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視聴天性  作者: おらた
大山蛙退治編
85/167

第85話 勇者、勲章を貰う。

「これ以上、驚くのは懲り懲りだ···」

 神黒が肩を落とし、気分を下げていると大広場の方で騒ぎが聞こえ始める。

「新ドラン国王のお披露目です!皆、膝をつくのです」

 一斉に大広場にいた者たちが膝を地面につけ、顔を下げる。

「エルノルド・ドラント王のお出ましー!」

 秘書のダイモンが語り終えると同時に、音楽隊の演奏と共に先ほど拝見した殿下が階段の向こうから降りてきた。

「皆、顔を上げよ!」

 殿下の声とともに、観衆が顔を上げる。

 大広場にいた観衆は列を成して、新国王との挨拶をしに向かっていく。

「さっきの殿下が新国王だったのか。どうりで急いでいたわけだ」

「神黒〜、このケーキ美味しいわ!神黒も食べてみなよ」

 楓たちの呼ぶ声に気づき、楓たちのいるところへ足を進める。

 楓におすすめされたケーキを口に運ぶ。

━━━パクッ。

 美味しいな!前世のショートケーキみたいで甘くてふわふわしている。

「こっちの茶色いのは何だ?」

━━━パクッ。

 これはチョコレートケーキか!苦味もあって、俺には丁度良い。

 神黒が御茶会で振る舞われる料理を堪能していると大広場から、気になることが聞こえ始めた。

「エルノルド・ドラント様が国王に就任するきっかけとなった前ドラン国王様の遺言書にはエルノルド様が国王に任命されることの他にもう一つ遺言が遺されている。これから、その遺言を私、ダイモンが代読させていただきます。コホン。えー、神黒殿へ。あなたをドラン王国の勇者に命ずる······現国王ベンウッド・ドラントより」

 周囲で聞いていた観衆たちは誰のことなのか、さっぱり分からずに困惑しているようだ。

 ん、どういうことだ···?俺の聞き間違いだろうか?···勇者、なぜだ?助けたわけでも、強いわけでもないこの俺がなぜ勇者に任命されたんだ。

 この場で誰よりも困惑していた神黒はダイモンの声によって壇上にまで呼び出される。

 言葉に従うしかなく、観衆の視線を浴びながら、壇上まで歩いていった。

 階段を登り、殿下のいる下へ向かうとダイモンが殿下に勲章に似た形の何かを手渡すと殿下が神黒の左胸付近に勲章を付けた。

 少々静寂の時間が続くとどこからか拍手する音が聞こえ、連なるように次々と拍手の音が大きくなっていった。

「神黒殿、勇者に任命おめでとう!最も勇ましい者に与えられる賞だ。君はあのドラント国王に認められたのだ、光栄に思って良いのだ!」

 ある程度話し合った神黒と殿下は話を止めると神黒は殿下の指示に従い、もといた場所へと戻るのであった。

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