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Past Letter  作者: 東師越
第15.5章 Struggle
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MEMORY いつかまた逢う日まで

 重い、あまりにも重い代償を払った。


 戦争の無い日常が欲しくて、大好きな人とずっと一緒にいたくて、この手で星の数ほどの人の命を絶ってきた。


 誰に称えられても、嬉しくなかった。


 いくら後悔して謝っても、手についた血と罪は拭えなかった。


 繰り返した回数も覚えていない。


 3億回目辺りから記憶があやふやで、よく思い出せない。


 なのに私にとっての最善最良の選択肢は存在せず、神をこの世の何よりも憎んだ私は苦渋の決断を強いられた。


 愛する人との決別することで、私は新時代の王になった。


 空虚なモノだった。


 会いたい、もう一度だけでいい。


 会って、話して、触れて、笑い合って。


 ささやかでいい、世界だとか人類だとか大それたモノはどうだっていい。


 私はあなたのそばにいたい、望みはただそれだけ。


 それだけなのに、私以外の全てがその幸せを許さない。


 今日も私は、あなたを思い焦がれるだけ。


 2度と会えない、あなたを。




   ※ ※ ※ ※ ※




「おはようございます」


「……うん、おはよう」


 彼女はいつも通り、起床後は支度を済ませて仕事を始める。


 必要な書類へサインを書く以外の仕事は、もう何年やっていないだろうか。


 表舞台に出られない身のため、活発に動くことも禁じられている。


 作業となったサインを書く中で、1枚気になる内容の書類が目に入った。


「これは……」


 それは、2ヶ月半前に陽ノ國で起こった内戦に関する報告書。


 守護神ウーヴォリンが片方に加担し、加護を分け与えたという文章に目を疑った。


 神が己の力を人に与えることなど到底信じがたいが、あのウーヴォリンならあらゆる常識を破壊しうると切り替える。


 この戦いはそもそも〝神証(パストレター)〟争奪戦にあまり影響しないが、何のためにここを訪れたのか。


(神の器がいた? 必要な〝聖器(ポーマ)〟を集めるため? だとしても力を与える必要なんて……まさか)


 ある推測が、彼女に過る。


 ウーヴォリンが近い内に本格的に動き始めた時のための、予行演習(・・・・)なのだとしたら。


 攻撃行為ができないウーヴォリンは、争奪戦勝利のために人を利用するのは確定している。


 火ノ國を利用して、来たる本番に備えているのだとしたら。


「午後の予定を変更します」


「変更ですか?」


「陽ノ國に行きます」


「陽ノ國って、ちょっ、〝霊王〟様!?」


 妖術で山のように積まれた書類へのサインを一瞬で書き終え、出掛ける準備も同時に終える。


 世は少しずつ、しかし確実に変革していく。


 その波に呑まれぬように、〝霊王〟ノエル・シルバーハートも動き始めた。

第15.5章 Struggle これにて完結!

次回、第16章 雲を翔け空を舞う

そして、選ばれし者達が集結する──

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