異世界勇者は邪魔なようです(仮)
真っ白い空間に俺とそいつは二人っきりでいた。
色々あったけど死にました。えぇ、死にました。死にましたよ文句あるんですか?おい!お前に行ってんだぞハゲ!そう俺の前には土下座してハゲ頭を俺に向けている神様がいる。神様のなのに若ハゲ。普通の顔して若ハゲハゲハゲハゲハゲハゲハゲハゲハゲ
「だからゴメンって言ってんじゃん伝わらないかなーワシのキモッティー」
土下座して謝っているくせにこの態度。
「間違って殺しちゃったのは謝るからー異世界転生させてあげるからー許してニャン」
「いやいや、許せないから何考えてんだよ」
頭を踏みつけ唾を吐く。フリーターで暮らして5年。25歳になった俺は死ぬ直前に7億の宝くじ当たっていたのだ。世界を旅しようとか迷惑かけた両親に何あげようとか何時も助けてくれた兄にお礼しようとか高校に入学した弟にプレゼントあげようとか高級デリ……まあ、色々考えていたのにふざけんなよ!
さらに何度も頭を踏みつける。地面に血溜まりができたが気にしない。
「分かりましたー、神様プッツン来ましたー」
そう言って神様(仮)は立ち上がり俺にガンつけてきた。
「いやマジで殺す気はなかったんすよ。ただそいつは絶対殺さないと行けない奴でこの世に居てはダメなんすよ。で、偶然君の近くにいたからヒョイってトラックぶつけてみたら当たってんの君じゃん。まじ文句言いたいのこっちなんすけどー」
「うるせーボケ!神ならさっさと生き返らせろよ」
「そこはーわたくしーついこの前神様になった新米的なやつでー正直パワーがないっつーか。もう少し時間がかかるんですよーたまるまで」
無いはずの髪の毛をクルクルと弄るハゲ拗ねたように口を尖らせクネクネするハゲ。ダメだこいつ。
「分かった。パワーが溜まるまで待つから何時になったら溜まるんだ」
「たまんないっすー」
「は?」
「たまらないっすー」
「は?」
「た・ま・ら・な・いっすー」
よくネットで見てた怒り狂う人達の動画。世の中こんな人間がいるんだと俺もまだ捨てたもんじゃないと思っていました。はい、俺もその人達の仲間入りしました。誰か動画に撮ってくれよ、きっとスカってするぜ。
ふぅ、一通り殴り倒した俺は冷静になりました。
「で、なんで貯まらないんだよ『少し時間がかかるっすー』とか言ってただろ。あれはナシだからな神様だから少しの時間が人にとっては1000年とかそういうやつ」
ボコボコにしたハゲはウイウイ言いながらピクピクしてる。
「い、いたいっすーいやー感がいいスっねーその通り貯まるには約20万年かかるかんじーです」
ナシな事を言ったから蹴っておく。虚しい、ハゲを蹴っても何も生まない髪も生えてはこない。クソが本当にそうなのかよ巫山戯んなよ。
「はぁ、俺もうどうしようないじゃん」
一気に不安になるな20万年も待てないし例え生きて帰っても人類はいるのか?少なくとも俺の知り合いは全て灰になってる。いや、この白い世界元いた世界は時間の流れがうんちゃらかんちゃらかもしれない。
「あはは、なわけないっすよー。逆にここの1秒があっちの1年すっよーww」
心読めんのかい。まあ、そういうパターンも想定していたよ
「なんせ神様ですから」
ニヤッとするハゲが初めて神様に見えたかもしれない。そうかい、俺は20万年お前とこの白い所で過ごすとか死刑より辛いよ。殺してくれて構わない。
さぁ殺れよ
俺は目を閉じ天に召される時を待つの走馬灯の様に嫌な思い出が蘇ってくる。彼女のパンツが汚かった事。知らないオバサンが部屋でお茶を飲んでた事。全身油を塗った半裸の女性に走って追いかけられた事。鬱だ。
「そんなに落ち込まないでください。さっきも言った通り貴方を異世界に転生させることが唯一私に出来ることです。いい所ですよ綺麗な空気に地球にはもうない自然や生き物もあります。それに美味しい食べ物もありますよ。元気だしてくさい」
お前まともに喋れたんだな『すよー』とか言わなくていいのか?それになんで金髪碧眼美女になってんだよ。
「ふふふ、神様ですから。どうしますか?転生しますか?」
いや遠慮しとくよ。俺の人生は最後にいい事があったけど99%は嫌な事だった。何時も死にたいと頭の隅で考えていたしもう死んだ今では生きたいとも思わない。例え記憶が無くなって転生しても無責任に生きろなんて言えない。俺ならきっと失敗する。
「随分しおらしくなりましたね。いいでしょうもう1つ提案があります」
え?なんだって?いいよさっきも言っただろ転生しないって
「貴方の望みを1つ叶える方法があります。あ、生き返ることは出来ませんがそれ以外ならなんでも良いですよ。苦しみのないイージーモードの転生生活も元いた世界とよく似た世界に行くことも過去に行くこと■も無かった事にできますよ?もし私の言う事をやってくれれば」
真面目な顔をしてこちらを見る神様。冗談で言ってるようにも見えない。神様の言う嘘なんて俺には分からないだがほんの少しでも可能性があるなら、■を無かったことに出来るなら。
「おい、本当かそれは」
「はい」
「嘘じゃないんだな」
「はい」
「何をさせるのか分からないがやってやるよ」
「ありがとうございます」
そうして神さまは語り始めた。
異世界にいる勇者を全て殺して欲しいのです。