勇者!妖怪と対決する。第八章
━━━バチンー!!
グリックのレイピアはドラントが腰にぶら下げていた小型ハンマーによって弾かれる。
「甘いぞ!グリックッ!!」
殴段のグリックが萎縮するほどに迫力のある発言に神黒さえも圧される。
「グリック!やる気があるなら正々堂々本気で来い!!」
「ドラントさん!何を言っているんだ!あんたは殺されかけているんだぞ!?」
ドラントはやれやれと当然かのように語る。
「グリックの野郎には私を殺すことなんて出来ぬ。なんせ、あいつには覚悟が足りん!」
ドラントの言葉はグリックの逆鱗に触れる。
「俺にはもう殺す覚悟なんざ出来ているわー!!殺ってやるよ!」
狂ったかのようにドラントにレイピアを突き出した。
「甘いと言うとるじゃろ!」
「まだだ!!」
グリックは負けじとレイピアをドラントに突き刺し続ける。だが、一度たりともグリックのレイピアはドラントに当たることがない。
「はぁ…はぁ…なぜ当たらない…?」
「簡単なことじゃよ!剣先が揺らいでおる。そんな攻撃じゃわしに当たるわけが無いじゃろ!………お前さん、前は短剣と毒針を使った即殺者スタイルだった気がするが……あれの方がまとめられていて強かったがな………」
ドラントの呟きを無視するかのようにグリックはレイピアをドラントに突き立てる。
「うるさい!!」
グリックは荒ぶりながらドラントにレイピアを突き立てるが、ドラントは初撃はかすったものの、その後の攻撃は全てかわしていった。
「やっぱり慣れてないし、レイピアもコントロール出来てないじゃないか!」
ドラントはグリックが前より弱くなっていて、呆れてしまう。
「そんなにも弱くなってしまったならもう邪魔をするな!…………(カンッ!…カンッ!)グハァッ!」
突然、ドラントは口元から多量の吐血をする。神黒は突然の吐血にドラントの下へ、すぐに駆けつける。
「どうしたんですかドラントさん!?多量の血が!!」
「······キャッハッハッハ!キャッハッハッハ!!レイピアに付けておいた毒が効いてきたようだな!ざまぁ見ろ!コホン、これで俺の仕事も終わりだな…」
グリックは吐血したドラントを後にして、霧の中へと消えようとする。
「ドラントさん!生きてくださいドラントさん!!」
少しの間でも旅を共にした仲間、神黒はドラントが目の前で消えていくことを悲しく思い、瞳から涙が溢れる。そんな神黒を見て、にこやかに笑う。
「お前さん、名を何と申すか?」
「神黒です。一風神黒です……」
「神黒……ブハァ!」
「もう喋らないで!無理しないで……」
神黒は手元にあったバックから最初から入っていた回復薬を取り出して、ドラントに飲ませる。
「······良い名じゃな、今からお前さんに渡すものがある……」
そう言うとドラントは神黒に黄色くて白く光る鉱石と少し大きめの紙を渡される。
「これは……?」
「その紙にお前さんの名を書いてくれ…」
ドラントから渡された紙に自分の名を書く。
━━━一風神黒。
「これで良い···?」
「よし、これをこうしてこうじゃ!」
ドラントは神黒が署名した紙に自分の名を書き、神黒に渡す。
「最後の頼みじゃ。これを土の国【ドラン】に渡してくれないか…」
「······分かりました……絶対に渡します!」
「ありがとう……」
ドラントはありがとうという言葉を呟いて、息の根が途絶えた。神黒はドラントから渡された紙を持って、永遠の眠りに付いたドラントの目を神黒が閉じるのであった。




