第119話 勇者、街を散策する。
「ないな······」
「見当たりませんね······」
掲示板に貼られている依頼書を全て確認してもペトム村に関する依頼は届けられていなかった。
神黒たちは侍処の受付嬢にペトム村に関する情報が届けられていないか、聞いたもののペトム村からの依頼は一切無く、受付嬢たちも不審に思っていたらしく、現状を話すととても驚いていた。
「そんなことになっていたんですか!?すみませんが今すぐお時間いただけますか!?」
「あっ、はい···」
神黒は真剣な眼差しを送る受付嬢に圧倒され、ついつい返事をしてしまった。神黒は受付嬢に引っ張られるように応接室へ招かれるのであった。
「こちらで少々お待ちください!」
神黒たちを応接室へ招くと受付嬢は誰か上司を呼ぶために外へ出ていってしまった。
ここは前、通っていた侍処とは違って、洋風を思わせる石造りで高級そうな壺やお皿が並べられている。おそらく侍長よりも高い権威を持つ者に失礼が無いように常に高級品質の物を置いているのだろう。
「少し待たせてしまったな、早速で申し訳ないが話を聞かせてくれ···」
神黒はこれまであったペトム村での出来事を全て話した。予想していたよりも侍長は慌てず、じっくりと聞いていた。
「神黒くん、情報提供ありがとう!後々、騎士団に近辺の調査を頼んでおくよ」
「ありがとうございます!」
こうして神黒たちは侍長と出会い、騎士団への依頼を約束した。
神黒たちは侍処を出て露店のある商店街へ向かった。
「お前さんたちいかが〜!この林檎は体力上昇効果のある林檎だよ〜。買っていかないか~」
「美味しそうですね、買いますか?」
「お姉さん、3つください」
「まいどー!!丁度新鮮な林檎が採れたから1つおまけしてあげるわね!」
運の良いことに露店のお姉さんに林檎をおまけしてもらった。神黒たちは林檎をかじりながら商店街の長らしき人が住むと言われている商街館へと足を進めた。
商街館に到着する神黒たちは大きな扉にノックをする。扉はゆっくりと開かれた。
「どのようなご用件でしょうか?」
「ペトム村から来た商人やペトム村付近の情報がここに来ていないかを知りたいんだが······」
執事らしき男が神黒たちを商人長執務室へ招いてくれる。ノックをして入室を了承してもらうと中ではこの世界では珍しいドワーフ風容姿の男が微笑みながら招いていた。
「ようこそ商業処へ!君たちの知りたいことはペトム村のことで良いのかな?」
「はい!」
「我らも今調査中なんだ。何も言えることがなくてすまんな······」
「そうですか···」
「でも、丁度腕利きの侍にペトム村に関する依頼をしたかったんだ。報酬はしっかりと出させてもらう、だから受けてはくれないか?」
神黒たちは不審に思いつつも商人長の言うペトム村に関する依頼を了承するのだった。




