第121話 勇者、森へ出向く。
「ここら辺だったよな商人長が言っていた森って···」
神黒、邪悪な気配が近くなってきておるぞ。いつモノノケが来てもおかしくないから、刀は持っといた方が良いぞ······。
神黒はイザナミに言われるままにドラントに改良してもらった刀を亜空間から取り出した。
「神黒さん、そろそろ何ですね···」
「あぁ、楓たちも警戒しといてくれ」
神黒たちは四方の感覚が分からなくなりそうな森をゆっくりと進んでいく。視界は木々や小枝によって太陽の光が遮られて暗く、不気味な雰囲気が漂っているように感じる。
今神黒たちがいる場所はペトム村から南方に位置する森。名前は付いていない。普段は普通の森で良く周辺の村人などが食用草やキノコなどを採りに来ているらしい。だが、今はラルリットにいる防衛団によって立ち入り禁止にされている。今回は商人長のお力添えもあり、特別に入ることを許してもらえたのだ。
神黒!
急にどうしたイザナミ!?
今からここを出るのじゃ!!
何でだ?ペトム村の一件はここにいるモノノケの仕業かも知れないだろ。ここで討伐すれば全部、解決するじゃないか······。
いや、神黒の言っていることは最もだ。だが、ここに棲むモノノケのことをやっと思い出したんだ。ここにいるのはドッペルゲンガー。名の通り、目の前にいる者と瓜二つの姿に変わることが出来るモノノケ。もっと詳しく言うとその者のステータスを全てコピーし、モノノケ自身のステータスにプラスすることが出来る。
そんなに強いのか······。作戦とか考えとかないとな······。
私が言いたいのはそういうことではなく、商人長に騙されたということですよ!
商人長に騙された···。どういうことなんだイザナミ?
ペトム村の周辺に2つ邪悪な気配を捉えたことは教えているよな。
はい。
1つがこの森でもう1つはラルリットの商業処にある。そして、この付近で生息しているモノノケはドッペルゲンガーと魔竜、ドッペルゲンガーがこの森にいるのなら、魔竜が━━━━━━。
イザナミ、イザナミ!急に会話が出来なくなった······。




