第103話 勇者、故郷へ帰還する。
「な···んなの!?この体······。大人の女性になってる~!!」
楓は自身の姿を見て、異常な変化に驚く。
何でこんな大人の女性のような体になってしまったの?······でも、これはこれで良いかも!
「まぁこの体は置いといて、今日は相談がありまして······」
楓は深刻そうな顔を浮かべ、神黒と桜に話し始めた。
「実は······」
楓は言いかけたところで言葉を飲み込んだ。
「どうしたんだよ、余計気になるじゃないか···」
「···昨日、いつも通り故郷にいる親から届く手紙を見ていたら、手紙の内容に謎の暗号が書かれていたの。たまたまその暗号の解き方は親に良く教えてもらっていたから解けたんだけど、解いて出てきた言葉が救難信号だったのよ······」
「······何かがあったってことだよな」
「手紙には詳しいことは書かれていなかったし、余程急いでいたんだと思う···」
楓が俺を叩き起こすほどに急いでいたのはそういうことだったんだな。
神黒たちは親から届いた手紙の意図を探るために、ドラン国から楓や桜の故郷へ旅立った。
神黒たちは故郷までの道のりでいくつかの妖怪とでくわし、その全ての妖怪を倒し経験を積んでいた。
「なぁ······何か変じゃないか?」
「私には普通に感じるけど、ねぇ桜?」
「うん」
俺の気にしすぎなのか···?いつもよりも妖怪と出会う頻度が多い気がしたんだが···。
神黒は一抹の不安を抱えながら楓たちと共に故郷へ向かった。
「誰かいるか~!」
村人の活気が無いどころか、村を歩き回る村人たちの姿を見かけない。何かがおかしい···。
神黒は村の中へ入ると真っ先に楓たちの実家に行った。
「神黒さんって私たちの実家って行ったことありましたっけ?」
「いや、多分無いと思う。ここに居たのはほんの2日か3日程だろうから」
「私たちの家はこの村から少し離れた場所にあります」
楓は実家への道のりを教えてくれた。なんと楓たちの親は村人の中でも結構地位が高く、この村を守る護衛騎士のような立場らしい。そのため、村近くの立地の良い場所に家を建てたらしいのだ。
「ここが私たちの実家です!」
話し合っている間に楓たちの実家に着いた。そこは壁に覆われており、とても大きな瓦屋根の着いた家が立派に建っていた。
予想していた家よりも大きすぎないか!?
「とりあえず中へ入って両親を探そう!」
「うん!」
こうして神黒たちは楓たちの親を探すために実家の中を歩く。しかし、どこを探しても両親らしい影は見つからなかった。
中々両親が見つからない神黒たちは実家を探すのを止めようとしていた時だった。実家の玄関口の裏側に挟まるように手紙が突っ掛かっていた。
そこには楓たちと同じ色幹の苗字で書かれた手紙が突っ掛かっていた。
「これって······!」




