しろくろちゃいろ
テスと呼ばれた女性がコクコクと頷き、応接室のドアを開け出て行った。
クリスは、俺の横で『駄犬モード』になってフニャフニャ状態のティアを、引き剥がしに掛かっていた。
「ほらッ! ティア様、いつまで提督に甘えているのです! 私達の『長』なんですから、しっかりとして下さい! 提督と再会する事が出来て嬉しのは分かりますが、長としての責務を果たしてからにして下さい! 本来なら、サード様に色々な状態説明をするのも、ティア様の務めではないのですか? それを・・・ 」
「えぇ〜 長としての責務〜?・・・ それに、 私よりもクリスちゃんの方が説明するのは上手だし〜 」
「何を言ってるのです! もう直ぐ『あの子達』が来ます! いい加減にして下さい!!! 全く、サード様が広間に入られた時の厳かな雰囲気は何処に行ったのやら・・・」
「私には『厳かな雰囲気は無理!』って、最初に言ったよ〜!?・・・」と、ティアは相変わらずサードの腕にしがみ付いた格好で、キョトンとして小首を傾げている。
「ハイハイ、 言いましたね! 確かに言いました! しかし、ティア様は超弩級戦艦アルカティア号の意識統合端末体、即ち!私達の上位命令者です!
ティア様が状況を仕切らなくて、誰が仕切るのですか?!」
「クリスちゃん?・・・」と、また小首を傾げながらクリスを見上げる。
「これまでの状況では、このターミナル内・・・ いえ、このナナシャの地域に於いては、私が『弩級戦艦の筆頭位』ですが、それは、私よりも上位艦のお姉様達が、私達を置いて『私達は、生まれ変わった主人様を探す旅に出て来ます。』なんて書き置きして出て行ったからで・・・ 私も主人様を探す旅にでたいのに〜〜〜! 何が『2〜300年探しても、見付からななければ帰って来る。』よ! もう1500年は優に過ぎてますわッ! 第一! 月軌道上に居られるフゥ様に聴いても『私から見える範囲内では、あの子達の姿は発見出来ないわねぇ〜?』って、一体如何言う事よ〜!・・・ 」
出来る女性的な感じだったクリスと言う名の『空船の姫』が、グタグタなティアの対応にイラついて、壊れてきた様だ・・・
「また今日もクリスちゃん、壊れてるの?」と白い髪の幼女が首を傾げ、
「ダメダメモード、絶賛全開中〜 ♪ 」と黒い髪の幼女が楽しそうに言い、
「また、ティア姉さんが迷惑を掛けたの?」と赤茶色の髪をした幼児が心配そうに聞いてくる。
「エッ!? ・・・・・・」
サードの足下から見上げて来る三対の幼児達と視線が合う。
「?・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 君達は?・・・」
「この子達は、私の弟と、妹達です。 さああなた達、提督様にご挨拶を・・・」
「「「 こんにちは〜!」」」と3人が、幼児らしい元気で大きな声で挨拶して来るので、
「はい、こんにちは!」と言いながら、ハチ村の子供達にしていた様に、順番に目の前の子供達の頭を撫でていく、頭を撫でてられた子供達が嬉しそうに身悶えする姿は・・・
うん、可愛かった ! (๑˃̵ᴗ˂̵)♪
先ほど応接室を出て行ったテスと云う名の女性が、3人の子供達を連れて応接室に戻って来ていた様だった。
しかもティアなんて、壊れて愚痴を零し始めたクリスを尻目に、自分だけは『真面目モード』に移行していた様で、いつの間にか?抱き着いていたサードの腕を離し、澄ました顔をして、サードの横で行儀良く座っている。
先程まで暴れていた『駄犬』は、犬小屋に閉じ込めた様だ!?・・・
「提督、この子達がコティアの艦体制御、航行制御、火器管制制御を司る。
人型AI端末体の子達で、私の下位情報処理端末体です。
即ち、私の可愛い弟と妹達ですね! ♪ 」と、嬉しそうに紹介してくれる。
「?・・・ この子達も『空船の姫』って事? でも『姫』って言う割には、この子は男の子だよねぇ?・・・」
「ええ、元々は、私達を『姫』と呼び始めたのは、ナナシャ王国が建国されて以降からですし、男女の区別も無かったのですが、大昔から『船は女性』と云う概念が伝わってまして、特に戦艦以上の艦の制御用端末体は、女性型が主流ですし、この子は、私が『弟が欲しい!』と甘えたものでして・・・」
『おいおい、両親に弟や妹が欲しいと強請る子供かッ!?』
「で、何故?この子達は、こんな『幼児』の姿なんだ?」




