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次から次へと

 

 先々代国王の突然の病室訪問、そして、サードの曾祖父だと言う衝撃の告白に、思考が追い付かないサードは、ただ苦笑いするしかなく、内心では『誰か! 簡単にこの状況を説明いして~! で!お願いだからついでに俺をこの困惑する状況から解放して~!』と願っていた。


 その願いが届いたのか? 新たな人物達がゾロゾロと病室内に入室して来た。


「父上! 何を勝手にサードの病室に来ているのですか!? あれほど勝手な行動は慎んで下さいと申し上げていましたのに! おお君がサードか? 突然の来訪済まぬな! 私は先代の国王オーベルト・フォン・ナナシャル、君の父親、ハウゼクト・フォン・ナナシャルの父親だ、これからは儂の事はお爺ちゃんと呼んでくれ! イヤ~~~!サードはハウゼが学院に通っていた頃の姿に生き写しじゃの~ うぅ・・・・ 」

「お二方、何を病室で大きな声を出して騒いでいるのですか!? お年を召すと段々と堪え性が無くなる様ですね! 初めましてだねサード君、まあ私は君が生れた時に一度だけ会ってはいるのだがね! 君の父親ハウゼクトの長兄で、現国王のユリウス・フォン・ナナシャルだ、君の叔父と云う事になる。 公式の場以外は、是非、叔父上か?ユリウス叔父様とでも呼んでくれたまえ。」

「兄貴、なにを格好をつけてるんだ? ここは今、俺達身内以外は誰も居ないんだぞ!? それ見ろサードが固まっているじゃないか? もう15年ぐらい前の事になるかな?君がまだ5歳ぐらいの小さな男の子だった頃に、一度、君達家族が住んでいたハチ村に遊びに行った事があるジークだけれど・・・ 覚えているかな? 」

「・・・ あっ!思い出した! あの綺麗なお姉さんと一緒に来て、沢山のお菓子とお土産を届けてくれた。ジーク兄ちゃん!? 」

「おおっ!覚えていてくれたか! あの時のジーク兄ちゃんだ!」

「そりゃあ~ 覚えているよ! ジーク兄ちゃんが沢山、一緒になって遊んでくれたのが嬉しくて、良く父さんに、『ジーク兄ちゃんは、今度は何時ハチ村に遊びに来てくれるの?!』って、聞いてましたからね!」

「「「 えっ? なんだって!??・・・ 」」」


『うぉぉっ! 俺が、唯一見知っていたジーク兄ちゃんの顔面に、一斉に三人の嫉妬深い視線が突き刺さっている・・・ 』


「オッ、オホン! 改めて自己紹介をしよう。私がサードの父ハウゼクトの次兄、現宰相のジークフリード・フォン・ナナシャル公爵だ、呼び方は『ジーク兄ちゃん』のままで構わないよ!」

「はい」

「オイ、ジークよ! チョット詳しく話を聞こうか?」

「ジーク! 私は、お前がハウゼやサード達に逢いに行った事すら知らなんだぞ!? 抜け駆けは酷くはないか? しかも・・・ しかも『ジーク兄ちゃん』だと~! そんな事は許さんぞ、なら私は『お爺ちゃん』もしくは『オーベル爺ちゃん』と呼ばれる事を所望するぞ! サードよ!」

「オーベルトよ! 何を抜け抜けと『オーベル爺ちゃん』呼びを、可愛いひ孫のサードに強要しとるんじゃ! お前がそんな事を強要するなら、儂は『ヨハンお爺ちゃん』と呼ばれる事を所望するぞ!」

「父上も、おじい様も、病室内で騒がないで下さいと、あれ程にも申し上げましたのに!・・・・」



『・・・・・・・・・・ 

 俺が、今、入院している病室で、何故か?この国の歴代の国王と、現宰相が訳の分からない理由で激しく言い争っている・・・・ ああ・・・・ 頭が少し痛くなって来た・・・  このまま『トイレ!』って言って、病室を抜けても良いかな? 良いよね! ねっ?・・・・ 』と内心で思っていると、俺が逃避したいと考えていた事が分かったのか? ヨハンソン先々代国王の老執事セバスが、病室の入り口からこちらを窺いながら、こっそりと手招きしていた。



「お呼びたてして申し訳ありませんサード様、もう一方(ひとかた)、どうしてもサード様にご紹介しておきたい方が・・・」と老執事が後方を促すと、そこには赤いドレスで着飾った可愛いレディが佇んでいた。

 頭の上で大きく蝶々結びにした真っ赤な太いリボンが良く似合っている。


「こちらは、ジーク・フォン・ナナシャル公爵様のご息女、カルラお嬢様です。」

「初めまして、私、ジーク・フォン・ナナシャルが三女、カルラ・フォン・ナナシャルと申します。 以後、よろしくお願いいたしますサード様・・・ 」と、可愛い美少女に下から可愛い上目遣いで挨拶されてしまった。



 此処で立ち話は何ですからと、セバスに促され広い談話室の様な場所に案内されたが、高そうなテーブルに対面して座った目の前の彼女と、俺は何を話しをすれば良いのか?分からなくて緊張したが、それ以上に、彼女の背後に立つ老執事のセバスはまだ理解出来るとして、そのセバスの背後と僕の背後にズラリと並ぶ、総勢20名以上の騎士達の存在が、俺に必要以上の緊張感を与えていた。





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