勇者!妖怪と対決する。第十三章
「鬼は行ったか……」
森の木陰から覗き込む。周辺には鬼の気配は無さそうだが、小鬼や盗賊団の交戦の跡形が残っている。交戦後の地上は血生臭く、腐食していく。
神黒たちは無惨な状態である交戦地から離れて、囚われていた人たちの故郷の村へ向かった。
囚われた者たちの村は盗賊団の襲撃によって貧困化が進んでいた。
「もうこんなに衰退しているのか?」
「そうなんです……盗賊団に金になるものと食糧を……」
村に着いた途端に囚われていた人たちは故郷に戻ってこれた安堵なのか、故郷の物を何もかも奪われた哀しみなのか、突然泣き出してしまう。
神黒たちは泣いている人たちを慰める。
「ありがとうございます。あなた方がいなければ、今頃捕まって売人に身を売られていましたよ……」
泣きながらお礼を申す村人は村を復興するために村へ行ってしまった。
「神黒さん、これからどうしますか?」
「一度どこかで休息を取りたいんだけれど……」
鬼たちとの交戦で神黒は片腕を脱臼し、もう片方を火傷してしまった。刀に帯びた黒炎は我が身を蝕んでいたらしい。
その話を聞いたある一人の村人から声をかけられた。
「もし良ければ……、この村に一泊して行きますか?」
その村人によるとほとんどは盗賊団によって奪われてしまったが、唯一宿屋だけは無事であったため、そこに泊まると良いと言ってもらえた。なぜ宿屋だけ無事だったのか、聞いてみると、その宿屋には元武士の村人がいるらしい。
「一泊しても良いなら、ありがたいです」
こうして神黒たちは囚われた村人たちの故郷、影炎村に泊まるのだった。
━━━その頃。
「なぁ!この山、ゴブリン多すぎないか!!」
「確かに多いですね!でも、鬼山というくらいですから、当然でしょう!」
「何であんたはそんなに冷静に考えられるの!?」
「それが僕のモットーです!」
転移者たちは10匹の小鬼と乱戦中であった。転移者たちは先ほど作ったばかりの木刀と杖を使って抵抗していた。
新たに覚えた《妖刀術》を使って、小鬼たちを倒していく転移者たちは、徐々に経験値を稼いでいき、《妖刀術》のレベルを上げていく。
「ちょっとずつ経験値は稼げているけど、こいつらいすぎなんじゃないか!?」
「もう妖力がないよ!!」
「もう少しだけ頑張って!!」
転移者たちは次々と湧いてくる小鬼たちを斬り倒していく。
「······終わったか……?」
次々と湧いてきていた小鬼たちが出てこなくなくなった。
「やっと!終わった〜!!……次々とゴブリンが来ていて凄い疲れたー」
「スッゴいですよ!二人ともステータス画面見てください!!」
眼鏡をかけた転移者が大きな声で話しかける。その話を聞いた二人の転移者はステータス画面を開く。
ステータス画面を開くと《妖刀術》のレベルが10上がっていた。
《妖刀術》のスキルスロットに転移・影と転移・水が追加されていた。その他に、速度上昇なども獲得していた。
「使えそうなスキルがいっぱい追加されたー!!しかも、転移スキルってその場所から別の場所へ瞬間移動できるってことですよね……こういうスキル、サイコーです!!」
眼鏡を掛けている転移者が珍しいスキルに上がっている。
転移者たちはステータス画面を閉じて(眼鏡を掛けた転移者以外)小鬼との戦いでボロボロになった武器を手入れしていくのであった。




