第111話 勇者、王国へ旅立つ。
転移者の明、叶、一殿。我は貴方たちが救った姫の親であり、シドール王国の王をしているジーニクス・ハイドレンジアである。
この度は我が娘メルティアの呪いを解いてくれてありがとう。その功績に対して敬意を払い、あなた方を勇者に任命する。そして、膨大の報酬を払うことを約束しよう。
そんな転移者殿に依頼したいことがある。時間があるのならシドールまで来て欲しい。
今回は本当に感謝している。シドールに来るのを楽しみに待っているぞ!
王様から送られてきた手紙はその文書のみを載せていた。
「ジーニクス王からの伝言はこれで終わりとなっています。急ぎの用が無いのでしたら、シドール王国に行って欲しいのですがどうでしょう?」
「これから神黒さんたちは何か用事はあるんすか?」
「何か用事があるわけではないが、俺達が行っても良いのか?」
「良いに決まってるじゃないっすか!ってか俺は神黒さんに付いていくつもりでしたから!!」
「そんなこと考えていたの!?」
明の突然の一言に叶と一は驚愕した様子で言葉の共鳴を起こした。
「そう驚くなよ!別に別れるわけでもないし、これからもお前らと共にここから元の世界へ戻る方法を探すつもりだよ!」
明の言葉に少し安堵した叶と一も神黒たちと共にシドール王国へと向かうことが決まった。
「あっ、そうだ!シドール王国に行くなら、シドールの城下町にある侍処シドール本部にこの手紙を届けてくれませんか?」
「分かりました。絶対に届けますね!」
受付嬢に本部に届ける手紙を受け取り、南東に位置するシドール王国行きの馬車に乗り込んだのだった。
「神黒さん!僕たち強くなったんですよ!!見てくださいこのステータス。神黒さんに比べれば十分の一にも満たさないステータスですけど······」
明のステータスは前見た時よりも遥かに上がっていた。それはそれは神黒のレベルを遥かに超えていた。
今の神黒のレベルは31レベル。前世界までの力はスキルとして処理されているため、この世界でのレベルは低いのだ。しかし、神黒も欠かさず、レベリングは行っていた。それを遥かに凌駕しているということは明たちは神黒よりも強敵の相手を何度も倒し続けたことになるのだ。
他の2人も見せてもらったが3人共レベルを60を超えていた。
······転移者たちどれだけ特訓すればこんなに強くなれるんだよ!レベルは俺の2倍ほどあるし、明たちは気付いて無さそうだが転移者スキル欄に経験値上昇と攻撃力上昇のバフが追加されているじゃないか。
「もう俺よりも強いんじゃないか?」
「だから、そんなわけあるわけ無いじゃないですか!」
明は笑いながら照れるのだった。
「あまり自分の力を低評価して俺の力を高評価するのは止めて欲しいんだけどな······」
「神黒さん何か言ってました?」
「いや、何でもないよ···」
明は馬車の中でも落ち着くこと無く、次々と神黒に質問を繰り出していく。その対応に追われる神黒は一晩中、明と話に花を咲かせるのであった。




