第96話 勇者、不可解なダンジョンへ潜る。
「これで最後の俊足草だ~!!」
「合計30個!これほどたくさん採ったんだ。今日の宿代と食事代くらいは集まっただろう!楓、採取も終わったし帰ろうぜ!」
「うん···」
洞窟の中で何が起きているのか気になっていそうな楓は不安気な表情をしながら洞窟の中へ視線を向けた。
━━━その時だった。
「······ぎゃあぁぁ!!」
洞窟の中から再び悲鳴が響いた。
「神黒さん!!」
楓が凄い気迫を纏ってこちらを凝視する。
「国一番を争うほど強い侍パーティーが2組もいるんだ、きっと大丈夫だろう。それに俺らでは足手まといにしかならないかもしれないぞ······」
「···それでも」
楓の意思は何をしても砕けないらしい。
「······分かった。少しだけだぞ」
「うん!早く行こう!!」
楓は1人でそそくさと行ってしまった。
「待って!先に行くな~」
神黒は桜と共に楓を追いかけるのであった。
「勇継様!生きていますか!!」
「生きているぜ···ぎりぎりな。もう体が動きそうにないけどな···」
「私が絶対に守りますからね!」
「あなただって指1本触れただけで倒れそうじゃない···。ケホッ!」
「大丈夫か、恵里···お前も血吐いてるじゃねえか」
「私は大丈夫よ!」
オーバーロードの人たちが力尽きそうに話していると隣で同じように体力の削られたもう一つの侍パーティーがオーバーロードの人たちに話しかけ出した。
「あんたら、まだ生きてるか!」
「俺らは生きてるぜ!」
「なら、もう少しだけ共に戦ってくれないか!もう俺らでは抑えきれない!!」
━━━ドガーン!!
「ゲッホ!!」
「大丈夫か、ケルディール!!」
「······」
「ケルディールーー!!」
紅蓮の鉄拳メンバーの女性剣士がケルディールを大声で呼んだ。
「······ゲホッ」
「生きてたか、ケルディール!」
「グチュグチュペッ!こんなところで死ぬわけにはいかないんでな···」
「楓、まだ進むのか?」
「分からないでしょ!オーバーロードさん達がどんな状況なのか!」
楓は日和ることなく、洞窟へ潜っていく。
「確かに分からないけど、ここまで来て何一つ痕跡が無いじゃないか!もう5層だぞ、きっとオーバーロードさんたちは既に帰っているって···」
「なら、さっきの悲鳴は何だったの?」
「それは······」
神黒は楓の強い意思に圧倒されて、素直に桜と共に楓の後ろを着いていくのであった。
こうして神黒たちは第9層まで潜り、第10層の目の前まで辿り着いた。




