新世界へようこそ
━━━その頃勇者は…。
暗い部屋の中で少しの光と液晶パネルから出る光だけの光で転移者の様子を伺っていた。
━━━和風テイストの世界で転移者は大山蛙というモノノケを退治することがクリア条件になるということか。
液晶パネルのタブを開き、前のようにその世界へ行こうと操作していると一つだけ前回時点ではなかった表示を見つける。
━━━何だろ……。ポチッ!
表示をタップしてみると適正能力欄という項目が表示され、そこには付与魔法と書かれていた。
━━━何だこれ?こんな表示、前の世界では表示されていなかった気がするが…。
勇者は表示を消して、新着の世界へ転移することにした。
アバターは前回とは一変して、和風感を出すために紺色の鮮やかな和服に草履を履いた江戸っ子スタイルのアバターにイメージチェンジさせた。
━━━この世界でも馴染みそうな顔だし、今回こそはバレずに影でサポートするぞ。······少し必殺仕事館みたいな感じのをやってみたかったんだよね······。
アバター選択の完了ボタンを押すと光線に導かれ自分の身体が粒子状に分散し、透明な液晶パネルの中へ吸い込まれていく。
「やっぱ、何度やっても慣れないな~身体が粒子状になるまで分散される現象…」
勇者は粒子状になった自分の身体が目の前にある24インチほどの液晶パネルに吸い込まれている様子を見て、新鮮な気持ちを感じてしまう。
粒子状に吸い込まれた勇者はタイムワープのような場所で前に輝る目的地へ歩んでいく。遠くに見える光は徐々に赤色に変わっていき、徐々に暑くなっていく。
勇者は異常な暑さに不信感を抱き、歩みを止める。勇者は訝しみながら新世界へと足を入れるとそこは……火の海と化した農村だった。村の大半を有している米の田んぼは炎によって焼かれて育っていた稲は全てダメになっている。農村には村人が残っていたり、小さな子どもも残っていた。空は暗く月は炎の明るさで少し曇る。
勇者はワープホールを出た後、近くにあった農民袋を手に持ち、村の様子を見に火元の農村に向かった。
その頃━━━
「おはよう……。みんなよく眠れた···?」
「私はいつもベッドだったから違和感はあったけど別に普通に眠れたよ」
「僕はいつも布団だから変わらないかな~」
転移者はそれぞれの部屋で一人で寝ていたが寝不足になった雰囲気は無さそうだ。すると、眼鏡を掛けたショートヘアーの女の子は同じ眼鏡の真面目そうな男の子とカーストの高そうな誰にでも親しく接しそうな男の子に話しかける。
「ここってトイレどうするんだろう?」
「洋式トイレはまだ無さそうだし、和式トイレでするしかないのでは…」
「···最悪、森や森林でするしかないかも知れない……」
「そんな~!」
嫌そうな表情は顔だけでなく、態度にも出てきている。
転移者達は宿屋を出て、小袖の商人の元へ向かうのだった。




