勇者!休日を謳歌する!! 後編
アレスは街の西側にある騎士の練習場へと足を進めた。今日は月に一回開催される騎士同士での模擬戦の日だ。今回はいつもとは違って特別に勇者一行がその模擬戦に参加するらしい。
アレスはその戦いを観に行くために練習場へ行っているのだ。
「━━━選手!1ヶ月の期間を経て、宿敵のバタール選手に打ち勝った〜!バタール選手は悔しそうだ〜!」
···もうやってる。この模擬戦は共に戦う騎士たちが競い合ってより力をつけるために行われているらしいが、今では国中の民衆が楽しむ一大イベントになっている。
アレスはもっと近くで観戦するために練習場の観客席に座る。すると、隣から突然声を掛けられる。
「あー!アレスさんじゃんないですか!?」
「アレスくん!?」
そこで驚いていたのはミレトアさんとフェトだった。アレスはこの珍しい組み合わせに驚いて、勇者たちと団長の模擬戦を観ることを忘れてしまう。
「2人もこの試合を観に来たのか?」
「そうです。フェルトさんが誘ってくださって…」
━━━驚いた。勝手にミレトアさんがフェトを誘っていたのだと思い込んでいた…。フェトとミレトアさんってそんなに仲が良かったのだろうか?
不思議に思った表情をしているとそれを察したのかフェトが話してくれた。
「僕たち合同訓練の時、同じグループだったじゃん、その時に色々と話が合って今日の試合を観に行こうと誘ったんだよね…」
━━━境遇が少し似ているから、馴染みやすかったのだろう。
「━━━勇者はやはり強かった〜!団長相手に一撃も受けずに勝ってしまった~!」
異様なほどに大きな声援が練習場を包み込む。
「やべっ!?もうこんな時間!俺はもう戻るよ!」
時間は既に一時間を過ぎていた。アレスは急いで武器屋のオッサンに仕立ててもらっている武器や防具を取りに練習場を後にする。フェトたちは仲が良さそうに話し始めた。
············
「親父さん!武器の仕立て終わりましたか?」
アレスが武器屋にいるオッサンに話しかけるとオッサンは堂々と喋る。
「できたぜ!最高の出来だ、期待しな!」
カウンターに置かれた武器や防具は新品のように綺麗に仕立てられている。
「オッサン!いい仕事するじゃないですか!!」
アレスはただ驚くことしかできなかった。
新品のような仕上がりの武器と防具を持って、スタジアムの訓練場へと足を進める。
スタジアムに着いたものの観客や冒険者は騎士団の練習場やクエストの受注で来ているものは少ない。
受付を終えたアレスは仕立てられた武器や防具を付け、剣を上げる。
アレスは荒っぽい息を整え、一撃に決めるために力を蓄える。
━━━グラントスペルホーリーソード!
剣は白色に光り、聖なる波動を放つ。空気中にある邪気は消し去っていき、心地よい空気が広がっていく。
アレスが持った剣は聖なる波動で空気中を切り裂いてスタジアムの壁を切り裂く。
「よしっ!威力は申し分ないな…」
アレスは自分の光魔法の威力を確かめるとスタジアムを出て、いつもの宿屋へ帰るのであった。




