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視聴天性  作者: おらた
プロローグ
1/95

人生はいつも悪い方へ転がります!

この世界に転生してからというもの帰ることを第一に考えてきた。そのために、庶民の信頼、魔物の追い込まれている境遇も全て視野から外した。

これまですべての行動を王族・貴族のいう通りに進めてきた。だが、これからは自分の生きる道は自分が決める!


「ギャー!!!」


 勇者の渾身の一撃が魔王に多大なダメージを与える。

 よくあるRPGゲームのボスキャラの部屋のような場所に魔王の悲鳴が響きわたる。


 悲鳴は次第に聞こえなくなっていき、部屋に散らばっている炎の音のみが残る。

 天井に吊るされていた紫色に光るシャンデリアは粉々に粉砕して床に乱雑に散らばっている。

 床のカーペットは魔王との戦闘によって生まれた炎が引火して、赤い炎がバチバチと鳴って空高く上っている。


 魔王との戦闘で部屋の中は火傷をするほどに熱がこもり、敵である魔王の死骸を徐々に溶かしていく。

 勇者は、その熱さを下げるために得意の魔法を使い、身体の周りの空間の温度を下げる。


 俺は魔王に勝った!!転移してからの役目が今終わった。この世界を征服しようとしている悪い魔王に勝ったんだ。


 これで良かったんだ。元いた世界へ帰ることは召喚された時に約束されているし、もう戦わなくていいんだ。


 勇者の表情は何かを後悔しているかのように落ち込んでいった。


 今まで元の世界へ戻るためにどんな手段も厭わず(いとわず)にこなしてきた。

 魔物の中にも戦闘を避け、ひっそりと暮らしている非魔物部族や一部の人間と共存して生活している魔物もいたにも関わらず、俺は貴族や王族の命令に忠実に従い、その全ての環境を壊してきた。


 最初の頃は仲間を募って、共に戦い、高め合うような異世界ファンタジー的なことを楽しんでいた。

 だが、いつしか俺に賛同するものは愚か、付いてくるものさえいなくなったしまった。


「どうすることが正しい道だったんだ…」


 小さな声で気分の下がった時の声でも、誰もいない静かな部屋では声を遮らずに響いてしまう。

 唯一聞こえていた炎の音でさえ、乏しくなって、音が消えていきそうだ。

 勇者は部屋を出るために大きな扉を両手を使い、押し開ける。

 魔王城内には悲惨な姿の魔物が多く倒れ散らばっている。

 勇者が後ろに振り向くと魔王が聖剣で負った数十箇所ほどの傷を見せるように仰向けに倒れていた。


 魔王城内は静寂を作り続けた。


 そんな時だった……。不思議だが聞き覚えのあるゲームの効果音が鳴る。


 ······ピコン!


 魔王城内に不思議な音声が響きわたる。

 勇者は突如鳴った不思議な音声に驚くものの部屋を出て、一階へと続く道へ足を進めているとまたもや不思議な音声が流れる。

「あなたの尽力によりこのゲームはクリアされました」


 ···何だこの音声!?


「クリア報酬として視聴・閲覧スキルが使用可能になりました」


 ···クリア報酬?視聴・閲覧?


 どこからか聴こえてくるこの音声は、またしても理解させてくれないまま話を続け、終えると黙り混んでしまった。


「誰かいるのか〜!聞こえているなら返事をしてくれ~!」

 ··················何の返答もない!


 これ以降、不思議な声が返答することはなかった…。

 何なんだ。これから何が起きるというのだ。

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