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すれ違う恋の行方〈中学編〉  作者: 秋 夕紀
第1章 梅枝七海(13歳)=立松千宙(13歳)
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§8 デートの約束

 7月も終わりに近付き、七海は陸上の大会に出たが予選落ちだった。陸上に対しての特別な執着はなく、部活が休みになってすっきりしていた。家でゆったりとした気分で過ごしていると、

「七海、立松さんという男の子から電話よ!」という母の声に反応して、背中を棒で突かれたように立ち上がり、急いで電話に向かった。

「もしもし七海です。立松君?久し振り!」

「電話して良かったかな?」と訊かれ、「大丈夫だよ!」と答えた。

「この前は応援に来てくれて、ありがとう!お礼も言わないで、ごめん!」

「ううん、気にしてないよ!それで、あとの試合はどうだった?」

「ああ、4回戦まで進んだけど、強豪校と当たって敗退した。梅枝はどう?」

「わたしは予選落ちで、早々と暇している。」

 彼が電話してきた本来の用件を、早く切り出さないかと待っていた。

「それで、今度の土曜日だけど、暑いし夏だから、一緒にプールに行かない?」

「いいよ!」と母親が聞き耳を立てているようなので、浮かれた気持ちを押し殺して返事をした。私の冷めたような言い方に、彼は気にしているようだった。

「じゃあ、土曜日にいつもの所で9時に待ってるから。」と言って電話を切った。

 電話を置いて戻ると、案の定、母の質問が始まった。

「立松さんって、だーれ?お友だち?」

「そうだよ、同じクラスのサッカー部の子。」

「電話して来るなんて、何の用があったの?」と訊かれ、ごまかしても無駄だと思い、半分正直に打ち明けた。

「クラスの仲の良い子たちと、皆でプールに行こうっていう誘いだよ。今度の土曜日だけど、行ってもいいよね!」

「いいんじゃないの。家でゴロゴロしてるより、お友だちと遊んでも。でも、七海はスクール水着しか持ってないんじゃないの?体育の授業じゃないんだからね。お小遣い上げるから、買ってらっしゃいよ。」


 本当は立松君と二人だけで行くのに、半分は嘘を付いてしまった。別に後ろめたい事をする訳ではないけれど、何か面倒臭い気がした。それでも、プールに行く事は話して良かった。水着までは頭が回らなかったし、お小遣いをくれるというし、ママが意外と物分かりが良くて安心した。


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