第83話 勇者、王城へ行く。
今、神黒たちは王城の新当主の誕生を祝して開かれた御茶会に参加していた。
「話は聞いたぜ〜!旅の途中でドラン王に会ったんだってな。このことを初めて聞いたときはめっちゃビックリしたよ〜。もしかして、王のこと知ってて絡んだんだろ~!」
おちゃらけた様子の勇継が僕らをからかいにやってきた。
「知らなかったし、俺だってドラントさんが王様だなんてこと初めて知った時、思わずポカーンとフリーズしたよ!」
正直に言っても、勇継には信じる気も無いようだ。笑いながら受け流す勇継を見かけた恵里さんがこちらへ向かってきた。
「勇継っ!ダル絡みを今すぐやめなさい!神黒くん困ってるじゃない」
ため息をつきながら、哀れな勇継を見て呆れる恵里さんは片手に持っていたワインを口に注ぐ。
「勇継!貴族様たちとの面会が待っているわ!行きますよ」
恵里さんは勇継を連れて上流貴族のいるところへ向かっていった。
「久しぶりだな神黒!」
後ろから自分の名を呼ぶ声がした。
「え!?」
神黒が声の聞こえた方向へ顔を向けるとそこには小さな子猫がジャンクフードを口に加えて座っていた。
「キャロックさんじゃないですか!?」
「おん!無事にがばぇってびたか」
「口に入れ込んだものを食べてから喋りなさい!!」
「すまんって!」
キャロックの後ろで佇む女メイドが厳しく語りかけた。
「キャロックさん、そちら方は?」
「こいつか、うちの奥さんだ!良いだろうこう見えても余裕で300歳超えた老婆だぜ」
「私はまだピチピチの300歳の人間です!!そもそもあんたも1000歳を余裕で超えてるわよね!!あなただけには言われたくないですね!」
「まぁ、こんな感じにうるさいやつだよ」
キャロックは後ろに佇む女性に頭を叩かれる。
「あまり余計なことは言うもんじゃありませんよキャロックさん」
「神黒さんの言う通り余計なことは言わなくて良いのです!」
「はいはい」
キャロックはまた頭を叩かれるのであった。ガミガミ言いながらキャロックと共にどこかへ行ってしまった。
今日は色々と驚くことが多いなぁ。そう思えば今日の最初の驚きはあの時だったな。
神黒はあの時のことを思い出す。
確かあの時はドラントさんのことを兄さんと呼んでいた人にドラントさんから貰った手紙を渡した時だった気がする。
「君の名前はなんて言うんだい?」
「神黒って言います」
「すまんが私と共に王城に来てくれないか?」
カウンターに座っていた男が立ち上がり、神黒を連れて王城へ向かおうとする。
「すまん!マスター急用が出来ちまった行ってくるわ!!」
「おう、行ってきな!」
マスターはグラスを拭きながら見送ってくれた。
男は神黒たちを連れて王城の方向へ走り出した。
「すみません〜!何で俺は王城に行く羽目に?」
「今は黙って来てくれー!!」
「え~!!」




