第108話 勇者、ボスと出会う。
「おい···!?大山蛙なんて喚べるものなのか?」
神黒たちは目の前に現れる伝説級のモノノケの気迫に体が動かせなくなり、息さえも出来ないほどに圧倒される。
「大山蛙!殺ってしまえ~!」
飼い主が命令をしているのにも関わらず、大山蛙は一寸足りとも動く様子がない。
「おい!聞いているのか蛙!あいつらを殺れ~!」
命令に従わない大山蛙にイラついた召喚主は大山蛙の足を平手打ちする。
━━━シュッ!グチュ·········。
一瞬のことだった。召喚主の姿が血の沼へと変わり果てた。
「えっ······!?」
「キャーー!!」
牢屋の中に囚われていた村人たちは大山蛙の圧倒的な気迫と強さに絶叫を叫んでしまうのであった。
大山蛙はその声に惹かれるように囚われた村人たちのいる檻へ飛び跳ねて行く。
「おい、あれヤバくねぇか!!」
神黒たちは急ぎ大山蛙を止めるために追いかける。しかし、大山蛙の尋常じゃない速度には追いつくどころか離されていく。
······追いつけない!このままじゃみんなを······。
━━━ペロリーン!
大山蛙の右腕の叩きが村人たちに襲い掛かる。
······危ない!?
大山蛙の右腕が村人を襲おうとした時だった。
洞窟の影から3人の人間が大山蛙の首元に攻撃を仕掛ける。
「鋼を豆腐のように切り裂く刃を精製したまへ!炎術式太陽の刃!!」
「この短剣に至高の毒を与えたまえ、毒術式毒蜘蛛の麻痺毒!」
「勇ましい者の力を我の剣に与えたまえ!勇者の導き!」
3人の転移者は大山蛙にそれぞれの攻撃を命中させる。
それぞれの攻撃は大山蛙に多大なダメージを与えた。
「みなさん!今から助けますからね!開放術式叡知の鍵」
叶の術で生み出した鍵は村人たちを捕らえている檻の鍵を容易く開けてしまった。
「ありがとうございます冒険者方!」
「みなさん!一の言う通りにこの洞窟から出てください!頼めるか一?」
「任せるでござるよ!」
一は檻から出られた村人たちを連れて洞窟を出た。
「すまん!そこにいる村の者たちも逃げてくれ!」
「···」
「明!気づかないの···?あの人たち神黒さんたちだよ」
「···ん、·········えぇぇ~~!?」
明は二度見目でやっと神黒たちということに気づき、驚いたのだった。
「神黒さんじゃないっすか!?お久しぶりです!」
「見た感じ強くなっているようだな!」
「ありがとうございます!」
師匠と弟子のような雰囲気を醸し出す神黒と明に叶たちは疑念を抱いた。
「とりあえずまずは戦いましょうか!!」
少し苛立ちを見せながら叶は大山蛙に術を打ち出していくのであった。




