新しい世界は初代勇者がやらかした世界!?
魔王を討伐することに成功した勇者は王城に帰還する。そこで待っていたのは元の世界に戻るのではなく、幻の地下100階での監禁であった。勇者は王に裏切られ、息を引き取るまでこの真っ暗な部屋に閉じ込められる羽目になった時、新スキル「視聴・閲覧」の能力を思い出すのであった。
このスキルにより、この世界とは別の世界に行くことに!
舞台は中世ヨーロッパ風の世界へ行く。勇者はこの世界でも強敵を倒すことが出来るのか?
それでは本編に連れていきましょう……。
勇者は城下町に到着するまでにこの地域の情報を閲覧スキルで調べていた。
···アクンの国…北方の温暖な地域に位置し、カリア地方にあるセミンス帝国と対立を激しくしている。温暖な地域に位置しているため、ゴブリンやウルフ、機械兵が生息している。
···ゴブリンやウルフか、最初の国としては良い場所になりそうだが、機械兵とは何だ?
機械兵の情報を閲覧スキルで調べたところこのように表示された。
「一代目勇者(研究変人)が大量に生産した古代兵器。ちなみに一代目勇者が最後に作った機械兵は美男子らしい…」
初代はなぜこんな物を大量生産したんだ?
正直、終盤につれて戦闘兵器を作ることに飽きて、見た目重視の兵器作っているし……もう趣味として人間作ってるだろこれ…。
勇者は初代の至らなさと変人さに唖然する。
「···って事なのか。だいたいの知識はこれで大丈夫か。いや~、初代の勇者は何をし···わぁっと!」
歩きながら情報収集していたら、目の前に槍が振り下ろされた。
「ここからは通行手形か身分を証明できるものを見せろ!見せなければこの門から先へと立ち入ることを禁ずる……」
目の前にはずっしりと構えた門番が視線だけを勇者に向け、質問の答えを待っている。
···通行手形って何ですか!てか通行するのに身分証明が必要なんて知らないよ…。とりあえず何か身分証明できるものを!?
慌てて手持ちを探っていると村人セットに入っていた通行手形を見つける。
···これだ!
「お願いしますっ!」
勇者は名刺を渡すかのように両手で通行手形を渡す。
「······おっ!承った……」
少し引きぎみな門番だったが渡した通行手形を見て、下ろしていた槍を振り上げる。
「通ってよし。だが、聞いたことのない村に住んでいたのだなアレス・フォーカーくん」
···アレス・フォーカーって誰だ?まぁこれからはアレスと名乗るか。
「比較的新しい村なんですよ~…」
流れのまま門の中へと進む。中はレンガで建てられた家や店が連なっている。
屋台の賑わいや家庭をもっている人の微笑ましい会話が聞こえてくる。
「城下町の中に入ったけどこれからどうしよう···」
目的もなく町の中を彷徨っていると学生の声が聞こえてきた。
「そろそろ新入生の試験の季節になるな。俺らも最後の年になるのか〜!後悔がないようにラスト一年過ごそうなシンジ」
「そうだな!今年は勇者が召喚されたこともあって、俺たちも加勢する噂もあるしね」
···学生、しかも貴族っぽいな〜。俺は村人設定だから、貴族とは関わらないだろうけど、勇者達と共に戦うと言っていたことが気になるし、学生にもう一度なってみるか!
アレスは学生の話を聞いて国立魔法学院に入学することを決意したのだった。