勇者!妖怪と対決する。第二章
「黒忍さん、今はどこに向かっているの?」
戸惑う楓が向かっている場所を尋ねてきた。
「一様建物がありそうな場所をさっき見つけたから、そこに向かっているんだ!」
「そうなんだ…」
楓はまだ神黒を信じることが出来ずに戸惑っているようだ。そんなあやふやな感情のまま歩いていると、向かっている建物が見えてきた。建物の近くには子どもらしき影が見える。神黒は建物を見つけてそそくさと向かっていった楓と桜を右腕で抑えて、近場の草むらに潜んだ。
「何するのよ!私たちの友だちが目の前にいるの!実ちゃんがいるの!早く行かせてよ!!」
久しい再会に喜びを隠しきれない楓が、神黒の腕をどかそうと反抗する。神黒は腕に力を入れ、腕を動かそうとしない。
「待て!冷静になれ!まだ安全と決まった訳ではないんだ!一度落ち着け!」
「落ち着いてなんていられないわ!」
神黒と楓が争っていると桜が建物の方向を指差す。
「あそこで何かしてない?」
神黒と楓は桜が指差す方向を見ると全てを理解し、絶句してしまった。
そこで行われていたのは、人ならば行わないはずの行為を楽しむように行っている人間の姿だった。
「実ちゃんが人を殴るわけがない…。あの子は誰なの…」
「あれは人間なんかじゃないよ。妖怪だ!髪の毛の間に角が一つ生えているだろ…」
神黒は出会ったことのない相手を前に犠牲になる人を見捨てることしかできなかった。もちろん楓や桜も同様に…。
空は月が出始め、満点の星が広がっている頃。神黒や楓たちは惨殺されてしまった人々を見て、言葉を失う。
神黒たちは放置されている遺体やボロボロの建物を見ながら奥へ進んでいく。
「妖怪いなくなったね…」
「そうだな。全員を倒して満足して元の巣へ戻っていったんだろ!」
「この場所にはもう誰もいないのかな…」
するとボロボロの建物から微かな物音が聞こえる。神黒たちが物音のする建物に近付くとそこには足を倒れた柱に挟まれ、もがき苦しむ者がいた。神黒たちはそのものを救うため倒れた柱を持ち上げて救出する。そして、どのような状況なのか話を聞いた。
「すみません、今この村で何が起きているんですか?」
「妖怪の襲来じゃよ!我らはその襲来から逃げるようにこの地まで来たわけだが、まんまと罠に引っ掛かってこの始末じゃ…君たちも早くここから逃げるのじゃ!」
足を負傷した老人はそそくさと消えていった。
「行っちゃった…」
「姉ちゃん…!」
桜が突然、瓦礫の山の方向を指差す。そこには1人の遺体と手紙が置かれていた。
内容はこう記されていた。
━━━お前の妻は我ら鬼族を拐った。返して欲しければ1人で北東にある鬼山に来い。
「この内容って…」
近くで倒れていたのはお父さんの知り合いらしい。楓たちはよくこのおじさんに遊んでもらっていたから、よく覚えていたらしい。涙を流す楓と桜を見て、神黒はただ抱きしめることしか出来なかった。
しばらくの間泣いていた楓と桜は神黒の腕から抜けて、瞳に輝く涙を拭き取った。
「···私、お母さんを助けに行きたい!」
「···僕も!」
「私たちを手伝ってくれない…」
「もちろん!俺だって、こんなことさせられて黙ってられないよ!」
神黒たちは手紙に書かれていた【鬼山】という山へ向かうのであった。




