第123話 勇者、森のモノノケと遭遇する。
「クレハさ~ん!どこにいるんですか~!!」
「クレハさ~ん!」
神黒たちはクレハを追って、森の奥地へと踏み入れていた。奥につれて木々の間隔は狭くなっていき、地表は沼地へと変化していく。
「靴が泥に絡まって上手く歩けないよ」
「もうここに来てから1時間くらいぶっ通しで歩いて疲れたよ···」
「ちょっと休憩するか······」
近くにあった沼のない太陽の日が照らす木漏れ日に場所を移動した。沼地で泥だらけになった靴を脱ぎ、雑巾で泥を拭う。
布袋に入れていた食料と水を取り出し、口に入れる。
「クレハ···ムシャムシャ···さんってなんであんなに研究熱心なんだろう?」
「ムシャムシャ···それ思ってた!真面目に術式を研究する人なんてこの世界にいる人から探したって、クレハさんくらいでしょうし···」
「なんでそう断定出来るんだ?研究者くらいいくらでもいるだろうに······?」
「いないよ!だって、この世界に存在する術は全て伝説の5人の侍が神に授かった物と語り継がれているのよ。だから、ほとんどの人が神に授かった物は完璧だと思っているわ。あと、別に困ったりすることも少ないし······」
「そっか······」
神黒たちは積もらない話に花を咲かせていると手に持っていた食料と水は無くなり、泥も拭き終わった。
「そろそろ行くか!」
クレハを追い、神黒たちは森を彷徨っているとまたもや怪物のような鳴き声が森中に鳴り響く。
「今の声って······!」
「あぁ、ドッペルゲンガーかも······」
神黒たちは怪物のような鳴き声の下へ向かう途中でまたもや声が聞こえ始めた。
「ギャアーー!!」
頼りない声が聞こえた。
「この声って······、クレハ?」
「クレハー!!いるなら返事をくれー!!」
「ギャアーー!!」
鳴き声の下へ辿り着くとそこには、ドラゴンに変身したドッペルゲンガーと目の前の怪物に怯えたクレハがいた。
大声で呼んでも、クレハはドッペルゲンガーの気迫に動揺して、周りの声さえも気付いていないようだ。
「もう、まったくーー!!」
神黒は腰にさげていた影之一零式・改を引き抜き、ドラゴン化しているドッペルゲンガーに黒刀術と妖刀術を重ねた術業を放つ。
「黒妖十字・連撃!!」
凄まじい血飛沫と黒い霧が舞う。
━━━ギャーン!!
「神黒くんたちじゃないか!?」
「やっと気付きましたか!炎術式 爆炎の火の玉」
「僕も行きます!嵐術式 旋風の刃」
楓と桜は属性術を使い、ドッペルゲンガーに打ち放つ。
━━━ギャーン!!
「今のうちに後衛へクレハさん!」
「はい!」
クレハは木の影に隠れ、神黒たちの戦闘を観戦するのであった。




