生徒会長は手強いです!2
俺は自分の精一杯の力で観客にバレないように対戦相手に撃ち込む。一発目と二発目は簡単に避けられ、三発目はレイピアで受け流されてしまう。
···どうしよう…。このままでは先輩に勝つことが出来ない。どうすればいいんだ?
間髪も取れない一瞬の中で勇者は考える。
その時だった、アレスはある出来事を思い出す。
「クリント選手〜!ジャクサール剣術ブレイドブレイクを放った〜!さぁどうするブライト選手!」
「グラントスペル・ウォーター」
「ブライト選手!得意の付与魔法でブレイドブレイクを受け流した~!」
···そうだ!付与魔法を使って剣先を土魔法で伸ばせばいいんだ!
アレスは数時間前に見た、先輩の付与魔法を真似るように静かに詠唱する。
「グラントスペル・エッジ…。おりゃあ~!」
「甘い。剣先が届いてないぞ!」
アリスのレイピアがアレスに放とうとする時、アレスの剣の先に鉄の如く硬く練られた土が伸びるように派生してアリスの首もとにかする。
「俺の勝ちだ!」
「そのようね…」
スタジアム内が唖然とする。皆、学院最強の生徒会長が入学したてのFクラスの生徒に模擬戦で負けるとは思っていなかったらしく驚愕しているようだ。
「いいスジ持ってるわね、アレスくん。一様私はエリス先生に6割の力で対戦してと言われたから6割以上は出せないけれど。それでもあなたは強いわ!エリス先生に報告しとくわね!ニコ」
そう言うと、堂々と後ろを振り返り、入場口から外へ歩いていった。
···ぎりぎりだった。アリス先輩が6割以上を出していれば、絶対に負けてた…。このまま油断してるとすぐに足元をすくわれそうだ。
アレスはどうにか最終テストを終えていつも通り安い宿屋に帰るのであった。