第71話 妖怪の怪しい行動には容赦なく。
━━━ぐりゅるるる〜。
······お腹減った。
神黒は自分のお腹の音で目を覚ます。テントから外へ出る。
外は暗くてかろうじて各テントの明かりが見える。
「何か食べ物ねぇかな······」
神黒は自分の農民袋の中を漁っていると物影から不自然な動きを感じた。確認するために閲覧スキルでマップを開く、マップの生命表示にはいくつかの点とそれとは形の違う点が表示されている。
これが敵か···!あいつら結構いるな。どこにそれだけの数、隠してやがった!!
神黒は静かに刀の柄を握る。神黒は《大気一体》による効果で全身透明になり、物影などに潜んでいる妖怪たちに気付かれないように近付く。
近寄ってみると妖怪たちが何をしているのか分かってきた。妖怪たちは村人と俺らの人数を数え、俺らの戦闘能力さえも記録している。到底、妖怪が行う行動ではないことは俺ですら分かる。こいつらに何が起きたんだ?
神黒は記録をしている妖怪に向けて刀を突き刺し、妖怪が声を出す前に刀を引き抜く。
「何を企んでいるのか知らねぇが、絶対に阻止してやる!」
神黒は次々とテント付近にいる妖怪たちを切り裂いていく。神黒以外の人々がスヤスヤと眠っている中で静かに妖怪たちを倒していく神黒は風のように素早く、忍のように静かだった。
━━━━━━翌日。
「何なの、この状況!?」
目の前には妖怪たちの遺体、突如起きたこの出来事に恵里もろとも驚きを隠せない。
「朝起きたらすでにこのようなことに······」
村の人々も困惑していて、驚きよりも恐怖が勝っているようだ。
皆が困惑している中で神黒が話し始める。
「僕、見たんです!昨日、誰かが妖怪たちを瞬殺するのを···」
勿論、嘘である。この状況を作ったのは神黒である。
「そうか、その御方が我らを助けてくださったのだな。この村もその御方がいる限り、平穏であろう!」
守った者を崇め奉る村人たちは少し異常になっていく。
「とりあえず、私たちはこのまま私の仲間がこの件を終わらせるまで守りましょうか!」
恵里たちはいつも通り、村のテントを護衛する。今日は一匹も妖怪が出てこなかった。
このような日が何度も続いていく。その間、勇継たちからの連絡が一回も来ないことを不思議に思った恵里は何日か経った後、村があった場所へ一人で行ってしまった。
━━━━二日後。
「まだ帰ってこないね···」
「そうだな···」
神黒たちがいつも通り、テント周辺の見回りをしていると村長が話をしにやってきた。
「神黒様、先に行ってしまった恵里様を探しに行ってくれませんか?」
「行きたいとは思いましたが僕がここから離脱してしまえば、誰もこの村を守る人がいなくなってしまいます!」
「それでも良いんです!私たちで決めたことですから!」
村人たちの意志はそれほどに固くなっているのだろう。
神黒は少し心配するものの、村人たちの押しに負けて、村へ行くことにしたのだった。




