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ふにふに

 

 翌朝、珍しくカルラが俺と一緒に朝食を摂っている。


 それも、かなりご機嫌斜めな様子で、今も俺の目の前で、焼いた分厚いベーコンにフォークをぶっ刺し、乱暴に食い散らかしている。


 この前の『ご機嫌斜めな日』の夕食は、高原バッファローの骨付きスペアリブを、豪快に両手で掴んで噛り付いていたが・・・(汗)



 またジーク兄ちゃんと親子喧嘩でもしたのだろうか? あれでも一国の宰相様、色々と多忙を極め、忙しい時には睡眠時間を大幅に削って政務を捌いている人が、娘と一緒に朝食を摂る時間を大切にしている事は、業務を補佐している官僚や、身近な人達なら誰でも知っている事だが、その溺愛している愛娘が、今、俺の目の前で一緒に朝食を摂っているのだ、


 あっ!今度は、ふて腐れた顔をしながら、半熟に焼かれた目玉焼きの黄身にロールパンを押し付けて、口の中に強引に押し込んでいるが、ああ、そんな食べ方をすると・・・   ほらっ、案の定、喉に(つか)えてしまったよ・・・  


 目を白黒させながらも、朝食の給仕をしていた。カルラ付きメイド長が差し出した温めの紅茶を飲んで、喉に痞えたロールパンを如何にか?流し込んだカルラが、『何で、朝から不機嫌なのか?』を聞いて欲しそうな表情で、俺をフンス!と睨んで来る。


 ジーク兄ちゃんとカルラの親子喧嘩に巻き込まれるのは、正直な所、ゴメンなので、(かか)わりたくは無いのだが・・・  目の前のカルラの目が『何で私が不機嫌なのか?聞いてよ!』と、全力で訴えて来ている。


 カルラの斜め後方で控えているメイド長に視線を飛ばしたが、苦笑しながら視線を外されてしまい、渋々と不機嫌な表情をしているカルラの話を聞く事にした。


『前回は、俺の部屋にカルラがプチ家出して来て、寝るのも一緒のベッド、風呂に入るのも一緒に入らされて、色々と大変な目に合ったのだが・・・』と思いながら・・・




「で、今回はジーク兄ちゃんと何が有ったの?」と話を降ったら、


「聞いて下さい! お兄さま! お父様ったら酷いんですのよ! 政務から戻られたお父様が、私をお部屋にお呼びに成って、『今回の夏のバカンス期は、中止と成った。儂の政務が捗らない事も有るし、ジーザラストも産まれた事だしな! お前も姉に成ったのだ、そのくらいは我慢出来るよな?!』って、仰られたのです! 前回は『次のバカンス期には、必ず海洋都市のリゾート地に連れて行くから、寂しいだろうが我が儘を言わずに待っていておくれ』と仰せだったのに!」とかなりご機嫌斜めのご様子。



「お父様が、そんな事を言い出したので、納得出来なかった私が『でしたら、私一人でバカンスに行ってきます!』と言って、夜のうちに屋敷を出てきましたの!」

「ああ、それで俺がベッドで目を覚ましたら、俺に抱き着いて寝てたんだ・・・・」


「だって、私の空船テスタメント以外に、私が行って泊まれる場所なんて、お兄さまの所以外には無いんですもの・・・」とカルラ、






 今朝、ベッドで目が覚めたら、何か?柔らかい物が俺の身体に押し付けられていて、『何だ?』と思ってい触ったら、フニャフニャと柔らかくて、触り心地が良くて・・・ で、寝惚けたまま、フニャフニャと柔らかい感触を『撫で(^^♪ 撫で(^^♪ 』と堪能してたら、『ウゥーーーン!・・・ お兄さまぁ~ そんなにカルラを擽ると、カルラは寝れませんわ・・・』と、依然、寝惚けたままのカルラが訴えて来た。 


 いや、流石に一瞬で目が覚めたよ!


 カルラの柔らかい感触に少々驚いた。


 いや、少々なんてもんじゃ無かった・・・


 正直パニクって、心臓の鼓動が無茶苦茶に跳ね上がったよ!




 と、そんな事を思い出しながら、カルラの斜め後方で待機しているメイド長に向かって、軽く、非難めいた視線を飛ばすと、当のメイド長は、

 右手の親指を立てると、可愛い仕草でチロっと赤い舌を出して、俺に向かって『良い仕事をしてるだろう?!』とウインクして来た。


 いや・・・ うん・・・ 良い仕事してるとわ思うけどね・・・ まあ色々とね!?・・・ ですから、出来れば、少しは手加減して頂ければと・・・


 カルラの、無邪気で何気ない日常のスキンシップが・・・ 


 最近、カルラの発育が良過ぎて・・・ 


 少々辛いのです・・・


 マジで・・・




 と、脳内でメイド長にお願いしながら、


「俺が一緒に海洋都市に行こうか?・・・」と、無意識にいってしまった。


 それを聞いたカルラが、一瞬でテーブルを迂回して、嬉しそうに物凄い勢いで、俺の首に飛び着いて来た!



 勢いそのままに、俺の太ももの上に可愛いお尻を乗せて座り、首筋をホールドして、掴んでいるカルラが、

「本当に?! 本当ですの?お兄さま!」とテンションを上げて迫ってくる。

「ああ、ジーク兄ちゃんが良いと言ったらだけどね?・・・」

「今からお父様に確認して来ますわッ!」と、勢い良く飛び出したカルラの後を付いて出て行くメイド長、そのメイド長の背中がドアの向こうに消えた瞬間、一瞬だが、親指が立てられた右腕が突き出されて消えた。



 ああ・・・ 大変なバカンス期になりそうだ・・・・(汗)







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