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第五話  夏休みなのでみんなで旅行に行こうと思います

「セティルド、ペルセポネが裏切り、メンバーが貴様らだけになったな」

「…………」

「奴らはヴァニタスの対する忠誠が軽いものだったようだが、貴様らはどうだ?」

「言うまでもありません。私もユースティティアもあなたに深い忠誠を捧げています」

「ほう?そう言われているが、どうなんだ?ユースティティア」

「ペルセポネとセティルドよりは捧げているつもりでよ〜?」

「まあいい。貴様らはしばらく何もするな」

「アストライアはどうなさるおつもりで?」

「興が削がれた。もう殺さなくていい」

「…………」

「タイミングを見計らって計画を実行する。命令をするまでは好きにしていろ」

「「御意」」


◇◆◇


夏休みに入ってから数日が経った。

まずは一ヶ月分の公務を終わらせたから、当分は学生らしい生活が保証された。

お父様にはドン引きされたけど。

というわけで、今日からみんなでアスクレイン王国に旅行しに行きます!!

ちなみにメンバーはメルリ、アルデーヌ、オスカー、私だけだ。

セレーネとフォーカス、律は予定があってこれなかったんだよね。


「おー、ここがアスクレイン王国〜!」


メルリがテンションを上げて言った。

この世界には、メッチャツオイ王国以外にも魔法に長けた国がある。

その一つがアスクレイン王国だ。

アスクレイン王国の国民は、エルフというわけではいないのに不老不死なのだ。



ーーーーーーーーーーーーーーー

千年以上昔、アスクレイン王国の魔法学園で毎年行われる大舞踏会にとある少年が乱入した。

少年の正体は、アスクレイン王国の初代国王。

彼は禁呪である四十四人の犠牲者を使い、世界の時を戻し、自身の妻が死ぬ未来を消し去るのが目的だった。

しかし、ある少女が彼を諌め、死者は大勢出たものの時戻しは起きなかった。

安心したのもつかの間、少女の親友二人が、初代国王の魔力暴走に巻き込まれて死亡していた。

少女は嘆き、悲しんだ。

その時、初代国王が少女にある提案をした。

それは長い時を眠って過ごすという代償が伴う死者蘇生の禁呪だった。

しかし、その魔法では一人しか蘇生できなかったのだ。

簡単に選ぶことのできない選択を迫られた時、ある少年が彼女と共に眠りにつくと名乗り出た。

その後、二人は千年の眠りについた。

少女達が眠りについてしばらくしてから、少女に蘇生された者は彼女達が目覚めた時に、もう一度話をするために不老の呪いを研究し、国内のみで普及させた。

そうして、アスクレイン王国は二千年に渡って繁栄し続けている。

ーーーーーーーーーーーーーーー



オスカーは周りを見渡して目を輝かせている。


「リディール!!」

「ユリィ!!」


昔会ったときと同じ姿のユリィが走ってきて抱きついてきた。


「大きくなったね!」

「ユリィは相変わらずだね」


私はユリィを抱きしめ返した。

ユリィはアスクレイン王国の伝説で眠りについた少女だ。

不老の呪いのおかげで、昔と全く同じ姿をしている。


「ユリィ、紹介するね。こっちは私の友達のメルリ、オスカー、セレーヌ、アルデーヌ」「はじめまして!ユリィ・グリーファです!」


ユリィは元気よく挨拶した。

みんなも「初めまして」と挨拶を返した。

オスカーはユリィを見て固まっている。

しばらくすると、オスカーはユリィの手を取った。


「綺麗な方、俺と結婚しませんか?」

「はぇ?」


そういえばオスカーは綺麗な人を見ると求婚する癖があったな。

まずい、ユリィは既婚者だ。

止めなければ。

私が動くより先にメルリが動いた。


「あだっっ!!」


そして、オスカーの頭にかかと落としをした。

わあ、体柔らかいなぁ……。


「いってぇな!何すんだよ!!」

「そっちこそ何してんの?ユリィ様が困ってるでしょ?それに、婚約者がいたらどうするの?」

「略奪」

「バカじゃないの?」


メルリが呆れたように言った。


「ていうか、あなた私の婚約者でしょうが!」

「あっ」


オスカーは今更気づいたように声を上げた。


「忘れてた」

「忘れるな!」


メルリはオスカーの耳を引っ張った。

私とセレーネとアルデーヌは、この光景を呆然と見ていた。

ユリィは困ったように笑っている。


「ユリィ様、このバカが失礼なことを言って……」

「バカって言うな!」

「バカはバカでしょ!」


謝るのか喧嘩するのかどっちかにしてくれよ。

私はため息をつきながら、オスカーの肩に手を置いた。


「オスカー、ユリィは既婚者だよ」


私の言葉にオスカーはぽかんとした顔で固まった。

メルリは耳を引っ張っていた手を止め、セレーネとアルデーヌも一瞬で動きを止める。

ユリィは困ったような笑顔のまま、私を見て軽く頭を下げた。


「……え? 既婚者……?」


オスカーがユリィを見てゆっくりと手を離す。

その顔は明らかに動揺している。


「私、こう見えて千歳を超えてるのよ。それに夫がいるの。若い方からの結婚の申し出は嬉しいけれど、私は夫一筋だから……」

「いや、俺、ババアに興味ないんでもういいです」

「あらそう」


ユリィは魔法で異空間に収納されていた杖を笑顔で取り出して、オスカーに向けた。


「雷魔法♡」

「ぎゃぁぁああああああ!!」


オスカーに雷が落ち、悲鳴が響き渡る。

わぁお。

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