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異世界転生はまだ飽きない!  作者: あさり
第一章 転生
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盗賊に転生!?

 歩いて一時間は経過したかな。

 海は見えなくなり段々と建物が見えて来る。

 それも一つ、二つではなく沢山。


「町だ!」


 私は町に向かって一目散に走る。

 転生してからやっと人に会える!


 建物! 人! 話し声! 美味しそうなご飯の香り!

 異世界だけど、どこか懐かしい気がする!


 私は目を輝かせながら町中を歩く。

 さっき貝を食べたばかりなのでお腹が空いてないのが居た堪らない。

 我慢してここまで歩けば良かったかな。

 でもお金を持ってないから食べれないね。

 そもそもこの世界はお金ってあるのかな?


 町で買い物している女の人を凝視する。

 カードくらいの大きさの紙幣を店員さんに渡していた。

 やっぱりお金はあるみたいだね。


「きゃあ!?」


 私と目が合うなり悲鳴をあげて逃げて行った。

 どうしたんだろう。


「この町の人じゃないからびっくりしたのかな?」


 元居た世界で、民族の仲間意識が高い部族も居るって聞いた事があるからそれかも知れない。

 服もちゃんとしたのを来ているので民族ではないと思うけど。


 テレビのニュースで集落に無断で入ったら殺されたって聞いたこともある。

 もしかして、ここ危なかったり?


「そんな事ないかー」


 もしそうだったら入った瞬間に殺られてたはずだし。大丈夫だよね!

 街中を散策して楽しむ。


「居たぞ、あそこだ! 捕まえろ!」


 何やらあちらで騒がしい声が聞こえる。

 泥棒でも現れたかな?

 私には関係ないし、町を眺めよう。


 今の騒がしい声を抜かせば長閑(のどか)な風景で落ち着く町だね。 

 水車があって、まるで海外に来たみたい。

 異世界転生出来て良かった。

 この町で暮らすのも良いかも。


 一日は生きるのが今回の目標だ。

 宿屋でも借りてゆっくりしたい。

 記憶も無くてお金も無いって言ったら働きながら泊まらせてくれるかな?


 目の前に何やら男の人が数名立ち止まり、私の行方(ゆくえ)(ふさ)いだ。

 見た目からしてこの街の自警団に見える。


「な、何かありましたか?」


 まさか町に入るのに通行料とか要るのかな!?

 門番なんて居なかったよね?


「何かありましたか、だぁ? 盗賊様がよく()()うと陽の光を浴びながら町中を歩けるなぁ?」


 盗賊!?私何か盗んだっけ?


「何の事ですか? 私、今この町に来たばかりですよ?」


 人違いだよね?

 絶対人違いだよね!?

 お願い人違いであってー!!


「その赤髪の長髪と腰に差してるやつが証拠だ!」 


 男は私の腰に差してる短剣を指差した。

 え?これ盗んだやつなの!?


 確かに良く切れるなぁって思ってたけど……。


「捕らえろ!」

「はっ!」


 私は咄嗟の事で抵抗出来ず男二人に両腕を捉えられてしまう。


「ま、待って!私は取ってないです! これが欲しいなら差し上げますから〜」


 私の声は届かず。そのまま何処かへ連れられて行く。


 身長差があるので私の足が着く事がなく牢屋に入れられてしまう。

 体が細い私でも抜け出す事は無理な鉄格子で出来ている。 

 縦だけじゃなく横にもあるなんて。


「待って! 私は何もしてない!」


 鉄格子を掴み揺すりながら訴える。

 またもや私の声は届く事なく牢屋に取り残されてしまう。


「はぁ……どうしてこうなってしまったのか」


 異世界転生楽しくない。

 


 まさか盗賊に転生していたとは。きっとこの綺麗な服も靴も髪飾りだって盗んだんだろうね。

 もっと真っ当な人に転生したかった。


 きっとこのまま死刑か、それより酷い事されるに違いない。

 ただの盗人なら牢屋なんて入れられないよね。


 はぁ、ほんとついてない。


 腰にはまだ短剣が差してあった。

 牢屋に入れるのに集中してて回収するのを忘れていたのだろう。


 私はこの短剣を使って鉄格子を破壊出来るかと思い切りつけてみたが、この短剣でも鉄格子を破壊する事は出来なかった。

 

 灯りも無い暗い牢屋に何時間居るのだろう。

 時間感覚が全くわからない、それにお腹も空いた。

 もしかしたら、このまま死ぬまで放置なんて事もあるかも知れない。

 それなら死んだ方がマシだ。


 それに売春婦にさせる可能性があるので、自分から自害した方が楽だ。

 そんな事になれば死ぬより辛い未来が待っている。


 私は自分のお腹に向かって短剣を刺した。

 中途半端に刺してしまえば痛みが長く続きそうだったので背中に貫通させるように思いっきりだ。


「ぐはっ!?」


 口からも大量に血が出て意識が遠くなる。

 ごめん神様モドキ……また一日も生きられなかったよ。

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