第105話 勇者、聞き込み調査を行う。
「その話が正しければ、この村での誘拐事件もその終焉の道化師の仕業ってことになるよね···」
楓は今すぐその者がいる北西の沼へ行こうと歩き出す。
「待て楓!まずは落ち着け!!」
「行かなきゃ!!村の人達が···」
「焦っても助けられる訳じゃないんだ!まずは冷静に物事を考えよう」
神黒は楓を落ち着かせ、村の宿屋を1部屋借りて話し合いを行う。
「これからどうすれば良いのかな···?」
「とりあえず俺が言えることは村の人々はまだ生きている可能性が高いということだ···」
「何でそう言い切れるの?」
「前、楓たちの故郷で両親と会った時に緊急時用で俺のスキルでマークを付けたんだ···」
神黒は幼女との戦闘後、スキルの変化が起きていることに気が付いたのだ。変化後のスキルには1度マークを付けると死亡または外さない限り、その者の現在位置を示す効果を持つものも増えていた。
「そのスキルによるとお父さんもお母さんも生きてるってこと···」
「あぁ、そういうことだ」
楓は両親の生存を聞くと肩から力が抜けるように倒れ込むのであった。
「まず、相手の技量や仲間の有無が分からない。だから、明日は聞き込み、いや盗み聞きをしに近くの盗賊団のアジト付近を回ってみないか?」
「危険性は高いけど、村での聞き込みよりかわ役に立つ情報が獲られそうね!」
神黒は明日の行動を決めると1部屋に2個のベッドに神黒、楓と桜の分け方で眠りに入るのであった。
━━━翌日。
神黒たちは朝早くから盗賊団のアジトへと向かっていた。
「今向かっているのって風乱の鷲のいる西の祠だったわよね?」
「そうだ。祠には色々な伝承が紡がれており、侍処が一丸となって取り返そうと必死に討議中らしい。敵も敵で大型の盗賊団だからな手が出しにくいんだろう」
神黒たちが話している内に目的の西の祠へと着いた。
神黒たちは盗賊団に気付かれないように神黒の大気一体を神黒と楓、桜の3人にかけ、近くの草むらで様子を伺っていた。
少し時間が経つと祠の入り口から門番の業務に来た盗賊らしき男たちがゲラゲラと笑いながらやってきた。
「昨日の洞窟で何か取れたのか?」
「いやいや、あそこはハズレだったよ。宝を探しに向かったのに大量のトラップで身ぐるみ全部剥がされそうになったわ!!」
「そりゃ〜!大変な目に遭ったな!後で酒奢ってやろうか!」
「良いのか!?いや~、ありがてぇ!」
「そうだそうだ!あの噂知ってるか?」
もしかして終焉の道化師の事か!!来てすぐに聞けるとは運が良いぜ。
「北西の山奥にドでかい化けもんが出たらしいぜ!しかも、ここから結構近いらしいから気を付けろよな」
「そりゃ、おっかないな〜。念のため北西の洞窟や遺跡には近づかないようにするか」
何だよ終焉の道化師とは関係無い話かよ!じっくり聞いて損したわ···。
「そうそう、北西と言えばあの奇妙な男たちの噂もあるよな」
「もしかしてあいつらか、盗賊団に成りすまして誘拐を繰り返すやつら」
「そうそう、巷ではその者らに目をつけられるとその村の未来は無いとかで【終焉の道化師】とか言われているらしいぜ」
「あいつら俺らの成りすまし見てぇなことするから、すげぇ迷惑なんだよな〜!侍どもは何をしてるんだか···」
突然祠の中から誰かが門番に話しかける。
「お前ら〜!首領が今日の行き先を決めた。移動する準備をするんだ!」
「へい!分かりやした!!行くぞ」
「あぁ···」
門番らしき男たちは祠の中へと戻って行ってしまった。
「今日はこのくらいしか聞けないようだな。次の場所へ行くか楓」
「分かったわ!」
こうして神黒たちは次の目的地である北の洞窟に住む氷結の風車の下へ向かっていったのだった。




