勇者!妖怪と対決する。第一章
とぼとぼ村の周辺を歩いて行く勇者と女の子と男の子。2人は村の火災によって、離ればなれとなってしまった親を探すために勇者とともに歩くのだった。
「ねぇ、あなたの名前は何て言うの?」
女の子から名前を聞かれる勇者。勇者はこの世界の自分の名前を知らなかったため、閲覧スキルを使用して名前を調べた。
「俺の名前は一風神黒。黒忍とでも呼んでくれ!」
「···黒忍?なんで」
「···語呂が良いだろ···?」
━━━日本にいた頃ゲームとかで主人公に良く付けていた名前とかなんて言っても分からないだろうな…。
彼女たちは軽く頷いた。
「それはそれとして君たちの名前はなんだい?」
「私たちの名前は楓、色幹楓と色幹桜です!私たちは楓と桜と呼んでください!」
「楓ちゃん、桜くん!っでいいのかな···?」
「か・え・でとさ・く・らです!!」
「わかった…、楓と桜ね…」
神黒は閲覧スキルで表示しているここ周辺の地形を見ながら楓と桜の親のいそうな所を探していく……。
神黒の地図には、この村から北西の方向に木で建てられた不格好な建築物が表示されている。そこには人のいる表示もあるため、きっとこの場所に一時避難したのだろう。
神黒は楓と桜と共に北西にある木造の建造物へ向かっていったのだった。
「すいません〜。誰かいますか~!」
転移者は昨日、訪れた屋敷へ足を踏み入れ、転移者をこの世界に召喚した人である小袖の商人を探すため声をかける。
「······」
発した声に反応する声は返ってこない。少し気は引けるが転移者たちは屋敷の中に無断で入っていく。昨日、案内された部屋へと歩みを進めていく。転移者たちがその部屋に着くとそこには1人の遺体とそこにいるはずの人がいなくなっていた。
「······商人さん…。起きてください!」
1人の転移者が話しかけても返答がくる様子はない。
「あれ、姫様は?」
「確かに姫様はどこに行ったんだ?」
小袖の商人の遺体には抜刀したであろう刀と姫様が拐うという内容の紙がつかまれていた。きっと、小袖の商人はこの紙を見て、姫様を守りに早急にこの屋敷に戻って来て、敵と闘い、その結果このようになってしまったのだろう。
「この商人の分まで俺たちが姫様を助けに行こう!」
「そうですね!私たちで助けましょ!」
転移者たちは小袖の商人の意志を継いで姫様を助ける旅に出るのであった。