勇者!新しい世界を観賞する…。
勇者はタブを開き、中身を視聴してみる。
着物や小袖を着たものや下駄や草履を履いて歩いている物が多く見られる。
毎度のように転移者は制服を着て登場するが、転移する際に世界にあった服装に変わらないのか…?そもそも学生以外に転移するものは出てこないのはなぜだろうか…。
勇者は疑問に思いつつ、目の前にある24インチほどの大きさの液晶パネルに映されている映像を直視する。
世界の違いなのか、転移者達を召喚したのはどこぞの偉い貴族などではなく、どこにでも居そうな小袖の商人であった。
転移者達は最初はわくわくウキウキしていたものの小袖の商人の話や町並みなどを知っていく内に思っていた理想とはかけはなれている現実に意欲喪失していく。
その様子は液晶パネルを挟んでもくっきりはっきり分かる。小袖の商人が向かった先には雨などで腐食した様子の木造建築に小柄の庭園のあるお屋敷があった。
転移者達はお屋敷の奥へと進んでいくと一部屋だけ明るい部屋を見つける。ろうそくが数本灯されている間には白い着物を着た白髪の若い女性が布団の上で寝込んでいた。
小袖の商人の話によるとモノノケの呪いによって1ヶ月間寝込んだきりで食事も喉を通らないらしい。この女性が普通の庶民なのであれば、ここまですることもないけれど、何とこの女性は都のお偉いさん方の娘らしい。娘の安全を保証するために辺境の地で成人するのを待っているらしい。危険な状態の娘を救うには伝説のもののふと呼ばれた導き手を呼ぶために有名な陰陽師に召喚を頼んだらしい。
「もののふ様!この娘、白鳥菫姫を救ってください···!」
「······そう言われても何をすれば良いの?」
転移者の質問に小袖の商人は紳士に答える。
「姫様の呪いの元凶であるモノノケ、大山蛙を倒しに行ってほしいんです…」
小袖の商人は頼み事を話しながら頭を下げてお願いをした。転移者達はお願いを受け入れ、救うと約束をした。
先程の建物から出ると小袖の商人が宿屋の若女将を紹介し始める。
「この方が今日、もののふ様達に泊まってもらう宿屋の若女将でございます。これから私は少し仕事が有りますので、詳しいことはこの若女将に聞いて下さい。それではまた明日!」
「もののふ様達の宿屋をご用意しておりますのでこちらへどうぞ!」
豪華そうな装飾品の付いた木造建築の宿屋に案内される。まず、草履や下駄を仕舞う下駄箱に昔ながらの木札の鍵が使われている。ちなみに松竹錠と言うらしい………。
玄関を過ぎると目の前に小さな庭園があり、石の地面に松の木などが植えられている。
少し歩いた所にカウンターが置かれており、カウンターから右へ進むと転移者の住む部屋があった。
中には和風雰囲気のある布団や囲炉裏が完備されている。もちろん収納場所もあり、不自由は無さそうだ。




