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異世界転生はまだ飽きない!  作者: あさり
第一章 転生
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契約!?

 エリスと名乗った少女と歩く。

 鍾乳洞は人の出入りがあるのか一本道になっていた。


「さ、さっきは済みませんでした」


 エリスは直角を超えるほど頭を下げていた。

 確かにビンタはとても痛くて未だに跡が残っているがそこまでしなくて良いのに。


「俺も水浴びしてるのを見てしまったし、お互い様だ」


 裸をビンタで見れたと思うと安いもんだ。

 いつでもビンタで見れるなら幾らでもぶたれてやる。


「そうですか? それでどうしてゴブは、こんな所に居たのです?」


 エリスが質問してくるが、なんて答えたらいいものか?普通に「転生して来ました!」なんて言ったら疑われそうだしな。


「魔物に……鳥の魔物に鍾乳洞まで連れ攫われたんだ。死に物狂いで逃げてきた」


 俺は嘘をつく事にした。


「そうですか、それは大変でしたね。その魔物は何方(どちら)に?」

「さぁ? 食べる気が無くなったのか捨てられたのかも知れない」


 俺は分からないと言わんばかりの顔で答えた。

 果たしてゴブリンの表情で伝わるのか分からんがな。


「貴方はこれからどうするですか?」


 どうするって言われてもなあ。

 何も分からないから困る。


「ゴブリンってどこで生活してるんだ? どうやら連れ攫われた時に頭を打ったみたいで以前の記憶が無いんだ」


 頭は打ってないが記憶は無い。

 と言うか転生って転生前の人はどうなってるんだろうな?

 何も無い所から生まれてるのか?

 それとも元からあるものに俺の記憶と魂が入ってるのか?

 もし、後者なら可哀想なことをしてる気がするな。

 いや……でも、そのせいで前世は苦しめられたのか、ふざけるな!ゴブ。


「そうですか、記憶が無いのですね。それは可哀想に」


 エリスは顎に手を当てて考えている。どこかゴブリンが暮らせそうな場所を知っているんだろうか。


「分かりました! 私が貴方の主人になってあげます!」


 はい?


「分からない顔をしているますね。ゴブ、私の使い魔になりませんか?」

「ゴブー!?」


 使い魔ってあれだよな?

 言い方はカッコイイがただのパシリじゃん。


「安心してください。貴方を酷い目に合わせません。中には使い魔を無下に扱う人も居らっしゃいますが、私はそんな事絶対にしません。使い魔になる事で街にも入り易くなりますよ? 悪い話ではないと思うんですが」


 そう言って結局パシったりすんだろうな。

 でもエリスと一緒に行動しないとなると、この先苦労しそうだな。


「わかった。エリスの使い魔になろう」

「ほんとですか!? それなら早速契約です!」


 契約ってどんな事をするのだろう。

 と考えているとエリスはいきなり自分の人差し指を持っていた剣で切りこちらへ向ける。


「ゴブ!?」


 一体何をする気だ?


「飲んでください」


 え、契約って血を飲むの?

 ムリムリムリムリ!

 両手を振って嫌がる。

 紙で手を切った時に自分の血を舐めるのも無理なのに。


「ちょっと、待ってくれ!?」


 いきなりは流石に抵抗がある。

 心の準備をさせて欲しい。


「早くしないと乾いてしまいます。私が痛い思いをしただけになってしまいますよ?」


 うっ。それは可哀想だ。

 俺は恐る恐るエリスの手を掴み人差し指に口を近付け一口飲む。


 鉄の味だ。異世界でもこう言うのは変わらないな。


 飲んだと同時に急激に目眩と動悸が襲い横になり悶える。

 息が苦しい。まさか人間の血はゴブリンにとって毒だったとかじゃないよな?


「ゴブウウウウウ!」


 俺は辛くて叫ぶ。

 自分の体が点滅しているような感覚に襲われる。


「はぁ、はぁはぁ」


 さっきまで目眩と動悸に苦しまれていたのが嘘みたいに治り起き上がる。

 だが息切れは治まらない。


「大丈夫ですか!?」


 エリスは俺を心配して駆け寄ってくる。


「は、はぁ。け、契約は成功か?」

「えぇ、成功です。これからよろしくお願いします。ゴブ太郎!」

「ゴブ太郎?」


 俺の名前はゴブだ。


「契約したら主人が名前を付ける事が出来るって言いませんでしたっけ?」


 聞いてないゴブウウウウ。しかも絶望的なまでのネーミングセンスの無さ。


「ゴブに名前を戻して欲しいゴブ!」


 俺は必死に懇願した。


「一度決めたら変えられません。あとゴブって名前だと被りそうですからね。ほら、このステータスを見てください」


 エリスは俺のステータスを見せてくる。と言うかステータスって概念があったんだな。


 そこには名前がしっかりと〝ゴブ太郎〟になっていた。


「いやぁああああ」


 もうゴブリンになった時点で色々諦めなきゃいけなかったかもな。


 それでもこんな可愛い子が俺の主人になってくれたんだ、前向きに考えて良い事にしよう。


 ゴブリンライフを楽しむぞ!


 エリスから服を貰い街を目指す。流石に全裸の露出狂みたいな姿だったからな。魔物じゃなくても切りかかられるかも知れん。

 でもゴブリンってみんな全裸か。


「風の精霊よ、我に翼を」


 エリスが詠唱すると浮き上がった。俺の手を握り飛び立つ。


「うわぁぁぁあ!!!」


 俺はまるでブライダルカーの後ろについてある空き缶のように揺られながら移動する。


 早速酷い扱いされてる気がするんだけど無意識か?


 そのまま揺られる事三十分ほど。

 街へと着いた。

 まったくエリスのやつめ。後でゆっくり怒ってやろう。


 ゴブリンの体だったから良かったものの、これが普通の人なら脱臼しててもおかしくなかったぞ。


 エリスの後ろを歩きながら考えていると大きな建物に着いた。宿屋だろうか?それにしても大きくてアレに見えるな。


「ゴブ太郎、着きました。私の家です」


 そこにあるのは街の中でも一番大きな建物だった。


「城!?」


 俺は目玉が出るような驚き方をしたと思う。


「言いませんでしたか? 私はこの城の主で、この国の姫なんです」


 いやいやいや、聞いてないよ!?どうして滝なんかに居たの!?もっと綺麗で豪華なとこあるでしょ!


 俺は言われるがままにエリスに着いて行く。


 城に入ったら変な目を向けられるかと思ったが、エリスの使い魔だと分かったら、そんな事は無かった。


 大きな部屋に入る。


「ただ今戻りました。お父様」


 エリスは誰かと喋っている。お父様って呼んでるって事はエリスの親か。……って事は国王!?


「おぉ、よくぞ無事に戻られたエリスよ。して、その緑色の物体はなんじゃ?」


 エリスの父親は髭を触りながら不思議そうな顔をしている。


「私の使い魔で御座います」


「ほほほ。何の冗談じゃ? 魔物嫌いのお主が使い魔を連れて帰ってくるなんて」


 エリスって魔物嫌いだったんだ?確かに元居た世界でこんなのが居たら嫌うだろうな。

 茶色くて羽が生えて飛んでくるあれすらも大っ嫌いだ。


「私もそろそろ二十歳です。使い魔の一匹や二匹、使役していてもおかしくないでしょう?」


 ほう、エリスって二十歳になるのか。

 それにしては子供っぽい性格な気がしたな。

 きっと王族だから自由が出来ないのだろう。


「まぁそうなのじゃが。何故ゴブリンなんだ? ゴブリンなんて何処にでも居るだろうに」


 え? 何処にでも居るの!?

 なんで教えてくれなかったんだ?

 もしかしたら、他のゴブリン達と仲良く暮らせたかもなのに。


「わ、私の大切な物を見られてしまいました……」


 何やら頬を赤めて艶っぽく言ってるけど、大丈夫か? 俺捕えられない?


「そうかそうか、ならば仕方ないじゃろう。ゴブ太郎と申したか? エリスをよろしく頼むな」


 名前も名乗ってないのにバレてるし、そんな言い方だと誤解しちゃうよ!?


「わ、分かりました。我が身に変えてもエリス様を御守りします!」


 一度言ってみたいセリフだったからついつい言ってしまった!?


 隣はずっと顔を赤くしてるし!




 エリスの父親に挨拶をしてエリスの部屋に戻る。


「あ、あんな事言っちゃったけど大丈夫だよな?」


 俺はエリスに確認する。


「は、はい。問題ありません。満点です」


 何が満点か分からんけど大丈夫そうなら良かった。


「それで使い魔にしてもらってなんだが、俺って魔法を使えないから教えて欲しいんだが……」


 ゴブリンに魔法が使えるか分からない。

 剣技くらいなら出来そうだが、やっぱり異世界に来たんだ。

 魔法が使えるなら使いたい。


「私で良ければ教えますよ?」

「ほんとか!? よろしくお願いしますご主人」


 俺は礼をする。


「任せてください!」


 ぽよんと揺れた胸に釘付けになる。

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