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第六話  転生先の両親の育児放棄がすごすぎます

「リディール、突然呼び出して申し訳ないな」

「ほんとですよ」

「おいリディ」

「構わんよ。家族なんだからマナーは気にするな」

「父上……」

「お前も楽にしろ。これまで親子の時間を取れなくて悪かったな」


私はその言葉に、少し……。

いや、かなりイラついた。

少しにしては育児放棄にも程があるだろう。


「少し、ですか?」

「リディール?」

「私は少しとは思えません。三歳の時から会いに来なくなって、私がどれだけ寂しかったか、お兄様がどれだけ思い込んでいたかお分かりですか?」

「リディール!!」


アルカが声を荒げたけど関係ない。

リディールの代わりに言いたいこと言ってやる。

私は一歩踏み出し、国王夫妻に訴えかけた。


「世話係がいたとはいえ、母や父の温かさを知らずに育った私達の気持ちがわかりますか?」

「……すまない」

「リディール、ごめんなさい。全て私のせいなの」


リディールに会ったこともない母親が言った。

少し感情的になってしまったな。

何か理由があったのかもしれない。


「……何かあったんですか?」

「私はあまり体が強くない」

「存じております」

「それで、私が王妃に相応しくないと思う革命派が私に呪いをかけたの。その治療のために私は少し遠くで療養することになった。それに陛下は付き添ってくださって……」


アルカは知っていたのか。

なら、なぜリディールは知らない?

リディールの記憶の中の世話係が言っていた。



「ねぇ、どうしてお父様とお母様は私に会いに来ないの?」

「陛下やお妃様は王女殿下がお嫌いだと申しておりました。だから会いに来ないのですよ」

「私は嫌われているの?」

「ええ、とっても。ですからリディール様、お妃様達に復讐をいたしましょう」

「しないわ。たとえ嫌われていても、私はお母様達を嫌いになれないから」



あの世話係、嘘をリディールに伝えていたのか。


「リディールにも伝えておくように言ったはずだが、伝わっていなかったか?」

「世話係が重い話はよくないと判断したのかもしれないわね」

「違います」


私はハッキリとした声で言った。

冷静なような声だが、私は内心ブチ切れていた。

あんのクソBBA!!(※良い子は綺麗な言葉を使いましょう)

マジで腹立つな。

なんで小さい子供を革命派に引きずり込もうとしてるわけ?

信じられない。

そんなんだから顔面がシワシワなんだよバーカ!!(※良い子は丁寧な言葉を使いましょう)


「お母様、お父様、私の世話係は今ものうのうとメイド業を続けていますよね?」

「え?え?世話係?確かそうだが……」

「今すぐあのババア……世話係を呼び出してください」

「え?バ、ババッ……。リディール、今ババアって……」

「気のせいです。早くしてください」


まったく、別にババアって言ってようが言ってなかろうがどっちでもいいだろう。

実際クソババアなんだから。

クソババアなのにクソをつけなかっただけマシだと思え。

しばらくすると、リディールの世話係をしていた年配メイドが来た。

私とアルカは王族なのに使用人と同じ高さにいるのはよくないと、国王夫妻の椅子の傍に呼ばれた。


「リディール、このメイドが何かしたのか?」

「このメイドは革命派です。私にデマ情報を流し、革命派に引き込もうとしました」


私がそう言うと、ババアはわかりやすく顔色を変えた。


「そ、そんなことをしようとしておりません!私は誠心誠意、王女殿下に仕えておりました!」

「誠心誠意……ね。それは主人である私に国王夫妻が私を嫌っていると告げ口したこと、復讐しようとそそのかしたことも含まれているのですか?」

「なに?」


国王の眉がぴくりと動いた。

それを見たババアは焦りをあらわにした。


「そんなことしておりません!王女殿下は夢でも見ていらっしゃったのでは?」

「夢?あなたは王女である私の言葉を疑うのですか?」

「子供であるあなたと、大人で信頼がある私、どちらが信用されるかは目に見えているでしょう?陛下、この場を借りてご報告があります!王女殿下は以前から私に陰湿な嫌がらせをしてきています!」

「なっ!」


このババア!

そこまで自分が革命派だとバレるのが嫌なの?

あなたの言葉に、リディールがどれだけ傷ついたかも知らずに。

許せないよね。


「確かに私は子供です。しかし、この国の第一王女ですよ?あなたのその態度は無礼とは思いませんか?」

「……っ!陛下!どうか私の言葉を信じて下さい!!」


そうやって何人の偉い人に媚を売ったんだか。

若い頃は綺麗だったと耳にタコができるほど本人に聞かされた。

そして、リディールが「そうなんだ」と聞き流すと、ババアからひどい嫌がらせを受けた。

それから、リディールは何を言われてもしっかりと返すようになった。

本音を言えばどうなるかなんてリディールはわかっていたからだ。

悪口も否定せずに、人形のように過ごしていた。

感情がない方が楽だから、悲しくないから。

このババアはそんなリディールの気持ちにも気づかなかった。

気づこうとしなかった。

昔自分に惚れた相手が守ってくれると信じているから。

でも、その一方でこのクソババアは自分がババアになっていると理解できてないんだ。

年老いた美人には価値がない。

シワシワの老害の肩は持たないんだよ。

私はクソババアを指差して、不敵な笑みを浮かべた。


『惨めだな。需要のない顔面に自信があると思い込むのは』


日本語だから、誰にも意味は伝わらない。

全員が私の言った言語を理解できないと言う顔をしていた。

これでいい。

ただ言ってやりたかっただけなんだから。


「衛兵、その嘘つきを牢へ連れて行きなさい。尋問することを許します」

「……っ。お飾りの王妃が偉そうに……!」


本性が出たな。


「病弱な貴様は妃に相応しくない!今すぐその場所を退け!そこは元々は私が座るはずだった場所だ!!」

「あなただと確定していたわけではないでしょう」

「うるさい!婚約者候補筆頭の私を差し置いて陛下と婚約するなんて……!どうかしてるわ!あなたも、周りも!」


おかしい。

話が見えてきたが、このクソババアは国王の婚約者候補の筆頭だったようだが、何もかもおかしい。

まず、歳の差がありすぎる。

そもそも、婚約者候補筆頭が必ず婚約者になると決まってるわけじゃない。

婚約者候補筆頭は、他の婚約者候補をまとめる役割を担っている。

このクソババアにそんなことができるとは思えない。

王妃が冷たい声色で言った。


「まだ分かっていないの?あなたが婚約者候補になれたのは、侯爵家だったあなたの家が国に大金を積んだからよ?そうでなければ、陛下と二十は歳の離れた人間、それも行き遅れの人が婚約者候補に選ばれるはずがないでしょう」

「私は行き遅れてなどいない!」

「あははっ」

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