第118話 勇者、街へ行く。
「治癒術式ならこの霊魂、浄化出来ないか?」
「試してみる。スゥー、ハァー······自然に愛されし者イザナミよ!我に癒しの力を与えたまえ、癒刀」
神黒は治癒術式で生み出した刀で霊魂に斬り込んだ。
案の定、治癒の刀は霊魂を真っ二つに切り分け、四散するのであった。
「おぉー!!斬れた!それ俺にも作ってくれませんか?」
「やってみる···」
神黒は先ほどと同様に術式を展開していった。
「すまん、これ以上は出せそうに無さそうだ···」
明に渡した癒しの刀は次々と邪悪な霧を放出する霊魂を切り裂いていった。
あっという間に充満していた邪悪な霧は浄化していく。
「とりあえずペトム村周辺の霧は浄化できたけど、住民はどこにいったんでしょうね···?」
前回来た時は誰も住民がいなく、近隣の村での聞き込みの時でさえ、ペトム村出身の人は1人もいなかった。たまたま話しかけた人がペトム村出身の人では無かったのかもしれないけど、もしいるなら村全体に情報の一つや2つくらいは広まっているはずだ。
「いないことには高級食材も手に入れれないし、今回は申し訳ないけど事情を伝えに帰る?」
「ん~、でもここに住んでいた人たちはどこへ消えたんだろう······」
「そこまで気になるなら、ちょっと調べてみるか!」
神黒たちはペトム村で起きていることがこんなにまで情報が広まっていないことに不思議に思い、もう少しだけ探ることにした。
━━━翌日。
宿屋から出た神黒たちは早速、ここ最近で起きた不自然現象について聞き込みをし始めた。
「とりあえず、二手に別れるか···。そのほうが早く情報を聞き取れるし······」
「それは良いアイデアですね!!それではここは女子と桜くんと俺と神黒さんで別れましょう!!」
「普通は神黒さんと楓、桜の1組で私と明で1組でしょ!!」
「ぼくのこと忘れないでください!!」
「まぁ、転移者組とじゃない組で別れるのが妥当だろう···」
「そんな~!?」
こうして神黒たちは二手に別れることになった。
「神黒さん、二手に別れましたがどこへいきます?」
「近隣の村の聞き込みはすでにやってるし、もう少しだけ大きい集落へ行ってみるか」
神黒たちは試しに近隣の村から来る行商人の集まる街に行ってみることにした。
街などになると侍処や露店が増えるため、情報量が村一つ一つとは段違いに多い。
ペトム村の近隣にある街、ラルリットに神黒たちは着く。
「とりあえず、侍処に行ってみるか。侍処なら何か村からのクエストが送られているかもだし···」
神黒たちはラルリットにある侍処に向かった。
神黒たちは侍処に入ると視界に見えた依頼書掲示板を早速見に向かう。掲示板には王都近郊の妖怪退治やさほど遠くない森や草原に生えている治癒系雑草などの採取依頼が貼られていた。どの依頼を見てもペトム村に関する依頼や異変に関する調査の依頼は無かった。




