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視聴天性  作者: おらた
大山蛙退治編
51/167

勇者!妖怪と対決する。第十章

「誰か居ませんか~?」

 洞窟の入り口から少女のような声が聴こえてくる。神黒はドラントの遺品を持って、声の聞こえた方向へ向かった。

 近づくにつれてその声は近く、大きくなっていく。入り口が見えるとそこには見覚えのある顔をした子が入り口の端に隠れながら、誰かを呼んでいた。

「誰か〜!……いないのかな···?」

「楓ー!!無事だったかー!!」

「···!?神黒さん!?神黒さーん!!」

 洞窟の入り口にいたのは楓だった。話によるとこの洞窟で先ほどまで暖を取っていたらしい。そんな時に中から小鬼が出てきて、急いで洞窟から出て、隠れていたわけだ。

「良かった!無事で良かった…。楓、桜を知らないか?」

「神黒さん、一緒じゃなかったんだ…」

「これは結構危険だな…。迷いやすいこの場所で桜一人にさせるわけにもいかない。早く見つけ出せれば良いが……」

 ━━━キャー!!

 洞窟から見て北東方向から幼子が叫んだような声が森づたいで聴こえてくる。

「今の叫び声、小鬼たちが向かっていった先だ!?しかも、何だか桜の声に似ていたような……」

「とりあえず向かおう!行けば分かる」

 神黒と楓は小鬼たちが向かった北東方向に向かい出す。北東方向は森林に囲まれ、霧も濃い、一度迷えばもう戻ってこれないだろう。

 森林を駆けていると楓から問いかけられる。

「さっきから気になっていたんだけど、その刀、前よりも綺麗になってない?」

「···あぁ!これか。実はあの後、鍛冶師にあって、無料で直してくれたんだ。······もうその人はいないけど…」

「そうなんだ…。だから、その刀から禍々しい雰囲気が放たれているんだ…」

「···ん?そんな禍々しい雰囲気出てる…?」

 神黒と楓が叫び声の場所へ着くとそこには複数の小鬼と桜を誘拐している盗賊団が交戦していた。

「お前ら!早くゴブリンを倒せ!こんな奴らに手こずってる時間はねぇぞ!」

「やぁー!」

 小鬼を目掛けて盗賊団の下っ端が襲い掛かる。同時に小鬼たちも乱闘しようと襲い掛かっていく。

「楓、あそこに桜がいるのが分かるか?」

「うん!でも、桜のいる所は盗賊団が厳重に守ってるよ…」

「おそらくだが、あの盗賊団が近隣の村を燃やしていたのかもしれない…」

「何で?」

「あの檻の中に桜以外にも乗っているのが分かるか!」

「うん、あ!桜の隣にいるのうちの村にいたお姉さんたちだ!」

「他にも多くの若い子供や女性を拐ってる。多分だけど、あいつら人を売ろうとしているんだ!」

「そんな…」

 神黒の言葉によって、楓は盗賊団をおぞましいと感じた。

「ゴブ!!ギャブワァー!!」

 小鬼たちは盗賊団の下っ端によって次々と倒されていく。小鬼の死にゆく悲鳴が嫌なほどに聞こえてくる。

「やっぱりゴブリンどもは雑魚だな!わっはっはっ!!こんな奴らに手こずるわけねぇだろ!」

 盗賊団は小鬼たちを見て嘲笑い、小鬼の胴体を蹴り飛ばすなどをして、荷馬車に戻って行く。そして、荷馬車を動かそうと盗賊団の賊が馬を走らせようとすると、馬は悲鳴を鳴らしながら暴れだす。

「ヒヒーン!ブルルル!」

「おい!暴れるっ!」

 盗賊団の目の前で小鬼の集団が弓を構えて、盗賊団を襲おうとしていた。

「なんだよ。また、ゴブリンか!手こずらせやがって!」

 盗賊団が先ほどのように小鬼たちを襲おうとすると、後ろから大きな小鬼とそれよりも遥かに大きい鬼が出てきた。

「オーガァー!!」

 大きな小鬼や大きい鬼は盗賊団の下っ端を一瞬で両断して、跡形が分からなくなるまで棍棒で叩いていく。

 一部の盗賊がそのさまを見て、錯乱してどこかへ逃げようとする小鬼に捕まり、見るも無惨な体にされていく。

盗賊団の首領は拐ってきた人間が入っている荷馬車に乗って、一人で逃げようとする。

「待ってください!首領~!」

「一緒に死ぬのはごめんだ!俺だけでも金持ちになってワーキャーな生活を送るんだ!!」

 部下の助けを求める声を振り切って、逃げ出していった首領は先に回り込んでいた大きな小鬼に頭を棍棒で叩かれ、無惨な状態で亡くなる。

「わぁー!やめて…やめて!!」

 近づいてくる小鬼たちに怯える拐われた者たち。よだれをたらし、舐めるような目つきで拐われた若い女性たちを見た小鬼たちは檻を壊そうと棍棒で叩く。

「やばいよ!神黒さん!どうしよう!このままだと桜たちが危ない!!」

「······どうすればいいんだ……」

 神黒は無意識にドラントが仕立てた刀を見る。刃先が紫色に光り、少しでも気を抜いたらバランスを崩しそうなぐらい重い刃。

 神黒はなんとなく、この妖刀には今を逆転させる力が備わっているのではと考えさせられてしまう。

 神黒は視聴・閲覧スキルを使って、この刀のステータスを閲覧した。

|━━━━━━━━━━━━━━━━━━|

【影之一零式・改】

 一万年前、突如現れた鉱石【魔石】。長きにわたり、大気中から吸収された魔素を溜め込んだ最高級の魔石を元に造られた刀。

【ウェポンスキル】

・《妖刀術》

・《大気一体》

・《黒刀術》

・《反応速度向上》

|━━━━━━━━━━━━━━━━━━|

 普通の刀とは思えないほどにたくさんのスキルがこの刀には詰め込まれていた。

 神黒はまた無意識に《大気一体》を閲覧スキルで詳細を調べた。するとそこにはこのように記されていた。

 ━━大気一体。それは空気に身体を溶け込ませる術。気配さえも空気に溶け込む、黒術の妖刀のみに与えられた天からの1品。

「これってもしかして……」

 言いかけた言葉は行動へと変わり、神黒は刀を持ってこう唱えた。

「大気一体!」

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