第93話 勇者、行きつけのお店へ行く。
「······9、10個。水魔の魔石10個しっかり受け取りました。続いて、パラリシス草も20個ぴったりありますね!」
受付嬢のフェリアさんがいつも通り、クエストに書かれている報酬をカウンターの下から取り出し、神黒に渡す。
「いつもありがとうございます、丁寧に···」
「私の業務ですから!今後もよろしくお願いしますね!神黒さん」
「それじゃあ!」
神黒は手渡された報酬を確認し、侍処から出るのであった。
「今日は結構稼げたぞ!」
「そんなに!!」
布袋の中には五千ユリンの硬貨が入っていた。
神黒たちは今日のクエストで稼いだお金で毎回のように通っている料理店に向かう。
「今日は何の料理を食べようかな~!」
「僕、オムライス食べるー!」
「私はシーフードピラフにしようかな、それとも冷やし中華にしようかな···」
楓が2つの料理で悩んでいる時、神黒は一つの料理で頭一杯になっていた。
神黒たちはそんなことを考えているといつの間にか料理店に着いていた。
「お邪魔します~!」
「いらっしゃい、今日も来たのかい!ありがたいね!じゃんじゃん料理頼んでいってくれよ!」
女騎士のような体格を持った女性が野太い声で神黒たちを歓迎してくれる。
そこのお店の名前は衛門亭。侍たちで賑わう居酒屋。毎夜繁盛する人気店でもあり、多種多様な種族と会話を広げる侍食堂とも言われている。
「すまん、たぬきうどん頼む!」
「はいよ!」
「こっちに日本酒頼む!」
「はいよ!」
この居酒屋は注文が絶え間なく続いている。そんな中で神黒たちは予め考えていた注文を居酒屋の店員に告げた。
「すいません、お姉さん!」
「ご注文ですか?」
神黒たちのいるテーブルに来たのは、最近入ったばかりの新人侍の乙葉だった。
侍登録をする時にたまたま隣のカウンターで登録をしているのを見かけたため、少し馴染みがある。
「はい。この子にはオムライス、この子にはシーフードピラフ、そして俺にはカレーライスを頼む···」
「はい、かしこまりました!オムライスとシーフードピラフ、そしてカレーライスですね!」
注文を取り追えた乙葉は厨房にいる料理人に注文内容を出しに行った。
「神黒さんっていつもここに来るとカレーライスを頼むよね。他のを試したりしないの?」
「あぁ、俺はこれで良いんだ!」
やはり病みつきになってしまうんだよな〜、このカレーライスには。転移してから一度も食べなかったというのもあるが、ここのカレーライスは一段と美味しく感じてしまうんだよな〜。それが止められん!
神黒たちが食の話に花を咲かせていると、厨房の方から3つの料理がこちらに向かって近づいてくることに神黒たちは気が付く。
「お待たせしました。オムライスとシーフードピラフとカレーライスでございます!」
「「「わぁー!」」」
「いただきます···ごくり」
神黒たちは一口、口の中へ入れると美味しさのあまり涙を流す。
「神黒さん、美味しいです~!」
「そうだな、ここに来て良かった!」
「美味しい~!」
感動の言葉を口から吐いていると厨房の方からまたもや女騎士のような体格を持った女性が現れた。
「君たちはいつもうちの料理で泣いてくれるね!私としても嬉しいことだ!がっはっはっは!」
神黒たちは一口口に入れるたびに感動をして、涙を流す。
食事を終えると神黒たちはレジに向かい、店員に三食合計の三千ユリンを手渡し、店を後にするのであった。
「今日も美味しかったね、神黒さん!」
「そうだな、またここに行こうな!」
「「うん!!」」
こうして神黒たちはいつも通り、泊まっている宿屋へ帰るのであった。




