第106.5話 勇者、準備へと取りかかる。
「神黒〜!いた~!!」
神黒の背後からとてつもない速度で誰かが迫ってくる。
「あっ···、終わった」
神黒が背後を向こうとした時には既に遅く、楓の右ストレートが左頬にあった。
「勝手に出掛けんじゃないわよ~!!」
楓の渾身の一殴りは神黒の体ごと空へ飛ばしてしまうほどに強い一撃を神黒の顔面に撃ち込んだのだった。
━━━きらりん!
「あなた何一人で買い物しに行ってるのよ!」
「すまなかったって楓!まだ買ってない物もあるから一緒に行こう!」
「神黒···、何か言い忘れてない?」
「何も言わずに勝手に出掛けてしまい申し訳ございませんでした···」
「お利口でした···!」
楓は神黒の頭をポンポンと撫でる。
······恥ずかしい!
「楓、桜!早く行こう」
「はい!」
神黒たちは村で薬草や目眩ましになるものなどを買って、北西の沼に住む終焉の道化師のいる場所へと歩みだした。
━━━その頃。
「明!次の魔法は絶対に当てて見せるわ!」
「思いっきりやってこい!」
叶は今まで撃ったことのない特大の炎の渦を生み出す。
「炎を司る神よ我に貴殿の一吹きの力を授けたまえ、炎術式炎神の息吹~!」
叶から放たれる特大の炎の渦は明の四肢を焼き払おうとする。しかし、明は腰につけている刀を鞘から引き抜き、叶が放った特大の炎の渦を四方に打ち返した。
「あっ!危ない!!」
四方に散らばった炎の渦の残り火が叶を襲おうとした。
━━━シュパッ!!
叶を襲う残り火は一の見事な短剣捌きで打ち消した。
「気を付けてくださいよ。あなたたち前よりも格段に強くなっているんですから!」
「次からは加減をするようにするよ···」
「私もそうするわ」
「それでは北西にある大山蛙の下へ向かいましょうか!」
こうして転移者たちも北西の土地へと足を進めるのであったのだった。




