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扉を開く

 目を覚ますと僕は馬車の荷台で横になっていた。

 体中に包帯が巻かれているが、傷のようなものはほとんど残っていない。

 何があったかと思い出すのに三十秒ほど費やし、思い出してからようやく御者席で話し声がすることに気づいた。


「馬と会話してるのか?」


 いや、それは無いか。

 でも、一度だけみた乗馬の指南書には馬と会話するなんて一文が乗ってあったが、実際に会話できるとしたら何と言われているのか知りたいような……なぜか馬にすら罵倒される気がしたから、馬は喋らなくていい。

 そんなことはともかく、僕は御者席を覗いた。


「おおっ! やっと起きたか、この寝坊助め!」


 御者席には再び、この場にいない筈の人物がいた。


「……なんでマリファさんがいるんですか」


「むっ、それはだな、今回のようなことが再びあっては冒険者になるにしても危険であろう? それならばパーティーとやらを私とお前たちとで組んで、一緒に冒険をするということになったのだ」


「なったのだって……僕の意見取り入れてないじゃないですか!」


「ディヴァインは、デルダルクの決定に従うのであろう? 彼女は快く賛成してくれたぞ」


「そうなのか?」


「ふぇっ? は、はい! マリファさんの言う通りです、よ?」


「ねんで少し疑問形なんだ……」


「はっはっは! まあ、そんなに硬いことは言わないでくれ、心配しなくてもお前たちの邪魔はせん。……それに、単純に一戦力としてだ。ディヴァインが一人でいるより、女の私がついている方が守れる幅も範囲も広がるぞ? 安心しろ、どこであってもデルダルクに変な虫がついてこないようにしてやる」


 マリファさんは僕にだけ聞こえる声で、そう耳打ちしてきた。


「採用」


「うむ、よろしく頼むぞ!」


 そうして、僕とリノの旅に同行者が一人増えた。



 馬車で帝都までの道のりを進む間、あの後のことを二人に聞いたら、二人は無かったことになったと答えた。

 最初聞いたときは理解できなかったが、どうやら僕が散々ボコボコにした橋もすべて元通りになり、僕がグチャグチャにしたセシルの肉塊もきれいさっぱり無くなっていたらしい。


 だからあの場にいた野次馬を含めた全員で無かったことにしようと決めたらしい。僕が剣を抜いたことも当然なかったこと、見なかったことという奴だ。

 それでも何人かの野次馬は、帰り際に寝ている僕に謝罪と感謝の言葉を言っていたらしいが、あいにくと記憶にない。


 だが、あの一件でこれ以上ゴタゴタすることは無さそうだ。


「何か見えてきました! 先輩、あれが帝都ですか?」


「ああ、多分そ「うむ、あれが帝都だな。この時間は門も空いているだろうから早く入れるぞ」」


「わかりました!」


「マリファさん? 邪魔しないって言ってなかったっけ?」


「む、恋人同士なら空気も読むが、ただの旅の同行者という関係ならば、私と大差あるまい。それが嫌なら、とっとと腹をくくることだな」


 やっぱり、この人を同行者にしたのは早まったかもしれない……









「ついに、ついにですね……」


「うん、そうだね……」


 僕とリノは二人だけでとある場所に来ていた。マリファさんは疲れたからと言って宿で先に休んでいる。


「どうですか? 私、おかしな格好してないですか?」


「大丈夫だよ。いつもの可愛いリノだ。それより、僕は大丈夫かな?」


「……もう、そういう所ですよ。でも、先輩もカッコいいです」


 僕達は微笑み合い、再び深呼吸をした。


「いくぞ? 練習してきた通りのことを言うだけだ」


「はい、失敗は許されません」


「よし、いくぞ」


「「せ~の」」


 バンッ! と一緒に、力強く扉を開く。その中は、僕の初めて見るもので満ちていた。

 期待に胸が膨らむ。リノに冒険者に誘われてから今日まで、いろんな出来事があって少し時間はかかってしまったけど。僕達はようやくスタートラインに立つことができる。

 そして、そのために、帝都に来るまでの馬車の中でずっと練習し続けていたセリフを口にする。


「「冒険者登録をしに来ました!」」


 ここから始めるんだ。騎士団をクビになって冒険者になる僕が、たった一人の特別な後輩を幸せにするための物語を……




 

 とりあえず、これで一気投稿は終わりです……

 まだ終わりませんよ。むしろようやく始まりました。


 旧タイトルが「不慮の事故? で騎士団をクビになったので後輩と一緒に冒険者になる」だったので、前のタイトルのままだととんでもないことになってましたね。


 とりあえず、たったこれだけのあとがきを打ち込むのも滅茶苦茶誤字するので、今日も早めに切り上げます。


 とりあえずコンテストの締め切りまで駆け抜けたぞーってことで、読者の皆様ありがとうございました。


 次回もよろしくお願いします。

 

 山登チュロ

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