第110話 勇者、次の目的を得る。
目を覚ますと俺はベッドの上で寝ていた。
······ここは···どこだ?
部屋には俺以外に楓と明がいるようだ。
神黒は気付かれないように目線を楓たちのいる扉側に向けた。
「どうしましょう!このまま神黒さんが起きなかったら!?」
「楓!落ち着くんだ···。きっと、俺らよりも戦っていた時間が長かったせいで疲れているんだよ···」
毎度の事だが楓は心配し過ぎるんだよな。少し申し訳なくなる。
「それよりも、その姿どうしたんだ?」
「私の姿?······っあ!これ、私にも何でこうなったのか分からないんですよね!」
「そうなんだ···」
微妙な雰囲気の中、勢い良く扉を開けるのは元気一杯の桜とそれを追いかける叶だった。
「桜く〜ん、待って~!!」
「誰!?」
高校生くらいの姿をした桜が飛び出してきた。
「みんな〜!僕も姉さんみたいに姿が変化したよ~!!」
桜にほっぺをスリスリ擦り寄せる叶は妙な音を出しながら喜んでいる。
「おい、叶。面食いのミニクイ姿を見られてるぞー。良いのかー」
叶は気を取り戻したのか、今になって頬を赤らめる。
「ごめん、桜くん···」
「いいよ!それより、姉弟で体に変化が起こっているんだけど···」
「確かに俺らは変わっていないのに楓姉弟たちだけ変わっているのは不思議だな···」
「まぁ、実害は無いし、良いじゃない!今日もクエストを受けに行きましょう!神黒さん起きて~!」
寝ている神黒の体を激しく震わせる。
······痛い痛い痛い!
「何だ楓!!」
「やっと、起きた!心配してたんだからね!!早く起きなさいよ」
神黒は楓に連れられ、町の中心部にある侍処へ連れられた。
「お待ちしておりました。転移者一行殿!!お姫様の指示により、お話しすることがありますので客間までお越しください!」
神黒たちは受付嬢に連れられ、客間へと向かった。
「話というのは、大山蛙の件についてです···」
「もしかしてまだ、生きていたとか!」
明が発した言葉に対して受付嬢は横に振った。
「いや、大山蛙に関しては生命力が消えているので、生きてはいないでしょう。ちなみに、後でたっぷりと報酬が出ますので楽しみに待っていてくださいね!」
「おぉー!!」
「まぁ、それは置いといて、今回呼んだのはお姫様のお父上殿からの伝言をお預かりしておりまして······」
「お姫様、無事王都に帰れたみたいだな!」
「お姫様のお父上からは娘の呪いを解いてくれたお礼と新たなる依頼に関しての願いがきておりました」
こうして神黒たちは新たな依頼を受けるのであった。




