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異世界転生はまだ飽きない!  作者: あさり
第一章 転生
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怒られてまた転生!?

「こらー!」


 子供の声で神様モドキに怒られた。


 怒られてもな?

 あのまま飲まず食わずで餓死するかも知れなかったし、捕まったら重労働されるって聞いた事がある。

 それに女だった事もあり顔も自分で言うのもなんだが悪くなかったので売春婦にされていたかも知れない。


「まぁ、仕方ないですね。運が悪かったんです」


 そうだよな、寝相が悪いのと盗賊なのと運が悪かった以外になかろう。


「今回も特別に、と・く・べ・つ・に! 転生させてあげましょう」


 転生してくれるのは嬉しいけど、真っ当な人が良い。


「あ、安心してください。次は人じゃありませんから」


 え!? 人じゃないなんて安心できないだろ!?


「あなたは人に向いていないのかも知れませんね。諦めてください」


 諦められるか!

 こちとら十六年も人間やってたんだ向いてない訳がないだろ。


「残念ながら時間です。今度こそ、今度こそ素敵な転生ライフを」


 ま、待ってくれ!

 まだ話が終わってない!


 ……パァ────ン


 また眩しくて目を瞑ってしまう。瞑るというか強制的に目を閉じられてる感じだな……。




 目を開けると洞窟に居た。

 ポトポトと水滴が落ちる音がいくつも聞こえる。

 鍾乳洞だろうか?

 鍾乳石と(おぼ)しき物が何個も見える。


「ゴ、ゴブー」


 俺は声を出してみた。


「ゴブー!?」


 このゴブゴブ言うのはもしかして……。


 俺はまた水面を見つけて自分の顔を見る。


 あーあ、人じゃなくて魔物になったんだな。しかも、ゴブリンって……。

 肌も緑色で気持ち悪い。耳が長くてハゲている。ハゲというか元々髪がないのか。


 とりあえず落ち込んでいてもしょうがない。洞窟を探索する事にした。


 前、前前世で見た事がある鍾乳洞に似ている。

 夏場じゃなくてもジメジメして蒸し暑いんだよなここ。


 ゴブリンだからなのか分からないが、少しは暑さの体制があるみたいだな。

 汗を大量にかいているが脱水症状等は起こしていない。


 盗賊の女の子より身長も体重も無いので身軽な気がする。

 これでイケメンで剣技も出来たらモテるんだろうな。

 ゴブリンに転生してしまったので、そう言うのは諦めないといけない。


「ゴブゥ……」


 うわぁ、ため息もゴブゥって言ってるよホント嫌だ。


 歩き進める事、数分。三十分は経ったんじゃないか?

 段々出口が見えてきた。

 歩いてて物珍しいものは何も無かった。

 びっくりするくらいただの鍾乳洞だった。

 他の魔物とも遭遇しないし。もしかしたら、こいつの住処だったのかもな。

 一人暮らし、独身。悲しいゴブリンだ。

 ていうか、ゴブリンってメスとか居るのだろうか?

 ゴブの居た世界では魔物同士が結婚して子作りするなんて聞いた事ないゴブ。


 もしかしたら、人間の女と……ゴブブ。

 夢が膨らむゴブ。


「はぁ、やっと出口ゴブね」


 外の空気がうまいゴブ!


 今回はお腹は空いてないし、魔物なので町には行けないゴブ。

 近くには木の実がいっぱい生えているので、自給自足するには困らないゴブ。


 滝の音も聞こえる。

 鍾乳洞はジメジメして汗もいっぱいかいたので水浴びしたいゴブ。

 ゴブは滝を目指し歩くゴブ。

 草むらを掻き分けて移動する。

 するとそこには人間のメスが、しかも裸ゴブ。


「ゴブリンですか!? 炎の精霊よ、我に力を!」


 女はゴブを見ると何やら魔法を詠唱し始める。

 右手が炎に包まれているゴブ。


「ゴブ!?」


 急いで悪意と戦意が無い事を伝えようと必死にその場で土下座するゴブ。

 ゴブリンでも死にたくないゴブ。

 その前にここって土下座わかるのか!?


「おかしなゴブリンだわ」


 どうやら通じてないけど何とかなったゴブ。


「貴方、名前は?」

 

 人間のメスがゴブリンに名前を聞いてくるゴブ。


「ゴブリンはゴブリンゴブ!」


 一生懸命名前を伝えるが魔物の言葉なんて理解出来ないのか悩んだ顔をしている。


「あら、そうでした。精霊よ、かのものに人間の言葉を与えよ」


 女がそう言うとゴブの身体が金色に光る。


「な、なんだこれ!?」


 あれ?日本語喋れてる!?


「魔法で貴方を人間の言葉が喋れるようにしました。一時的に、ですが」


 女は説明してくれる。

 前世は魔法があったのか知らないけど、今世は魔法があるのか!ファンタジーだ!


「ありがとう女。ゴブリンの名前はゴブだ。覗き見するような真似をして済まなかった。実は鍾乳洞から出てきて汗を流したかったんだ」


 もう殺される事は無いだろうが、一応念の為にどうしてここに居るのか説明した。


「そうですか。こちらこそいきなり殺そうとしてしまい済みませんでした。私の名前はエリスと申します。よろしくね?」


「よ、よろしく」

「ん? どうしたの顔を背けて? 人間が嫌いですか?」

「そうじゃないけど」


 前を見たらめちゃくちゃ凄いのが見えちゃうよ!


「ならどうして?」

「服を着てくれ!」


 滝から出た時に気づいて欲しかった。

 被せるように全裸なのを教える。


「きゃ────」


 殺されずに済んだけどビンタされた。


 誰にも打たれた事ないのに……。

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