表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/3

1話 前編

所要時間:??


比率:♂4 ♀2





アーサー ♂:33歳。大国パルデンス・コロニーで一番と呼び声高い賞金稼ぎ。クールで気怠げ、皮肉屋なところがある。自分にとっての利益は金と"楽しめる事"


ドク ♂:32歳。国家錬金術師。アーサーと昔からの腐れ縁。基本陽気な優しい性格だが、いざと言う時は人が変わったかのような威圧感を持ち凛とした表情となる。


アリス ♀:23歳。ケーキの異形頭。いつもアーサーの隠れ家で世話役をしている。元気な性格で礼儀正しく、一生懸命だが、それ故空振ってしまう事も多々ある。


クラーク ♂:27歳。アーサーを探しパルデンスにやってきた。弱気で冴えない男。


ノア ♀:30歳。パルデンス王国騎士団レナード・イージスの団長。才色兼備、聡明、基本的には物腰柔らかく、強気な面も併せ持つ。





役表


アーサー ♂:


ドク・大男 ♂:


アリス・団員 ♀:


クラーク ♂:


ノア ♀:


ナレ・御者・店主♂:









ナレ:技術が発達し、異形の者や獣人が共存、魔力がエネルギーとして動力源になっているのが当たり前の世界

ある日、世界一の大国パルデンスの国王が暗殺された

暗殺者は、今までなんの脅威もなかった人狼

それ以降魔法が扱える者、異形の者、獣人など、魔力によって生まれた存在は悪魔の使者だと世界から迫害され隠れながら生きている


ナレ:これは、闇を背負った退廃した世界の片隅で根を張る、一人の男の物語





ノア:......


団員:......


ノア:君とまた、こんな形で相見える(あいまみえる)日が来るとはな


団員:数年ぶりですね


ノア:...どうした。怖いのか


団員:ご冗談を


ノア:剣を持つ手が震えているぞ


団員:これは武者震いですよ...!


ノア:ふん...では...かかってこい...!!


団員:団長、ご覚悟!!やぁぁあ!!


ノア:遅い


団員:うわっ!!!


ノア:ふぅ...さて。君が呼吸を荒くしてこちらに向かって剣を振りかざそうとするまでの間に、私は真横まで間合いを詰め剣を叩き落とし...今、君の首筋にこの木刀を当てている訳だが


団員:あ、ありえない...早すぎる


ノア:まだまだだな。上段から瞬時に中段に切り替え踏み込むまでは良かったが、踏み込んだ瞬間に刹那の油断が生まれた...惜しかったな、前よりも格段に成長しているのは確かだ


団員:悔しいです...真剣を持ってかからせてもらったのに、このざまとは...情けない


ノア:真剣か木刀かなんて関係ない。強き者が持てばこの木刀でも人の首を刎ねられる(はねられる)


団員:(微笑みながら)私の知ってる中で一番強い方が言うと説得力がありますね


ノア:上には上がいるものだ。私なんてまだまだ未熟さ


ノア:(微笑みながら)まぁ、木刀で首を叩き切るくらい容易い事だがな


団員:ふふ、流石です...!


ノア:エイダン東からの遠征ご苦労だった、まぁこのザクセルムまでの距離で遠征と言えるのかは分からんが...もうこれから戻るんだろう?


団員:はい!本部へのエイダン東エリアで取れた鉱石類の運搬も終えたので、今から戻ろうかと


ノア:そうか。では、またいつかの稽古を楽しみにしているよ


団員:ありがたいお言葉です。こんな早朝に貴重なお時間をありがとうございます団長...!


ノア:私からもいずれ会いに行く。それと...ノアでいい


団員:で、では...!へへ!ノアさん、また必ず


ノア:あぁ。また


ノア:...ん、今日は曇りか


ノア:...嫌な天気だ





<田舎街ガラム、馬車乗り場にて>


クラーク:......


御者:(口笛)


御者:ん...?ありゃ人か...?もう夜も更けてきてんだぞ...ば、馬車に乗せてください...なんだあの貼り紙...おーいあんた!


クラーク:......


御者:おっとっと...どうどう...よしよし...(咳払い)おーい、真正面で喋ってんのに聞こえてないのか?


クラーク:......


御者:......


クラーク:......はっ!


御者:うぉびっくりしたぁ!立ったまま寝てたのかあんた...


クラーク:す、すみませんっ二時間経ったとこから記憶が無くて


御者:は!?おいおいまさかこんな人っ子一人居ないゴーストタウンで二時間以上待ってたのか


クラーク:はい、どうしてもザクセルムに用があって


クラーク:ってあれ...もしかして御者さん!?


御者:今!?


クラーク:あっあのっザクセルムまで!お願いできますか...!!


御者:お、おう...騒がしい奴だな...構わないが、このド辺境からザクセルムまでって相当遠いぜ?


クラーク:そうなんですか


御者:あぁ、相当時間はかかるし、もちろんその分金もかかる


クラーク:あぁ、それなら心配要りませんお金はあるので


御者:ほう...


クラーク:今日の為に...全て準備してきたから





<馬車の中、ザクセルムまでの道中>


クラーク:ふぅ...


御者:疲れ果ててるなぁお客さん!さて出発だ。こっからは長い道のりになるぞぉ


御者:俺もここまでの距離を運ぶのは久々だよ、ところでお客さんあのゴーストタウンって呼ばれてるガラムで馬車を待っていたってことは結構な距離をきたんだな


クラーク:そうなんです。元々列車で出向くつもりだったんですが...なんか、線路で爆発があったみたいで...


御者:は!?爆発!?テロかなんかかよ大事じゃねぇか...明日の新聞の一面になるぞ


クラーク:それで列車は断念、途中で馬車も拾えず、やむなくあそこで待ってたっていう...


御者:なるほどそういうことか...なんというか、ついてないなあんた...


クラーク:本当にね...


御者:ザクセルムは初めてかい?


クラーク:えぇ、初めてです。というかあまり地元以外に出た事がなくて


御者:こっちとしては最近客も少なくなってきたからな...久々のでかい仕事嬉しい限りってもんよ


クラーク:へぇ意外です、このパルデンスで一番の街だから客足が絶えないのかなと


御者:......20年前の国王暗殺までは、客も止めどなかったんだがな


クラーク:あぁ、人狼が起こしたあの...


御者:あれから世界は変わっちまったよ


御者:今となっては信じられないが、暗殺が起きるまでは種の垣根などなく皆平和に暮らしてたんだ


御者:それが今となっては...最近活発化してる魔力を独占して力を持とうっていうテロ組織だとか、魔力を持つ人等の平等を訴えてるデモ団体だとかがのさばる物騒な街になっちまった


御者:まぁ、なにせなんでもない日に線路が爆発するぐらい物騒な国だ。あんたも気をつけな。油断してたらただで故郷に帰れなくなるぞ


クラーク:は、はい...気をつけます


御者:そういやザクセルムにはなんの用で?


クラーク:会いたい人がいて


御者:会いたい人...?あ、もしかして恋人とかか〜?


クラーク:違います...!


御者:まぁ確かにいそうな感じしねぇわ


クラーク:失礼すぎません!?


御者:そんで?その人に会う為にそんな大金が必要になるのかい...?


クラーク:あー、なんというか、多分?


御者:多分て


クラーク:分からないんです噂を聞いただけで


御者:噂ってのは、どういう?


クラーク:その......ザクセルムって街に、腕利きの賞金稼ぎがいるって


御者:腕利きの賞金稼ぎっつったらあのバカでかい街にゃ何人もいるぞ、なんならギルドを作って活動してる奴等だっている


クラーク:そっかぁ...じゃあ相当時間かかりそうですね...


御者:うーん、協力できることがあればいいんだがなぁ!その賞金稼ぎの特徴みたいなのは聞いてないのか?


クラーク:えぇっと、確か...長身で


御者:ほう


クラーク:身体は傷だらけ


御者:ほう傷だらけ...山ほどいるな...


クラーク:クールな感じで...ちょっとクズっぽいって話を聞きました


御者:へぇ~、他は


クラーク:他は...赤い目をしているって


御者:ほうほう!......待った、赤い目って言ったか


クラーク:へ、あ、はい


御者:心当たりがあるぞ


クラーク:えっ!本当ですか


御者:勢いがすごいな...あぁでも確かあいつ随分前に足洗った筈だけど


クラーク:そ、そんな......っまだザクセルムにいますかその人!!


御者:あ、あぁ、あいつは今あの街で身を固めてる筈だよ


クラーク:名前は?


御者:俺を信頼してなくて偽名を教えてるんだったら分からねえが、信頼してくれているなら、あいつの名はアーサーだ


クラーク:アーサー...ありがとうございます...!


御者:決意を新たにした面持ちしてっけど、名前が分かってもあのバカでかい街で一人の人間を手掛かりなしで探すってのは...なかなか無茶な話だと思うぞ?あいつを何回も載せたことがあるが居場所までは聞いてねぇしなぁ


クラーク:大丈夫です、”取材”なら大得意なので





<約五時間後、ザクセルムにて>


御者:ようし着いたぞ...!ここがザクセルムだ!長旅もここで終わり!いやあ疲れた...


クラーク:......


御者:(大袈裟な咳払い)おーい起きろ!着いたぞ~!


クラーク:ぅあ...早いですね...?


御者:お客さんはぐうすかと寝てたからそう感じるかもしれんが、ガラムを夕方に出てから八時間くらいは経ってるんだぜ?もう朝の六時になる


御者:ほれ、ここがザクセルム!この国の中心地だ


クラーク:......わぁすごい...!あっあの空を飛んでる丸いのは飛行船!?あのひと際大きな建物はテリーズ大聖堂!


クラーク:テレビでしか見たことないものが沢山...


御者:面白いもんが山ほどあるだろ、危険な連中を避けつつ街中回ってみりゃいい


クラーク:そうします、お世話になりました!


御者:へへ、良いってことよ!じゃあ俺はこの辺で次のお客を探しに行ってくるわ!あんたもアーサーの奴に会えたらいいな


クラーク:はい!助かりました、お代です


御者:はいよ、まいど!じゃまた会おうな、クラークさん!


クラーク:また!


クラーク:アーサー......ずっと、探してたんだ





<寂れた教会にて、剣を置き凛と座る女性が一人>


ノア:......


ノア:(独白)......おはよう


ノア:(独白)...今日もまた、生きていくよ


ノア:(独白)明日は、一段と大事な仕事があるんだ...


ノア:(独白)応援しててくれ


団員:はっ......はっ...はっ...!!(教会の扉を開け放つ)...団長!!


ノア:...?ここは教会だぞ、静かにしなさい。...君は!


団員:突然申し訳ない...ノア、さん...!


団員:伝令がっ...ございます...


ノア:どうしたそんなに焦って...ってその傷...!何があった!?


団員:我等レナード・イージスのエイダン東駐屯地がっ...


団員:陥落しましたっ...!!





<街の外れ、廃墟となった遊園地の管理室>


アリス:......あの、アーティ


アーサー:(タバコを吸う)


アリス:......ちょっと?タバコ吸ってないで聞いてくれます?


アーサー:...(タバコを吸う)


アリス:ねぇ!!!


アーサー:ん?なんだようるさいなぁ


アリス:うるさいなぁじゃないんですよ!何をどうやったらここまで部屋が散らかるんですか!


アーサー:あ~...なんでだろな


アリス:はぁ...あなたが何もせずここでぐうたらしてるからでしょう...ほら起きて!


アーサー:あぁへぇへぇ、分かったよ起きますよ


アリス:そうです、いつも通り多方面から連絡もきてるんで



アーサー:(着替えながら)ふぅ...今日は何件きてた


アリス:えっと、20件です...


アーサー:......冗談はやめてくれまだ朝だぞ


アリス:本当です!私が起きた時には既に15件でした


アーサー:俺が知ってる奴は?


アリス:マドラー建設の社長と、カルビンさんとケイト夫妻...あとはレイブン


アーサー:あ〜あそこの社長には経営向いてないから会社畳めと、あのご夫婦にはメールで毎回惚気を送ってくるなと、レイブン...あぁあの騎士か...あいつには、目の前で女に暴言吐いているところを晒した上でわたしは紳士だとか寝言は寝て言えと送っといてくれ


アリス:要するに縁を切りたいと!了解しました!


アーサー:あとは皆に同文送ってくれ、"賞金稼ぎのアーサー"は、右腕がなくなっちゃったからもうこの仕事を辞めました他の奴に頼んでくださいって


アリス:はいはい、いつも通りですね


アーサー:呆れた顔すんじゃないよ...あ、ケーキ頭だから顔ないか


アリス:しばきますよ


アーサー:にしても、もう辞めてから半年以上は経ったのにまだ依頼がくるのか


アリス:この国では間違いなく一番の腕だったじゃないですか、そりゃ来ますよ


アリス:あ、殺害予告もいつも通り来てました


アーサー:そいつには暇つぶしになるからいつでも来てくださいって言っといてくれるか?


アリス:あ、はい


アリス:じゃあメールは返しておくので


アリス:今日は何か予定が?いや、すみませんないですよね


アーサー:おい勝手に決めつけるな。まぁ...ないが


アリス:ないんじゃないですか


アーサー:右腕がないと、前やれてたビリヤードもダーツも、それこそ仕事も出来ないんでね


アリス:ビリヤードは確かに難しいとは思いますけど...ダーツは左手だけで充分出来てるし、仕事に関しても、片腕だけで3人いっぺんに相手出来るならそこまで問題ないと思いますけどね


アーサー:なんの事だか


アーサー:まぁ...良い機会だったんだよ、そろそろ潮時かなと思ってた矢先のこれだったから、神様からお前はそろそろ脚を洗えって言われてるように感じてね


アリス:......そうですか。あれ...?本とか読むタイプでしたっけ?


アーサー:ん?あぁ、その本か。暇潰しに丁度いいと思って買ったんだがこれが意外と面白くてな、主人公が賞金稼ぎで...まぁストーリーはよくある内容だよ、正義が悪を蹴散らす〜みたいな


アリス:へぇ〜?やっぱり戻りたいんでしょ!賞金稼ぎに!未練タラタラじゃないですか...!


アーサー:うるせぇ...!あの仕事してる時が一番楽しかったからな。そりゃあ未練だってあるさ


アーサー:今までの女にさえ未練なんてあった事ないのに、あの仕事程良い女は居ないよ


アリス:上手くいってたみたいなのに、アーティが"彼女"と別れたのが残念ですよ


アーサー:ははは!金だけ残して消えちまったよ


アリス:いくら"彼女"が置いていった金があってする事がないからってお酒とタバコはやめてください!匂うし部屋が散らかる!


アーサー:お前、嗅覚あるんだ...ケーキ頭なのに


アリス:......(深呼吸)そろそろキレてもいいですか


アーサー:はは、悪かったよ。あ、ちょっと出かけてくる


アリス:えっ、さっきタバコ買いに外出たじゃないですか


アーサー:酒買うの忘れてた


アーサー:行ってくる


アリス:えっちょっ...もぉ~~~!!





<街の中心地、荒くれ者の集まる酒場にて>


(鈴の音が鳴る)


店主:......ん、いらっしゃい


アーサー:よぉ


店主:おぉ、まだしぶとく生きてたかアーティ


アーサー:なかなか死ねなくてな


店主:お前相変わらずあれか、酒とタバコの堕落しきった生活か


アーサー:仕方ねぇだろ。片腕じゃ仕事なんて出来たもんじゃない


店主:そうかもしれんが...はっ、あの時のお前が嘘みたいだな


アーサー:チッ...うるさい。酒はまだか酒は!


店主:わぁったよ待ってな、いつもの三つな。持って帰るんだろ?


アーサー:あぁ、まだあるか


店主:お前の分はいつも取り置きしてるよ。どうせまた来るだろうと思ってな


アーサー:ほうやるじゃねぇか。デカイのは腹だけじゃなかったか


店主:お前普通に器が大きい方だありがとうございますって言えないんか


アーサー:ははっ!(棒読みで)器が大きい方だ、ありがとうございますっと...また来るよ。じゃあな


店主:あっちょっと待て!


アーサー:ん?どうした


店主:いや...多分なんだがお前の事探してるやつがうちに来たぞ


アーサー:俺を?


店主:あぁ...ある人を探してるんです〜って、長身で身体が傷だらけでクールな感じでクズっぽい賞金稼ぎらしい


アーサー:ほう...?けどそんなやつ沢山いるだろ


アーサー:それに、俺ほど寛大で優しいやつはそういない


店主:(被せ気味で)あ、あと赤い目をしてるって


アーサー:......俺だな


店主:おう、全部当てはまってるだろ?


アーサー:クールでクズっぽい?以外は


店主:確かに、クズっぽいってよりクズか


アーサー:黙ってろ


アーサー:まぁ俺が辞めたのを知らない奴が依頼しにきたんだろ可哀想なやつ


店主:俺もお前の居場所までは知らねぇし、適当にあしらっといたよ。にしても、相当真剣な顔してたぜ


アーサー:へぇ...まぁ、今の俺には関係ないな!相当の大金積まれたら考えるよ


アーサー:じゃあな





アーサー:おいおい...早速か...


クラーク:っ...はっ...ぐっ......


アーサー:...「アーサーさんを探しています」...普通看板ぶら下げて歩くかね...どう考えてもあれだな...


クラーク:ぅぐっ!!ぐ...がっ...



アーサーM:盛大に殴られてるな...めんどくさいから別の道通ろ



クラーク:あっ!!!!!!


アーサー:あっ......


クラーク:アーサーさん!?ですよね!!?


アーサー:だ、誰です?ちょっと分かりかねますね〜...


クラーク:いや間違いない!特徴が完全に一致してますもん!!


クラーク:やっと会え...


大男:よそ見してんじゃねぇぞごらぁ!!


クラーク:ぅぐぁっっ!!...は...ぁ


大男:その金とっとと寄越せチビィ!!もう一発みぞおちにぶちこまれたいか...!!


アーサー:はぁ...お〜い大男!


大男:...?


アーサー:え?誰?みたいな反応するんじゃないよお前以外いないだろ


大男:なんだチビ、邪魔すんなとっとと失せろ


アーサー:言っとくけどそいつも俺もチビじゃねぇからな。俺に関しては185cmあるんだぞ


大男:うるせぇ野郎だなぁ!お前から叩きのめしてやろうか...!


アーサー:デカイ口を叩くんだな、デカイのは図体だけじゃないってか。いいぞ?暇つぶしを探してたとこだ...かかってきな


大男:...上等だ


クラーク:アーサーさん!!そいつ手強いですよ気をつけて!!


大男:おぉぉらぁぁ!!!


アーサー:よっ...と


クラーク:おぉ!避けた...けどお酒が...


大男:っ!くそ...


アーサー:...なぁ


大男:あぁ!?


アーサー:割った俺の酒、どうしてくれる?


大男:知らねぇよ


アーサー:(小声)脚、喉1、目、肋骨2ってとこか


大男:なに言ってんだテメ...えっ


アーサーM:まず蹴りで両脚を粉砕


大男:ッ!!


アーサーM:跪いた所をすかさず喉に正拳突き


大男:がっ...ぐ...ぁ!!


アーサーM:呼吸が上手くできなくなったら目を潰し肋骨に蹴り二発


大男:ぁ...が...


アーサー:おしまい、か


クラーク:すごい...


アーサー:...で、大丈夫か?


クラーク:僕はだいじょう...


アーサー:酒


クラーク:僕は!?


アーサー:よし、一本は残ってた...あの野郎...


アーサー:そういや、あんた大丈夫か


クラーク:まず...こっちじゃ...僕は...大丈...ぐふっ!


アーサー:血吐いて倒れてる奴のどこが大丈夫なんだよ、ちょっとこっち来な





クラーク:......すみ...ません...


アーサー:......よくその大金守りきったな


クラーク:なんとか...このお金だけは守り通しました...あなたがアーサがぁっ...!


アーサー:喋らない方がいい、傷が増えるぞ


クラーク:......(微笑して)話に聞いてた通りの人だ


アーサー:皮肉が言えるタイプとは...(怪我をした場所に圧をかける)


クラーク:がぁっっ!!


アーサー:どうせ依頼だろ、俺はもう受けてない


クラーク:そんな...お金ならあるんです!


アーサー:あ、そう。この応急処置終わったら医者にでも診てもらって帰りな


クラーク:いえ!絶対に帰りません!!


アーサー:はぁ...あのな、確かに俺はアーサーだが、あんたが探してる”賞金稼ぎのアーサー”はもう居ない


アーサー:ほら見ろ、俺には今左腕しかない。これじゃまともに戦えないし、仕事もやめて今は隠居中の身なんだよ


クラーク:え、でもあの酒場の人に話を聞いたらこの前店に来た迷惑な客三人を片腕で制圧してくれたって...それにさっきだって助けてくれた...


アーサー:......あ〜分かった!なら腕利きを紹介するよ、そいつなら引き受けてくれるさ


クラーク:一度話を聞いてくれませんか...


アーサー:...どうしてそこまで俺に固執する?この街には腕利きの賞金稼ぎなんて腐るほどいるだろ


クラーク:いいえ!貴方以外には頼みたくない!


アーサー:いい加減にしろ...俺は早く帰って酒呑みたいんだ


クラーク:っ...!!この街で!この街でまた...20年前の悲劇が起きるかもしれないんです...!


アーサー:...は?





<場所は戻りアーサーの隠れ家、廃墟の遊園地にて>


アリス:いや!!いやいやそもそもですよ!!なんで私はただの使用人と化してるんですか!!


アリス:仕事の時のアーティは本当に格好良くて憧れで、

いつか仕事面でもサポート出来たらなと思ってたのに!!


アリス:何故今私はここで掃除をしてるんですか!!!!!!


アリス:あの人は酒を買いに行ってまだ帰って来ないし!


ドク:......あのぉ...


アリス:部屋ぐらい自分で片付けてくださいよもう〜タバコ臭いし〜


ドク:あ、嗅覚あるんだ


アリス:やかましい!!


アリス:ぁ...ドク...!!お久しぶりです!


ドク:よ!ヘヘ、久々だなアリスちゃん!元気そうで何よりだよ!


アリス:すみません散らかっちゃってて...どうぞ(コーヒーを出す)


ドク:ありがとさん!お、これ好きって言ったの覚えててくれたの?


アリス:えぇ!記憶力は良いんです(得意げに)


ドク:やったぜ...まぁ...元々仕事が無い時は怠惰の極みみたいな生活してた奴だったし、賞金稼ぎ辞めた日にはこうなるだろうとは思ってた


アリス:私もこうなる事は危惧してましたけどいざなってみるとこう...しんどいですね...ところで今日は何用です?その大きなアタッシュケースは...?


ドク:あぁ、アーティにプレゼントがあってね!渡しに来た


アリス:プレゼント?なんです?それ


ドク:ん?はは、秘密!


アリス:え〜教えて下さいよ〜!!


ドク:アーティに見せる時に君にも見せるよ(笑いながら)


アリス:はーい...!はぁ...早く帰って来ないかな〜あの人...


アリス:(掃除を再開する)最近は忙しいと聞いてたので、まさか来てくださるとは思ってなかったですよ


ドク:あぁ忙しかった〜...昨日の夜は特にね!昨日の夜線路が爆発して列車の運休が止まったのは知ってる?


アリス:あぁ、今朝の新聞の一面隙間なくそれでした。テロだとかいたずらだとか...


ドク:そ。その事件を調査しに行ってた


アリス:えっえっ!結局原因ってなんだったんですか!?


ドク:はは、ワックワクだな(笑いながら)


ドク:...爆発した地点では化学物質の痕跡はなく、周囲に散らばってた破片は全て爆発した線路の破片...となると考えられる可能性は一つ


ドク:そう思って俺の道具で再度細かく見てみると、爆発した地点から半径5mの範囲に微量の魔力が漂っててね。すぐに爆発の原因が魔法だって分かった。


アリス:おぉ...!大手柄じゃないですか!


ドク:へへ...使われてたのがなかなか強力で珍しい魔法だったから、犯人はここ最近活発化してるテロの仕業じゃないかってさ。恐ろしいもんだよ本当...(あくびをして)疲れた...


アリス:お疲れ様です...!


ドク:いやはや、国家錬金術師も楽じゃないよ


アリス:そういえば前に見たんですけど、国民にインタビューした結果、国家錬金術師はなりたくない職業ランキング一位だったらしいですよ


ドク:待ってそんなランキングあったの初めて知ったんだけど


アリス:...相当劣悪な環境って噂が出回ってるみたいです


ドク:まぁ...その噂に間違いは無いなぁ。今のこの国の縮図みたいな職場だよ


アリス:あら、皮肉ですか?(笑いながら)


ドク:ははっ!アーサーほど上手には言えないけどね!


ドク:...この世界は、魔力のもと生まれた俺達のような奴にとっては、まだ優しくなってはくれないみたいだ


アリス:はぁ...この国、明日もう新国王が即位して20回目の建国記念パレードですよいつになったら変わってくれるんでしょうね...


ドク:さぁ...もう変わってはくれないのかもしれないな


ドク:さて、俺は一旦帰るよ!あいつはまだ帰ってこなさそうだし、また後日来る!


ドク:コーヒーありがとう!


アリス:あ、いえいえ!ありがとうございます!


ドク:じゃ、またぬぁあっ!!(ドアが勢いよく開き、ドクが吹き飛ぶ)


ノア:頼もう...!


ノア:アーサーという男に用があって来た。あ、すまない


ドク:いっ...ててて...


アリス:えっ、あっ、だ、大丈夫ですかドク!!


ドク:あぁ大丈夫だよアリスちゃん...ってノアか!?なんでここに!?


ノア:ん?ドクか。そちらこそ、何故こんな所に居る


ドク:俺はアーサーにプレゼントを...って言っても本人は今居ないんだけど...


ノア:それは困ったな...私もそのアーサーという男に会いに来たんだが


アリス:あ、あのぉ...二人はお知り合い...?


ドク:あぁ、そうそう。俺のメインのクライアントであり数少ない政府側の友人さ


アリス:クライアント...


ノア:申し遅れた。私はノア・イリーダ・ルドヴィクス、誇り高き王国騎士団レナードイージスの団長だ


アリス:レナードイージスって...あの...!?


ドク:その反応も無理ないよな...世界でも指折りの精鋭部隊の団長が、賞金稼ぎの隠れ家に出向いてきてんだから...もしかしてあいつがなんかやらかして...!?


アリス:あ〜すみませんすみませんすみません!!!


ノア:いやいや!違うんだ...!まず、突然の来訪となってしまって申し訳ない、今日は依頼をしに来たんだ。アーサーという男はいつ帰ってくる?お嬢さん


アリス:ひっ...おっ、おじょ......あの...えっと、あの人は酒を買いに行ってから帰ってこなくて...それに依頼はもう...


ドク:ほう依頼......よぉし!その話、俺が代わりに聞いておこう


アリス:ドク...!?


 アリスに不敵な笑みを浮かべるドク


ドク:まぁまぁ...(小声で)大丈夫だよアリスちゃん、俺にはとっておきの策がある...


アリス:(小声)と、とっておきの策?


ドク:(小声)あぁそうだ、とっておきの策。だから大丈夫!またあの頃のアーティが見たいだろ...?


アリス:(小声)すごく...すんっ...ごく見たいです...!


ドク:(小声)なら話を聞こう。俺に任せて


ドク:(大きく咳払い)で、その依頼ってのは?お前さんなら一人でもなんとかなりそうだけど


ノア:...それが今回ばかりは、そうもいかない


ノア:この事は機密事項故、他言無用でお願いしたい


ノア:今朝、私の元に伝令が舞い込んできた...内容は我が騎士団のエイダン東駐屯地が何者かの手によって陥落した、というものだ


ドク:おいおいエイダン東って言ったら...確か上位クラスの団員しか居ない難攻不落の...


ノア:あぁ...難攻不落だったさ、昨日まではな


ノア:...突然の謎の集団の奇襲によって、当時駐屯地に居た団員は全滅。その時遠征に行っていた僅か5名が襲撃が終わったタイミングで帰還し...仇討ち(あだうち)の為乗り込んだが返り討ちに遭い...うち4人が殺され、1人は手負いながらもなんとか逃げ帰り伝令を私の元へ届けてくれた


ドク:へぇ...相当の手練だな。エイダン東を全滅か...


ノア:奴等が何者で、何の為かはまだ分かっていないが、奴等の長であろう男が生き残った一人に


ノア:「まだ物語は終わっていない...君達の長にこう伝えろ、明日のパレードは国王の血で染まる。止めたくば、僕を見つけてみろ」と、そう言った


ドク:物語?おかしな言い方だな...じゃあ依頼ってのはそいつを見つけ出し...


ノア:パレードまでに、私に、生きたまま引き渡してほしい。それが依頼だ。

ただ一筋縄では見つからない、相手は相当の手練れだ


ドク:なるほど。それで国一番の賞金稼ぎに藁にもすがる思いで頼みにきた訳か


ノア:...恥ずかしい限りだが、例の線路爆破で遠征に出ていた数部隊は未だ帰ってこれず、エイダン東の件で大打撃を受けた我々では明日のパレードに割く人員で限界だ。

国の未来の為に、協力してほしい


ドク:......


ドク:う〜ん...よし分かった、依頼を受けよう


アリス:か、勝手に受けちゃって大丈夫なんでしょうか...!これあとから私達すんごく怒られるやつでは...


ドク:大丈夫だよ、覚悟の上だ。言ったろ?とっておきの策がある...それに、そろそろあいつも退屈な暮らしは飽きてきてる。血に飢えてる筈だ


アリス:でも確かに...あの人辞めてからいつも寂しそうな顔してます


ドク:そうだろうねぇ、あいつにとって最高の女から離れる事になったんだから


ドク:アーティにはあの子と復縁してもらおう...それでノア、なにから始める?さすがのあいつもプロとはいえ手掛かりが0のとこから探し出すのは難しいと思うぜ?


ノア:あぁ、分かっている。今朝、伝令を届けてくれた勇敢な団員が相当の深手を負っていて昏睡状態にあったんだが先程目を覚ました


ノア:相手の長の顔を見てるのは帰還してきた団員だけだ、まずはその子に話を聞けばいい


ドク:ほう、楽しそうじゃないか!あいつ喜ぶぞ〜!


ノア:やめないか不謹慎だぞ...!こっちは優秀な団員を何十人も失ってるんだ。それにパレードの襲撃予告で国の危機ときてる


ドク:分かってる、ただあいつは”普通”の依頼じゃ受けないからさ。まさかお前さんだってあいつがまともな奴だと思ってそんな重要な依頼をした訳じゃないだろ?


ノア:もちろん...それは分かっていたが、改めて賞金稼ぎは戦闘狂だらけなのだな...


ドク:アーティの奴は特にな。だけどそっちからしたら好都合だと思うよ、あいつは楽しいと思った事はとことん楽しむから...!


ノア:彼の評判を見込んでの依頼だ、上手くやってくれる事を願うよ


ドク:あいつなら上手くやるさ...まぁとりあえずだ、まだその当人は帰ってくる気配もないし、今度こそ一度帰る事にするよ。依頼内容は俺からあいつに伝えておくから、ノアお前も一旦戻ったほうが良い


ノア:そうだな...では、そうさせてもらうよ。ありがとうお嬢さん、いつの間にかコーヒーまで出してくれて...とても美味しかった


アリス:あっ......ありがとう...ございます...(だんだん声が小さくなる)


ドク:乙女の顔になってるぞぉアリスぅ〜


アリス:うるさいです!!!


ドク:じゃ、今度こそまたなアリスちゃあああ!!(ドアが勢いよく開き、ドクが吹き飛ぶ)


アーサー:(被せ気味)ただいま〜


アリス:ドク〜!!!


アーサー:あ。ごめん


ドク:もう...本当に......あのさぁ!!!


アーサー:すまんすまん...って久々だな


ドク:おう久々だな!でもまず俺の心配をしてくれないかな!!というかお前らタイミングどうなってんだ!!


アーサー:タフな身体してんだから大丈夫だろ


ドク:お前と比べたら屁でもないがな...!ったく...


アリス:(満面の笑みで)あ、おかえりなさいアーティ!


アーサー:おいなんだ?顔なくても笑ってるのが分かるぞなんだ??


ノア:貴方がアーサーか


アーサー:......あんたは?


ノア:私はノア・イリーダ・ルドヴィクス。王国騎士団レナードイージスの団長を務めている


アーサー:へぇ、騎士様がどうしてこんな掃き溜めみたいなとこに?


アリス:掃き溜めにしたのあなたですけどね!!


ノア:...依頼を、しにきたんだ


アーサー:なるほどな。断る


ドク:いやすまんアーサー、もう受けてる


アーサー:なに...?


ドク:まあまあそうカッカすんなって...!お前がその怠惰な生活を続ける必要はもうない!良いもんを持ってきたんだ


アーサー:...どうせまたくだらない発明だろ?


ドク:いや、今回は違う。お前がこの依頼を断る理由はもうないぞ?話も聞いてある


アーサー:おいちょっと待て...


アリス:あれ...その後ろの人は?


アーサー:......はぁ...依頼の...クライアントだ


アリス:えっ


ドク:えっ...?


ノア:え?


クラーク:あ...はは...初めまして...クラークと申します...


ドク:おいおいこりゃ...どういう事だ?アーティ


アーサー:...さっき、酒を買いに行って店を出たら血を吐いてて傷だらけのこいつと出会ったんだ



<時は遡り、路地裏、アーサーとクラークの二人>



クラーク:っ...!!この街で!この街でまた...20年前の悲劇が起きるかもしれないんです...!


アーサー:...は?


アーサー:20年前の悲劇って、国王暗殺の事言ってるんだよな?


クラーク:えぇ


アーサー:それがまた起きると?


クラーク:...はい


アーサー:...


クラーク:...


アーサー:あんた...わざわざこんなとこまで、俺に冗談を言いに来たのか?


クラーク:冗談じゃないんです!!ほんとに、また必ずあの事件が起きる


アーサー:...根拠を話してみろ。話はそれからだ、根拠もなくそんな戯言を言ってる訳じゃないんだろ?


クラーク:もちろんです!!...僕、作家をやっていまして...


クラーク:こう見えても、結構有名なんですよ


アーサー:急な自慢だったけどその情報も必要なのか?


クラーク:...毎日ファンレターの山に埋もれて優雅に湖畔の別荘で、執筆してたんですけど


アーサー:帰っていいか


クラーク:なんでです!!?


アーサー:いやだって今の所、あんたのただの自慢話聞かされてるだけじゃねぇか。時間の無駄だ


クラーク:ごめんなさい!ごめんなさいって!!話しますから!!


アーサー:早くしろ


クラーク:......ある日、そのファンレターの中に一通だけ異質なものを見つけたんです。そこには「あなたの作品に感銘を受けました。あなたの物語を現実のものにしたくなるほど、強い憧れを」と、そう書かれていました


クラーク:もちろん、僕だって簡単に信じた訳じゃありません...!ただその手紙が来た次の日に...隣国のデルセル卜で国の重要文化財であるグラズ国立図書館が爆破されて、更にはその一週間後にハイネ王国で防衛大臣が殺されて...


アーサー:......


クラーク:...?どうしました?


アーサー:...いや、続けてくれ


クラーク:はい...まぁ確かにその二つのテロ自体はこの時代だったらありえなくは無いことなのですが、その後二ヶ月何回かに渡って、僕の賞金稼ぎを主人公とした一番売れた小説に書かれた大きな事件が現実となっていったんです


クラーク:流石に偶然とは思えなくなってた僕のもとに、あの手紙を送ったファンからまた手紙がきまして...


クラーク:「ね?僕は本気ですよ。次で最後...舞台はパルデンス、国王の暗殺です」


クラーク:...と


アーサー:ほう...?それでこの国に来て、俺に助けを求めたと?


クラーク:そういう訳です。彼は本気だった、僕の本の通りの事件を起こすなら彼はきっとやります...


アーサー:へぇ...


クラーク:(土下座しながら)お願いします!!こんな事警察に話してもまともにとりあってくれないから...あなたが頼みの綱なんです...!!


アーサー:...あぁ、分かった


クラーク:えっ...あ、案外あっさり


アーサー:面白いじゃねぇか


クラーク:え?お、面白い...?


アーサー:銃も格闘も左手だけで足りるしな


クラーク:うわ、すごい勢いで手のひら返した


アーサー:あんた、名前は?


クラーク:クラークといいます!!


アーサー:交通費と治療費分だけ残してあとは前払いで、渡してもらう


クラーク:前払いですか!?


アーサー:必ず成功させるんだから、前でも後でも一緒だろ


クラーク:話に聞いてた通りの人だ...!


アーサー:ついてきな。うちで作戦会議だ





<現在、アーサーの隠れ家>


ドク:それで...今に至ると


アリス:っははは!!我慢できず受けちゃった訳ですね!!やっぱり未練たらたらじゃないですかはっははは!!


アーサー:うるっせぇなぁ!!そんな面白い依頼久々にきたんだ仕方ないだろ!!


ドク:...なぁ、その依頼もしかして


ノア:あぁ、恐らくだが...


アーサー:ん...?





<数分後>


ドク:......で、パレードでの国王暗殺を止める為にそいつをノアのもとに連れてくるというのが、ノアからの依頼だ


アーサー:...ほう。じゃあ...なんだ?どちらの依頼もターゲットは一緒という訳か


ドク:恐らくだがな...


クラーク:いや、間違いないと思います


ノア:まさか...エイダンの事も君の本に書いてあるのか!?


クラーク:えぇ。直接的な場所と正確な時間表記まではしてなかったので、どこかは分かりませんでしたが


クラーク:自分だけではどうにもならないと分かりきっていたので、依頼が始まれば真っ先に探し出して止めるつもりでした...


アーサー:間に合わなかった訳か


ノア:パレードは明日...今日の内に奴を見つけだせばパレードの国王暗殺は止められる


ノア:頼む...!!依頼を受けてくれないか


クラーク:僕からも、改めてお願いします!僕の本に擬えているならエイダンの件の次に奴が起こす事件は国王暗殺だけ...これ以上自分の、自分が与えた影響のせいでこの世界を傷つけたくない!!


アーサー:......


ドク:(小声)どうするアーティ


アリス:(小声)どうしますか?アーティ


アーサー:はぁ...ノア、だっけ?


ノア:あぁ


アーサー:......策はあるのか





アリスM:気怠そうな風にしながらも、彼の目が確かに輝いたのを、私は見逃さなかった


アリスM:飢えたハイエナが獲物を見つけた時のような、彼のその鋭い眼差しは、酒に溺れる怠惰な男のものじゃなく


アリスM:間違いなく、パルデンスで一番の賞金稼ぎ”アーサー”の眼差しだった





アーサー:(タバコを吸う)


ドク:(微笑みながら)...仕事前に屋根上でタバコ吸うの、変わってないな


アーサー:...仕事前のルーティーンみたいなもんなんだ


ドク:お前肺やられても絶対にタバコ辞めなそうだよな


アーサー:よく分かってるじゃないか


ドク:...一本くれ


アーサー:ん、ほらよ


ドク:ありがとさん


ドク:(タバコを吸う)...お前の仕事にまた協力できて嬉しいよ


アーサー:(笑いながら)よせよ気色悪ぃ


ドク:”それ”どうだ


アーサー:まるで元からこれだったみたいだ。にしてもまさか...お前の言う良いもんが、この義手とは思わなかったよ


ドク:過去に一度、レナード・イージスの団員で任務中腕を飛ばしちまった奴がいてな。そいつの新しい腕を作ってやったことがあるんだ


ドク:メインの素材には各国のエネルギー源としても使われてるあのクラウル鉱石、別名賢者の涙とロードライトっていう超〜貴重な鉱石が使われてる。ちなみにお前さんに作った奴はその時のものよりも更に改良したやつで、手の甲に埋め込んだ高硬度のクラウル鉱石の強大な魔力で神経と義手をしっかり繋いでるから、神経伝達の遅れも一切ないしサイズはお前にピッタリ合ってるしその最高なデザインも俺が考えたんだすごいだろ!!?


アーサー:勢いがすごすぎてちょくちょくしか聞き取れなかったがこの腕にとてつもない価値があるって事はよく分かった


ドク:そういうことだ!ロードライトの硬さは異常と言えるほどだから、耐久性の心配もないだろう


アリス:二人共〜!ノアさんとクラークさんが待ってますよ〜!あ、あとアーティ!


アーサー:ん〜?


アリス:あなたのリボルバーとコート、用意してます...!


アーサー:あぁ...!助かる


ドク:よし!傷だらけの俺達の希望が病室でお待ちだ。行くぞ、アーティ


アーサー:...あぁ、行こう


アーサー:......長い夜になりそうだ





____後編に続く








評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ