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それは不味いと

 

 何の疑いも持たずに、周りから『義手を装着した後のリハビリ』だとか、『体力を維持する為』だとか、『何もしないのも暇だろ?』とか、『第一、空船の修理が終わらない』などと言われ、聖騎士達と一緒に訓練を受け始めて、ひと月以上経った。



 やっと初心者冒険者を卒業して、本格的に活動を始めたサードだったが、やはり金銭面では満足な収入も無く、冒険者として活動する為に、成功報酬の大半を装備のメンテや宿代に回すと、食費に回すお金が少なくなるのは当然の事で、『取り敢えず、お腹が一杯になる食事』が優先で、『身体を維持する食事』の事は何も考えてなかったが、聖騎士達と一緒に訓練し、聖騎士達と一緒に同じ様な量の昼食を摂って、最近では、一緒に夕食を食べているカルラが驚くほどの量を食べている。


 異常に腹が空くのだ、夕食時に食べる量がカルラの3倍になった頃、自分自身でも少し心配になり、義手の検査日に技術医師に相談してみたら、


「ああ、何も心配する事は無いですよ、今回、この義手を装着した事にサード様のお身体が慣れて無い事と、前にもお話ししましたが、サード様が義手を動かす際に必要なエネルギーは、他の義手とは違い、サード様の生態エネルギーと魔力ですからね、その基礎体力を養う為の、聖騎士様達との訓練ですし、それに、はのお身体はまだまだ成長期ですから、心配せずにモリモリ食べて、モリモリ体力をお付け下さい!」

「アイゼン達との訓練って、そうの為だった?」

「あれ?説明しませんでしたか?『義手に慣れる為と、リハビリの為です』って?」

「言われてみれば・・・ 先生ありがとうございました。」

「いえいえ、仕事ですから」とサードの病室を退室した技術医師が、ニッコリと微笑みながら、目の前に現れた美女に手を振ると、中年男性の姿が、妙齢の美女に変わる。



「リップさん、新しい提督様のご様子は如何でしたか?」

「あらデストさん、気になりますか?」

「私達の誰もが、今、一番気にしているのは、新しい提督様と、その眷属様の事ですわ!」と二人の女性が、サードの病室がある区画から、特別区画に続く通路を、仲良く並んで歩いている。


 リップと呼ばれた女性は、400m級医療船 / リップタナットの人型AI端末のリップ。

 そして、デストと呼ばれた女性は、同じく400m級の工廠船 / デストロイの人型AI端末のデストだった。 サードの義手を作成したのがデストで、その義手をサードの各神経系へ接続処置を施したのが、リップだった。



「で、サード様への義手の適合具合はどうだった?」

「視神経、感覚神経、反射神経、筋力組織細胞の活性化に骨組織強化、表皮細胞関係と、全て順調に進んでるわね。 」

「良かった〜 狂戦士仕様の義手を作るのって、約2000年振りだったからね〜 チョット心配だったんだけど・・・ 安心した!」

「あら、そんなに心配なら、私と一緒にサード様の診察をすれば良いのに。」

「いや、それはチョット恥ずかしいかな・・・ 何も問題が無いなら良いよ!」

「あっ! 問題と言えば、サード様が『最近、妙にお腹が空いてしまって、周りが心配する程に食べてる。』って、言ってらしたわ!」

「それは仕方ないよ・・・ 」

「まあねぇ〜 ・・・」

「サード様の身体が、狂戦士ボディーを構築してる最中だもん!」


 この二人が、サードへ義手を装着する手術を施したのだが、この義手、サードの左肩へと接続する先端部分からは、2m近い細い繊維状の束が何本も伸びており、その一本一本の先端部を丁寧にサードの左肩の神経へと接続すると、後は繊維状の束が勝手にサードの体内へと潜り込み、全ての繊維の束が収まると、自然に義手の装着も完了するのだが、今回はその繊維組織が、神経系への融合目的の為だけでは無く、サードの身体能力を改造する為の狂戦士組織も組込まれていた。


 本来、義手を装着する為の繊維組織だけならば、サードの体内に挿入した量の約3分の1ですむ。



 今回は、サード自身の身体を作り変える為に、聖騎士達との激しい訓練や、大量の食事の摂取が必要となったが、元々は、陸戦艦隊所属の屈強な男達が、戦場で負傷し、欠損した手足の代わりに義手や義足を装着する際に使用していた物なので、過酷な環境下での戦闘を求められる戦士達の身体と、Eランク冒険者のサードの身体では、普段からの鍛え方も違うし、身体つきも全く違うものだった。


 そんな理由で、今のサードには、毎日の激しい訓練での身体作りと、大量の食事を摂取する事が求められていた。


 一応、サードの最終的な身体の体型は、元の体型を考慮され、細マッチョに設定されているが、どうもリップの好みの男性が細マッチョだったらしいです。・・・




 翌日、アイゼンと一緒に訓練場に姿を見せたサードは、訓練場の中心で槍を手に仁王立ちしている人物を見て、驚いた。





「あれ? 元侯爵様が何でココに?・・・ 」

「おうサードか? 久しぶりだな!」

「つい最近、息子から『サードが聖騎士達と一緒になって訓練を受けているらしいですよ父上』と聞いてな、それで様子を見に来た次第だ! 儂も訓練に参加しても良いよな! マルクス隊長? 」と、相変わらずな豪快な笑顔で、サードの頭をワシワシ ♪ ワシャワシャ ♪ と、嬉しそうに撫でている。


 その様子を見ていた聖騎士隊隊長のマルクスが、青い顔をして上を見ていた。










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