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意外と本気で

 

 カルラと、談話室で楽しく話をしていると、先々の国王達4人が乱入してきたが、話題が俺の父親の話題になると、


「サードよ、お前が父や母の素性が気になるのは良く分かるが、暫し待て、この先々代国王ヨハンソン・フォン・ナナシャルの名に賭けて、お前の空船の修理が終れば、全てを話そうぞ! 良いな?」と威厳ある表情で告げられてしまえば、サードも否とは言えず、その日はそのまま解散となった。



 その翌日から、サードの左肩に装着された義手の性能検査が始まったが、4日後には技術医師から

「今回の検査の結果、何も問題は見受けられないどころか、かなり性能が良い義手だと判明して、喜ばしい事です。」

「エッ? この義手って、先生が作ったのでは?」

「ハイ、作製したのは確かに私達技術者ですが、この義手の作製を指揮した者は、また別の者になります。明日からは、騎士様達と実践形式での訓練で、その義手の性能を確認すると共に、早くその義手に慣れます様に 」と言って、技術医師は病室を出て行った。




 6日後、病室で技術医師が『早くその義手に慣れます様に』と言った意味が理解出来た。


 この日、朝から運動し易い服装に着替えて、軍の練兵場で身体を動かしていると、上役から『格闘技の訓練相手を務める様に指示されました。』と、8名の騎士達が現れた。


 その中に、見知った顔を見つけ、軽く手を挙げると、相手も笑顔で手を挙げ返してきた。


 その様子を見て、8名の長らしき人物が

「アイゼン! 何やらサード様と知り合いの様だが?」と、アイゼンと呼ばれた青年に話し掛けた。


「ハッ! サード様とは学生時代に共に槍を交わして訓練した仲であります隊長!」

「ならば、先ずは貴公が最初にサード様と、久し振りに槍を交わしてみるか?」

「ハッ! 光栄であります!」

「と言う事で宜しいでしょうか?サード様?」


『宜しいも何も、あんたは最初からその予定だったろう?』と思いながらも、差し出された長槍を素直に受け取り、懐かしい顔と対面する。



「久しいなサード」

「ああ、久し振りだなアイゼン」

「で、一つ質問なんだが・・・」

「なんだい?」

「お前、いつから騎士の立場の俺達が、君の事を様付けで呼ばないといけない様な立場に成ったんだい?」

「正直に言って、いつからなのか判らん?」

「久し振りにお前が王都に居るのに、これでは気軽に飲みに行こうか?とは誘えそうには無いなサード様!」

「そこは遠慮なく誘えよ騎士様!」


 と、気軽に元クラスメイト同士の会話をしている様ではあるが、その間、2人は2m近い長槍を巧みに扱いながら、軽口を叩き合ってはいるが、その2人の攻防を見ていた騎士が、無意識に口笛を吹いてしまうほどには、互いに激しい攻防を繰り返している。


 久し振りに矛を交える事もあり、最初は様子見で放っていた突きや薙ぎ払いも、徐々に気合が入った鋭い突きに変わり、互いに間合いを詰めると、一撃必殺の構えを・・・



「それまで!」と隊長の鋭い掛け声で、止めが入った。


「次代の聖槍と目されているアイゼンから見た。サード様の槍捌きは?」

「学生時代の頃から、変態的に上手かったですが、更に変態になりましたね!今の彼が短槍を握ったらと思うと・・・」

「思うと何だ?」

「私と同様に、ド変態になるのは間違いないですね〜 ♪ 」と嬉しそうに答えた。


 このアイゼンは、学生時代に出来たサードにとっては数少ない親友の一人で、次期伯爵家当主で有り、槍に関してはド変態的遣い手である。

 ちなみにド変態的とは、アイゼン的表現で『神の如き上手さ』の事らしいです。



「しかし、サードの新しい義手って、反則だよね!」

「そうかな?」

「そうだよ! 何だよ!さっきの片手大車輪は? あれって卑怯だよ! もぅ〜 」と、アイゼンが本気で頰を膨らせる。


 このアイゼン、背も高ければ、鍛え上げた身体は筋肉で引き締まり、甘いマスクに少し天然が入って、女生徒達に・・・ 特に上級生のお姉様達にモテた。



「アイゼン、サード様が学生時代のご親友なのは知ってはいるが、今、我々は聖騎士としての任務を遂行なのだ、その我々が、サード様と『様』を付けて呼ばねば成らぬ方だ! 学生時代はどうであれ、今のサード様のお立場を察しろ!」と苦言を呈していたが、当のアイゼンは、

「サードはサードだよね?」と首を傾げて俺を見る。


 見兼ねた同僚達が、アイゼンを引っ張って行き色々と説明している様だが、天然アイゼンが全回転の様で、その様子を見て、俺の目の前で隊長と呼ばれた聖騎士が頰を掻きながら苦笑いしている・・・


 そこで、俺の方も様付けで呼ばれるのには慣れて無いので、訓練場では様付けで呼ぶのは無しで、サードと呼び捨てにしてくれと頼んだら、特例で『アイゼンだけは呼び捨てで』と成った。


 出来れば、訓練場では全員に呼び捨てでサードと呼んで欲しかったけど・・・


「大変有難いお申し出ですが、万が一、王族関係者の方々が来られた場合には、アイゼンはともかく、私達の首が物理的に飛んでしまいますので、平にご容赦くださいます様・・・」と断られてしまったが、そのおかげか?妙な壁の様な物は取り払われた気がした。




 この日は、取り敢えず聖騎士全員と、軽く手合わせをして終わったが、明日からは本格的に武術や格闘技の訓練を開始するらしい。


 でも? 何で突然に武術や格闘技の訓練が始まったのか?が、未だに謎なんだが・・・























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