勇者!この回には出てこないだと!?
季節は春から夏へ切り替わる頃。
━━━北部の村━━━
村の建物は崩落して、畑や家畜は無惨な姿へと変貌する中で終わらない殺戮が村を襲う。
「━━━ギャー!」
「やめてください!先導騎士様なぜ村や町を破壊するような行為を!?半年前の先導騎士様はこんな暴挙には絶対にしない御方だったのに!?」
村長は先導騎士の豹変ぶりに感情が追いつかなくて、感情が悲しみと苦しみに揺さぶられる。
先導騎士の兵士からこれ以上破壊するべきではないと言われると先導騎士は兵士の言葉を押しのけ喋りだす。
「兵士諸君!殺されたくなければ庶民を殺戮せよ!守れないものは死あるのみ!!」
先導騎士は兵士に脅迫に近い命令を下し、村人達を襲わせる。
村人達はなす術なくことごとく一方的な殺戮が執行された。
「誰···か、助···け···てっ………。━━━」
切りつけられた体で男性が最後の力を振り絞って声を上げる。声は響くこともなく、闇の中へと消えていくのだった。
召喚された勇者が辿り着いた頃には村に住んでいた人々は跡形もなく消え去っていた。
「生き残りの方~居ますか~!」
勇者達は村の全域で呼びかけたが言葉が帰ることはない。
「先導騎士の野郎っ!絶対この拳でぶん殴ってやる!」
第三の勇者、石井一樹は村の状況を見て、先導騎士に対して激怒する。村をこんな目にした恨みとこうなるまで置いてしまった怒りが込み上げる。
「ってか!?怖すぎませんか祐司?」
「大丈夫だよ由衣!俺が守ってあげるから!」
「祐司よりも俺の方が由衣を守れる!由衣俺に着いてこい!」
一樹は由衣が祐司ばっかに頼っていることに苛立っているのか、少し怒り気味に言葉を発した。
「みんなで協力していきましょ!」
精一杯の声で平斗は3人の勇者に話しかける。
「お前は黙ってろ!」
「スイマセン…」
平斗は一樹の気迫に当てられ、黙り込んでしまった。
「一樹に任せるから、稲区くんを責めないでほしい」
「責めてはいないぞ。あいつが勝手に萎縮しただけだ!」
「分かったから」
勇者一行はこのようにまだ上手くいっていないようだ。
村中を探したが先導騎士の手がかりになるものは出てこなかった。