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そうだったの

 

「で、サードや、虚実の意味が分かったかの?」

「いや、元侯爵様・・・ あれで分かれって言うのは・・・ ちょっと無理があると思うよ?」

「そうかの? あれでもかなりの手加減をしたつもりなんだが・・・ 分からなんだかぁ~~~」と元侯爵様は項垂れたが、アイゼン以下残りの聖騎士の方々も『(*・ω・)(*-ω-)(*・ω・)(*-ω-)ウンウン♪』とサードの後ろで頷いていた。



「しかし腹が減ったな~ マルクス!これで午前中の訓練は終了だ! 飯の時間にするぞ!」と勝手に仕切って、訓練場の外へと向かって歩いていく、思わず、他の聖騎士がマルクス隊長隊長の顔を振り仰いだが、誰も付いて来てない状況を察した元侯爵様が、再び大きな声で


「マルクス! 早く隊員達に昼休憩の指示を出さんかぁ~~~!」と吠えられ、仕方なく手をシッシと降って、皆に元侯爵様の後を追わせ、本人は別方向へと向かって行くマルクス隊長・・・



 広い聖騎士専用の施設の廊下を、サードは元侯爵様と楽しそうに話しながら、二人並んで歩いていたが、その広い廊下では、元侯爵様に気付いた古株の聖騎士達が、慌てて背中を壁に押し付ける様にして道を譲り、最敬礼で見送っていたが、それを見た聖騎士歴10未満の隊員や、聖騎士見習いの隊員達は、額に油汗を垂らし、青い顔をしながら見送っていた。


 サード自身はそれ程は気にもしなかったが、アイゼン達はそうも行かず、只々恐縮しながら、元侯爵様とサードの後を一列に成って歩くのが限界だった様で、マルクス隊長が居ない事をかなり恨んでいる様子であった。


 その頃、マルクス隊長と言えば、聖騎士隊の各1番隊から、12番隊の各隊長達に元大元帥の襲来を告げに行き、その足で聖騎士隊を統括している『聖騎士隊の第27代目総長』の執務室に来ていた。


「・・・・・・・・・・と言う訳なんだマルクス7番隊隊長、従って、当分の間は、トーマスト・フォン・アルジャ元大元帥閣下は、お前達の部隊に常駐する事となる。 現状を鑑みれば、最善の処置だと思われるし、これは国王陛下並びに、宰相閣下のご指示でもある。 サード様のお立場を考えると、それは当然、我々の職務だと云う事も理解出来るな?・・・・

 まあマルクス、オヤジが我が儘を言う様だったら、遠慮なく尻を蹴っ飛ばしても良いぞ!?」

「はあぁ~~~~~ 総長閣下で、学園の先輩で、師匠に習った槍の兄弟子で、おまけに、私が結婚する際の仲人様に対して、否!とは、とても言えませんし・・・  はあぁ~~~ 完全に貧乏くじだ~~~ ・・・・」とは言いながらも、マルクス隊長は姿勢を正すと、啓礼をして聖騎士隊総長閣下の執務室を後にした。




 聖騎士隊は、総長を筆頭に、1番隊から12番隊の各隊長12名が、各々8名の隊員を指揮し、正規の聖騎士は総長を別にして108名、聖騎士見習いは各部隊に4名(この聖騎士見習いは、各隊の雑務や、重要度の低い任務を担当している。また、その部隊の聖騎士見習いが必ずしも4名でなければならないと言う事でも無く、多い部隊は50名以上の聖騎士見習いが在籍しているし、7番隊の様に現在は0人の所もある。)とされ、現在は総勢300名ほどの隊員が在籍している。


 また、この聖騎士隊には零番隊と呼ばれる隊があり、総長を零番隊の隊長とし、各部隊長が隊員として構成されている。


 そして、この零番隊の主任務は、S~SSS級の災害級魔獣の討伐及び、大戦時での決定的決着を着ける時のみとなっている。


 因みに、現総長は元侯爵様の息子、アルフレッド・フォン・アルジャ侯爵家当主で、最も他国との紛争が激しい元西部方面辺境伯も兼務し、現ナナシャ王国軍大元帥でもある。


 まあこの方も国家の重鎮だと言う事である。



 その総長様が『まあ父上が側に付いていれば・・・ 早々には・・・ 』と呟きながら、マルクスが出て行った重い樫木で出来た扉を見ていた。


 そして今回は、この元重鎮や現重鎮達をもが、動かなければ成らない程の問題が発生している事を、再度認識して眉間をギューっと揉むと、呼び鈴を鳴らして副官を執務室に呼び、新たな指示を伝えた。




 その頃、聖騎士達専用の食堂ではと言うと、

「「おばちゃん! 今日のメニューは何?~~~♪」」と元侯爵様とサードが声を揃えて、嬉しそうにおばちゃんに聞いていた。


「アラァ~~~~~! 大元帥閣下!!! お久しぶりです!♪  何処かの小さな村で隠居生活を送って居られると、お聞きしてましたが? お元気にされてましたか? 今回は王都で何か御用でも?」

「おばちゃんも変わりない様で、何よりじゃ! 今回は野暮用での、コレの面倒をチト見にな!」

「あら? サー君の・・・?  もしかして、サー君は閣下のお孫さんとか何かなの?」

「いや、まあ孫の様なもんだが・・・ 儂の最後の弟子じゃよ! 弟子じゃ!弟子じゃ!」

「まあ! そうだったのカー君? 道理で、まだ聖騎士の鎧も来てないカー君が、何で正規の聖騎士様達と一緒になって、あんなキツイ訓練を受けているのか?が、不思議だったのよ!おばさん、 それも7番隊でしょ~ ああ、7番隊の隊長さんも閣下のお弟子さんでしたね! ああ、それで!」と一人で納得していた。


「それで、今日のメニューは何じゃ?」

「今日は、閣下がお好きだった、ビックボアのお肉を使った角煮ですよ!」

「おお! おばちゃんの作った角煮か~♪ それは良いタイミングで来たな! おばちゃん大盛で頼むよ!大盛で!」

「はいはい分かってますよ閣下! カー君も大盛で良いんだよね?」

「はい、大盛でお願いします♪」 



 山盛りに盛られたビックボアの角煮と、皿に山盛りにしたパンをお盆に乗せ、嬉しそうに、いそいそとテーブルに向かって歩く元侯爵様の後に付いて行くサードに、憧れの視線も有れば、妬みや嫉妬の視線も集まる。


 その中でも、若い聖騎士や聖騎士見習い達が、ヒソヒソと陰口を叩く声が聞こえて来た。


 その瞬間、古参の聖騎士達が一斉に、その者達の口を塞いだが、時既に遅く、元侯爵様の声が食堂に響いた。


「今日は、午後からは久し振りに森に行くかの?サード、ああそうだ! 今日は、儂も王都に来てる事だし、久し振りに『全員』で行くかの?狩りに!  のうアルフレッドや?」

「ハッ!父上、では午後からはその様に・・・ 」と、いつの間にか?サードの後ろに立っていたアルフレッド総長が、ニッコリと笑いながら父のトーマスト元総長の指示を肯定していた。


 それを聞いた古参達は一斉に動き出し、置いて行かれた若い聖騎士や聖騎士見習い達は、これから何が起きるのか?が分からずに、ただ、その場に立ち尽くすのみだった。












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