?」
「無理でしょうね。彼女の周りには常に人がおり、暗殺は難しいでしょう。特に精霊や使い魔が……」
「…………今すぐどうにかできるわけではないのか」
「ええ、様子見の方が安全かと」
「まあいい。すぐにどうにかしたいわけじゃないからな。ただ、下手に動いて勘付かれるなよ。期待している」
「はい」
◇◆◇
今日は城下も王宮もお祭り騒ぎ、さて、何でた?
正解はー??
「リディール王女殿下、お誕生日おめでとうございます!」
「リディール王女殿下、僭越ながらプレゼントを……」
「王女殿下!お誕生日おめでとうございます!ず、ずっと前から憧れてます!」
そう、私の誕生日なのだ。
十五歳のね。
王位継承順の発表から早くも七年。
私は今年から魔法学園に入学する。
だからか、かなり大々的に誕生パーティーをしているのだ。
「リディール様、すごいですね。こんなにも人が来るなんて……」
私の隣にいるのは、アルデーヌ・テア・コロスーゾ。
彼は私がこの世界で初めて救った人!
並外れた魔力と、普通よりも早く開花してしまう魔力を持つ人を異端児って呼んでたんだ。
最近は対策されて、異端児が恐れられることはなくなったけど。
溢れた魔力でお母さんを殺してしまって、お父さんにも煙たがられていたけど、今はもう和解してるの。
それにしても、いつもエスコートを頼んでしまって申し訳ないな。
彼の身長は私よりも高くなっている。
大きくなったなぁ……。
「俺の誕生日は全貴族が来るなんてことなかったでよ?」
「そうなの?王族だからかなぁ……」
私の誕生パーティーには、貴族全員が出席している。
しかも家族で。
隠居している人すらもこのパーティーに来ている。
「いや、リディがハイスペックだからだと思う」
「俺達の時ですら欠席する家は五つ以上あったのにな。リディアだけは敵に回したくないな」
「アルカお兄様!エルディーお兄様!」
二人は私達のところに来た。
私をリディと呼んだのは第三王子のアルカ・ミヤ・メッチャツオイ。
一度竜によって殺されたけど、魔力開花と精霊解約によって大幅に増幅された私の魔法で蘇生できたんだー。
もう一人は第一王子のエルディー・ルザ・メッチャツオイ。
出会いは最悪で仲良くできないと思ってたけど、色々と大切な記憶を思い出して、今ではすっかり仲良し兄弟!
ちなみにエルディーお兄様は養子で、お父様の姉の息子。
夫によって殺されて今はこの世に居ないけど……。
アルカお兄様は私と同じくらいだった身長が、ぐんと伸びて、頭一つ分の差ができてしまった。
エルディーお兄様は立派な大人になっている。
アルデーヌが深々と頭を下げる。
「頭を上げていいぞ、アルデーヌ殿。今日はいい夜だな」
「いつもリディのエスコートを頼んでしまって申し訳ないね」
「い、いえ。頼ってもらえて嬉しいですし……」
へぇ、嬉しいのか。
やっぱり王族には尽くしたいタイプなのかな?
「リディ、そろそろ婚約者を決めないと父上に文句言われるんじゃないの?かれこれ七年は保留じゃん」
アルカの出した話題にアルデーヌがピクリと反応する。
エルディーお兄様もなぜか「あっ」という顔をする。
「いい人がいないんですよ。私、この七年間ずっと公務で忙しくて王宮から出てないし、お茶会にも、舞踏会にも全然出席できてなかったんですよ?」
「どこに八歳から公務してる王族がいるんだよ」
「マジでハイスペック女子だよな、リディアは」
何だよその顔。
私だってやりたくてやってるわけじゃないよ。
お父様が「いけるよな?」って言って押し付けて来てるだけなんだから。
「リディ、お飾りでもいいから婚約者はいた方がいいぞ?なんなら、お兄様が紹介してあげようか?」
「…………は?」
「あ、いいですね!お兄様のご友人なら信頼できますし!」
「…………」
「じゃあ、早速連れて――」
「アルカ!!」
エルディーお兄様がとてつもなく焦ってような声で、アルカお兄様を呼んだ。
どうしたんだろう。
そんなに焦って。
「リ、リディアの婚約者は……リディアが決めた方がいいと思うなぁ……」
「だから、お飾りですって〜」
「この鈍男っ!!ちょっと来い!!」
アルカお兄様はエルディーお兄様に引きずられるようにどこかへ行ってしまった。
ところで今日なんか寒いな。
「アルデーヌ。……アルデーヌ!?」
「え?あ、はい。どうしましたか?」
「どうしましたかって……。あなた今すごい顔……」
「してません」
「いや、でも」
「してませんよ」
「…………はい」
すごいアルカお兄様を睨みつけてたような……。
苦手なのかな?
「リディール王女」
シシュナ王国の第二王子のセティルド・エル・シシュナ様が私のところにやって来た。
彼はシシュナ王国っていう国の第二王子。
シシュナ王国は錬金術に長けている国で、魔法を学ぶためにメッチャツオイ王国に留学してるんだー。
あれ?
この国の魔法学園の卒業までの期間は五年のはずだ。
なぜセティルド様がここに?
ここ二年間社交会に出てなかったから現状が分からなすぎる。
「ごきげんよう、セティルド様。なぜ我が国にいらっしゃるのですか?」
「いやぁ、お恥ずかしながら留年をしましてね」
留年……。
王族から聞こえてはいけない単語が聞こえたような……。
確か、シシュナ王国は錬金術に長けている国。
錬金術と魔法は構成が少し似てるはずだけど……。
「魔法を使おうとしてもなぜか錬金術を使ってしまうんですよねー。あははははー」
「致命的じゃないですか」
あははははーで済ませていい問題じゃない。
王立魔法学園は五年生になって、卒業しなければならない。
中退していいのは犯罪を犯した者くらいだ。
この人、永遠に国に帰れないんじゃ……。
「あれ?アカルス様は?」
メチャヘイト王国第一王子のアカルス・ギルモノ・メチャヘイト様は、セティルド様と一緒に留学してきた人なんだ。
メチャヘイト王国は武術に長けているんだー。
「彼なら二年前に卒業して、花嫁連れて国に帰って行ったきましたよ」
「一緒に留学して来た人に置いてかれてるじゃないですか。何やってるんですか?」
セティルド様、しっかりした人だと思ってたけど、もしかしてかなりポンコツ?
「今年から一緒に学んでいく一人として、これからもよろしくお願いしますね」
「あ、はい」
私は差し出された手を取って、握手をした。
反射でやってしまったけど、今のセリフ、かなりおかしいところがあった。
「セティルド様、あなたは今王立魔法学園何年生ですか?」
「王立魔法学園第一学年Sクラスですけど」
「…………はぁぁあああああ!?」




