第64話 勇者!再び転移者(日本人)と出会う。
「お願いします!私の執事が呼んだ転移者様たちを助けに行ってくれませんか?」
鬼の巣を出た神黒たちにお姫様は頼む。
「わかった!」
承諾する神黒に楓は異議を唱える。
「ダメですよ神黒さん!!さっきまで瀕死の重症を負っていたんですよ!?これ以上、無理しないで下さい!!」
楓の真剣な異議に心が痛むがここで意思を曲げれば、転移者と会うチャンスを失ってしまう。
「楓······俺は大丈夫!あいつらをこのまま死なせたくない。······絶対に生きて帰る」
「神黒さーん!!」
神黒は楓たちを置いて、再び鬼の巣に入り込むのであった。
━━━ガチャン!!
扉を開けると誰かが転移者たちと話をしている声が聞こえる。
「こうも簡単にやられるとは、弱すぎる!あなたたちには失望しましたよ!井藤叶、鷲馬一!」
「なぜ···僕の名前を知っている······!?」
「私の名前も···何で!?」
······転移者の二人ともう一人は···誰だ?
その者は身分を言わずにどこかへ風化して消えてしまった。
「あいつは誰なのよ···」
「······わからないけど、今はリーダーを!
」
二人の転移者たちは瀕死のもう一人の転移者の下へ近寄る。
倒れている転移者は片腕と片足を失い、出血したまま意識がない。
「ねぇー。···ら、明······。起きてよ明~!」
「···何で叶さんはこの人の名前を知っているの?」
「明とは一緒の学校の幼馴染みだったんだ······」
「そうだったんですね······」
涙を流す叶を慰める一は裏口の方向からくる神黒の姿を視認する。
「あなたは誰ですか···!」
「待てっ!?剣を下げて、助けに来たんだ!!」
······なぜだ!先ほどまで数え切れないほどの鬼がいたのに誰もいない?どういうことだ······。
「っあ!その人、怪我しているじゃないですか!?今から治します」
神黒は先ほどの鬼との戦いで発動した超再生を使うため、先ほどと同じ状況を作る。
······確か、刀を持った状態で妖刀術や黒刀術を使っていた気がする。
神黒が黒刀術を刀に付与すると不思議なオーラを放ち始める。
そのオーラは倒れた転移者の身体から離れた片腕と片足を胴体に繋げるように纏う。やがて、片腕と片足は完全に胴体にくっつき、漏れている血液は身体の中へ戻るように入っていった。
「何ですかこれは?」
「俺にも詳しくはわからないがこのオーラが身体を再生してくれるらしい」
━━━はぁ······。
「明!!」
「俺、生きてるのか······?」
明は自身の体を見渡して傷一つ無いことを不思議に思った。
「片腕が···ある?片足もある。どういうことだ?」
「この人が救ってくれたんです!」
「······ということは、あんなに沢山いた鬼ちを倒したのか!?」
「いや、それは俺じゃない」
「じゃあ、誰が?」
「わからないけど、鬼たちを倒した人は僕らの名前を知っていた···」
「となると、俺たちの知り合い?」
「少なくとも僕は知らない。あの人のことを···」
謎に包まれた者の正体は分からぬまま、神黒たちは外で待っているお姫様の下へ向かうのであった。




