第106話 勇者、謎のお店で買い物をする。
「氷結の奴らも風乱とあんまり変わらなかったな···」
「そうだったね···。やっぱり終焉の道化師は人のあだ名ではなく、グループの名前っぽいね」
神黒たちは風乱の鷲の者からの情報を聞いた後、氷結の風車のアジトへ向かった。そこでは夕方になるまで偵察を行ったが新たな情報は得られなかった。
神黒たちは今朝泊まっていた宿屋のある村へと戻るのであった。
今日手に入れた情報は誘拐された者たちが北西の沼にいることと終焉の道化師は複数人で束ねられた集団ということ···。そうなると、1人で複数人を相手することになるだろう。
神黒は楓たちに最後の釘を打った。
「楓たち、本当に来るのか?」
「何度も言わせないで!私たちは自分の意思で神黒に着いてきているの!言うまでもないわ!」
楓たちは神黒にビシッと言いつけると気が済んだのかぐっすりと眠りについたのだった。
「寝るの早いな···」
神黒も翌日寝不足にならないように眠りについた。
━━━翌朝5時。
神黒は1人で村外れの怪しい道具屋へ訪れていた。
━━━カランコロン!
「いらっしゃい······」
気力のない挨拶が神黒に飛びかかってくる。
神黒は不気味な店主に震えながら店に置かれている商品を見ていく。
薬や防具が他の店よりも格段に安いな!何か怪しい取引でもしているのか?
なんだこれ!?愚者のドクロを使った強力な呪いを与えることが出来るエキス。こんなもの売る店などどこにある!!(いや、ここにあるのか···)
「何かお探しのものは見つかりましたかい?」
びっくりした···。いつから背後に立っていた?気配の影すら見なかったぞ!本当に何者なんだこの店主は······?
「ゴクリ···、複数人を一瞬で動きを止めるような薬や毒は無いかなと探してまして···。まぁ、そんな物ありませんよね。あっはっはっは!!」
「あるよ···」
「えっ······?」
「あるよ。動きを止める毒······」
「あるんですか!?」
その頃、楓たちはというと······。
「はぁ〜!今日も良く眠れた〜。よし!神黒を起こしに行かなきゃ!あっそうだ!神黒は隣に······いない!?どこにいるの?桜ー早く起きて、探しに行くわよ!」
「お姉さん。神黒さんなら村外れの店で買い物をしているよ」
「え!?早く行くわよ~!!」
楓はあっという間に支度を終わらせ、桜と共に出かけた。
時は少し遡り、神黒は店主の言葉に驚いていた。
「一瞬で敵の身動きを止める毒なんてものあるんですか!?」
「あるよ。少し値はするが私が作った特製の毒が···」
神黒は店主にその毒を見せてもらう。
「これはちっーと触れるだけで5秒間動けなくする薬さ!どんな相手にも必ず効く、例え毒や麻痺を無効化させる持ち主でも···」
「でも、何でこんな凄いものを売っているんだ?」
「いや、正式に言えば売ってはいない。だが、お前さん最近頻繁に聞く誘拐事件の根元を絶やすために行くんだろう。そういう者には持つ権利がある、だから特別に売ってやる」
「ありがとう店主!ちなみに値はどれほどだ?」
「本来ならものすごく高いんだが、今日は君に免じて1個三千ユリンだ!買うかい?」
「はい!」
こうして神黒は三千ユリンの毒を2つ買うのであった。
━━━ガチャン!
「神黒の様子はどうだった平斗?」
フードを降ろすと店の店主の姿は幼くなっていった。
「久しぶりに会ったけど外見が全く違ったよ!」
「僕も見たかったな~!」
「お主ら行くぞ!」
「分かったよキャロックさん!」
謎の男たちは裏口からどこかへ消え去っていく。




