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憧れは星よりも近く  作者: v私立桜咲学園文芸部
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第五話 日本一の共演に向けて

日本一のアイドルと日本一のモデルの夢の共演?

 最近、仕事で褒められることが増えた。自然な笑顔で笑えてるって評判も良くなって来た。前よりも笑顔で居ることが多くなった分、学校でも話しかけてくれる人も増えて来た。今の環境が幸せ過ぎて怖い。この幸せも時間が経つにつれて薄れて無くなって行く。いつかは桜ちゃんともお別れすることになる。あの時、私が桜ちゃんとお別れした時も凄く辛かったし。お別れって何年経っても、いくら大人になっても、あの頃と変わらず寂しい。

 一人で屋上に居る時、ふとそんな事を考えたりする。一人ぼっちで居る時にそんな考えばかり浮かんでくるから寂しさを紛らわすことが出来ない。


「何かあったの?」


「有彩ちゃん……何もないよ」


「有彩で良いよ。それよりも、何か悩んでるんでしょ?」


 私と同じで、色んな人から注目されて憧れの眼差しを向けられる職業に就いている。私の気持ちも分かってくれるのかな? アイドルとモデル。仕事は違ってもよく似た環境だ。


「有彩は寂しくなったりしない?」


「前までは私も寂しかったよ。桜も居なかったし、私の仕事に共感してくれる人も居なかったから話が出来なかったりしたからね」


「今は寂しくないの?」


「うん! 桜とも出会えたし、輝夜ちゃんとも出会えて仕事の話が出来るようになった。私はそれがすごく嬉しいんだ!」


 一点の曇りもない瞳と人に幸せを分け与えるような笑顔。本当に胸を張って幸せと言えるなら、いつか消えてしまうのはもっと怖いはず。


「その幸せがいつか消えるって思うと怖くて……」


「日本一のアイドルでもそんなこと悩むんだ」


「日本一のモデルは悩み事とか無いの?」


「無い!」


 考える間もなく即答された。でも、この笑顔に嘘なんて無いのかも知れない。アイドルとしてやって来たから分かるけど、私の居る世界は嘘だらけだ。嘘の笑顔に嘘の噂。感情のない感謝の言葉。本当にあるのは妬みと嫉妬だけ。自分を高めようとせずに人を蹴落とそうとする人たちばかり。

 有彩はそんな人たちとは違う。


「そんなことどうでも良いの! 文化祭のステージ一緒に出ようよ!」


「何で急に?」


「日本一のアイドルと一緒に出られると思うとワクワクして居ても経っても居られなくなったの」


「普通なら断るけど、日本一のモデルのお誘いを断るのは無理そうね」


「よく分かってるじゃん!」


 なんて言ってみたのは良いけど、正直言えば私も楽しみだ。アイドルとモデルの共演なんて初めてだし、何よりも楽しそう。絶対に衣装も似合うだろうし。


「あ、事務所は大丈夫なの?」


「私はフリーだし。そっちはプロデューサーに許可取らなくて大丈夫なの?」


 一応聞いておかないと。勝手なことをすると怒られるし、怒った楓は凄く怖いから話だけしておこう。出ることは確定だし。


「楓っ!」


「はい」


 屋上にある草が生い茂った花壇の中からひょっこりと出て来た。私が大きな声で呼ぶと、どこに居たとしても楓は出てくる。便利な反面少し怖かったりもする。


「うわっ!? ずっとそこに居たの!?」


 そんな楓を見て腰を抜かしてる有彩。さっきまでそこに居たから大体の話は聞いてるだろうし説明は特にしなくて大丈夫かな。


「出るから!」


「止めても聞かないんですよね」


「うん!」


「こっちから事務所に話しておきます」


 そう言い残して屋上から飛び降りる楓に手を振って見届けた。これで文化祭の心配はなくなったけど、衣装とかダンスの振り付けを考えないと。


「え!? ここ屋上だよ!? 大丈夫なの!?」


「大丈夫大丈夫」


 パニックになりながら腕を引っ張って来る有彩をなだめながら色々と考えて見る。想像とは言え有彩って何を着せても似合うし、振り付けとかも運動神経を見る限りすぐに覚えられるだろうから、少しカッコ良くて可愛い感じでなんかそう言う良い感じのやつで練習しよう。ただ、一つだけ問題がある。私の語彙力では有彩に考えが伝わりそうにない。今まで感覚的にこなして来たから、理論で説明するのが苦手になっちゃった。


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