勇者!妖怪と対決する。第十八章
森を抜けた先には警備員らしき鬼と石レンガで積まれた断崖絶壁が聳え立っていた。
「あの境界から鬼の所有地に入るっぽいな」
「あの境界の奥側に私たちの両親がいるのね······」
小指で耳をほじる鬼は暇そうにしながらその耳くそに息を吹き掛ける。
「バカな人族がここへ迷い混まねーかな~···はぁーう······」
門を守る鬼は聳え立っている壁に横たわり、そのまま眠りについたのだった。
「······今、チャンスだよな······」
「そうだね······」
━━━護衛がサボっちゃいけないだろう!
神黒たちは護衛の鬼にバレないように静かに横切る。
━━━ぐぅー、ぐぅー!っぱ!寝てた!?
鬼は数分後に目を覚まし、周囲を確認するとまた、寝始めた。
「そういえば鬼の屋敷ってどこにあるんだろう?」
果てしない草原を歩き続ける。歩いても歩いても鬼の屋敷らしき建物は見つからない。
「確か、北西の方向だと言っていたけど······」
数十分間歩いたのち、鬼の屋敷らしき建物を見つける。
「あれじゃないか!」
「惜しい!あれは私の屋敷ですね~」
······!?
━━━誰だ!
いつの間にか背後に見知らぬ執事風の格好をした若男性が立っていた。
「いやいや、その感じ私のことについて知りたいようですね。良いでしょう!私の名前はエリクレール!魔鬼族の執事でございます······」
エリクレールと名乗る男は魔鬼族の執事と言っているが、そこは定かではない。
「お前も敵なのか?」
神黒の質問にエリクレールは真摯に答える。
「私は敵でも味方でもありませんよ!例えるとしたら、謎のパフォーマー!わっはっは!!」
エリクレールの言うことを信じられない神黒たちの様子を見て、たまたま近くにいた鬼に向かって、岩石を飛ばす。鬼は岩石の落下によって潰され、肉塊になっていた。
「これで信じてくれますか?」
━━━まじか!こいつ仲間をすんなりと殺しやがった······。
神黒たちはエリクレールの行動を見て、不信感を抱きつつも、攻撃体制を崩した。
「神黒と諸君たち!この屋敷を真っ直ぐ行くと君たちの目的地である鬼族の屋敷へ着く。鬼族の屋敷には選りすぐれの鬼族戦士がたくさん集っている。だから、正面からの突進は避けた方が良いと思うよ!」
「なぜそこまで情報をくれる?」
エリクレールを怪しいと感じた神黒に理由を答える。
「序盤で負けてしまうのは面白くないからね!せめて、ラスボスと対戦するくらいは見たいのさ!それじゃあ私はここでおさらばとしようじゃないか!」
エリクレールは言い遂げると瞬間的にどこか遠くへ消えてしまった。
━━━なんだったんだ!現れたと思ったら人の思考を読んでくるし、味方をすんなりと倒すはすぐ消えてしまうは、何がしたかったんだ?
神黒たちはエリクレールの言うとおりに真っ直ぐ進むのであった。
━━━━━━一方その頃。
「ここから先には行かせんぞ!!」
護衛らしき鬼が転移者たちを門の向こう側に入れないように門を守っている。
「皆さん!私が鬼のタゲを取るんでその間に攻撃を!」
「あぁ!!」
眼鏡をかけている転移者は護衛の鬼のタゲを取るため近より、小鬼との戦いで上げた自慢の脚力で鬼の攻撃を避けていく。
攻撃が当たらないことで鬼は大技を使い始めたものの、眼鏡をかけている転移者は軽々と避けた。
鬼は大技の反動でバランスを崩す。
「今だよ!!」
「おう!!」
もう一人の男の転移者が鬼の影へ移り、研ぎ澄まされた木刀で背中を切り裂く。
「うわぁー······」
鬼は倒れ、門を守る守護者はいなくなった。神黒たちは守護者のいない門を開き、鬼族の所有地に入るのであった。




